TVアニメ『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』原作者インタビュー|原作エピソードや世界観を膨らませて描かれるアニメの優しい世界に、原作者らも魅了♪
AT-Xを皮切りに、ABCテレビ、TOKYO MX、BS11で放送中のTVアニメ『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』(通称、ひざうえ。)は、みなつきさん原作、二ツ家あすさん漫画担当の、webコミック「COMICポラリス」(フレックスコミックス)にて好評連載中の同名漫画をアニメ化。
他人が苦手で、人見知りの小説家・朏 素晴(みかづき すばる)と、過酷なノラ生活を生き抜いてきた猫のハルによる日々の暮らしを、ひと目線とねこ目線で描き、それぞれの想いが交互に織り成される物語です。
本稿ではインタビュー企画第3弾として、原作を手掛ける、みなつきさんと二ツ家さんにインタビュー。アニメの感想や見どころ、アニメ化を通して経験したことなどを伺いました。
初めてのアフレコ見学で、プロの技に感動☆
――まず、アニメをご覧になっての感想をお聞かせください。
原作・みなつきさん(以降、みなつき):アフレコで声を聴いて、音楽のデモ、絵コンテを拝見して、それぞれがとても素敵だったので、それが合わさったらどんな映像になるのか、ワクワクしていました。
でき上がったアニメを見て、静止画の中にしかいなかったキャラクターたちが、物語を彩る音楽と一緒に、画面の中で動いて、しゃべって、生き生きと息づいていることにすごく感動しましたし、すごく素晴らしいなと、ずっとニコニコしながら見させていただきました。
漫画担当・二ツ家あすさん(以降、二ツ家):私も普段から、キャラクターたちが動いて、しゃべっているのを想像しながら作画していますが、改めてこう動いていたんだと目の当たりにできて、とても感動しました。
静止画で描かれる原作では表現できないコマとコマの間の描写も映像化されていて、作り手の皆さんが原作からイメージを膨らませて作ってくださった、その思いにも感動して本当にうれしかったです。
――アニメ化に際しての要望や、キャスティング、制作などに携わったことがあれば教えてください。
みなつき:「こうしてほしい」というお願いはありませんでした。
シナリオや絵コンテ、キャラクターデザイン、オーディションなど、制作が進められていくその都度、みんなで意見を出したり、ちょっと違うなというところはお伝えさせていただいたりはしましたが、漫画とアニメでは作り方などいろいろ違うと思うので、プロの方にお任せした方がいいものができると思い、ほとんどお任せして作っていただきました。
――オーディションにも参加されたとのことですが、実際にキャラクターの声を聴いた印象はいかがですか?
みなつき:オーディションの時から皆さん、どの方もピッタリで。どうしたらいいか分からないくらいでした(笑)。
スタッフの皆さんと投票で絞らせていただいて、とても苦労したんですけど、票を集める方は大体一致していたので、キャラクターとしてイメージが確立しているんだなとうれしく感じました。
二ツ家:決まった皆さんの声がイメージにピッタリだったので、演じられている声優さんたちの演技力、そして最終的にキャスティングを決められた方もすごいなと思いました。
みなつき:今回、初めてアフレコ現場を拝見しましたが、やはりすごいなと。でき上がったアニメを見ることはあっても、その過程を見ることはまずないので、テレビで聴いている声優さんたちの声を、生で聴けるという貴重な体験でした。
声優さんたちがセリフをしゃべって、監督さんたちが「ここは、もう少しこう」と指示を出すのですが、それに対して即座に応えられる声優さんの力量というか、技術はどういう勉強をしたら身に付くのだろうと、感動と尊敬を覚えました。
二ツ家:みなつき先生がおっしゃっていたように、同じセリフを監督さんの指示によって、すぐにニュアンスを変えて対応されていて、キャラクターの心情が全然違って聴こえてくることにすごくビックリして、感動しました。
OKが出た後も、声優さんたちが「もう一回録らせてください」とおっしゃって録り直しをしてくださることもあり、セリフの1つ1つにこだわりを持って臨んでくださっているんだなと感じました。
みなつき:監督さんたちの「こうしてください」という具体的な指示だと、(私たちが)普通に聴いていても「こういう感じなのかな」と想像はできるんですけど、微妙なニュアンスの演技の話をされて、こちらとしては「え、どういうこと?」「どう表現するんだろう」と思うことも、それに合わせて変化されているので、さすがだなと。
二ツ家:その(変化した)セリフを聴くと、「納得!」という感じですよね。
みなつき:「そうそう、それ!」という感じになるのが、やっぱりプロだなと思いました。
――では、アニメをご覧になって感じた見どころは、どこにあると思いますか?
みなつき:やはりハルが動くので、その仕草がかわいらしくて、たまらないです(笑)。
二ツ家:そうなんです。私も全く同じことを思っていました(笑)。
みなつき:ちょっときびすを返すとか、廊下を逃げていくとか、本当に細かい動きが猫っぽくて。見ていて、「そういうことするよね」という感じが伝わってきて、制作してくださったスタッフさんたちの技術力はすごいなと思いました。
また、素晴目線とハル目線で色合いを変えたりして、それぞれの違いを表現されているんですけど、アニメを制作されている方々によるそういった工夫にも注目していただきたいですし、オープニングやエンディングの映像も歌と一緒に拝見して、どちらもすごく素敵だったので、最初から最後まで、逃さず見ていただきたいという思いがあります。
二ツ家:私もまず、漫画で表現したいと思っていても表現できないような、猫の何げない仕草とか動き全部がかわいくて、目で追えるというのはアニメならではだなと思いました。
アニメでは、原作のいくつかのエピソードをまとめて、別のシナリオとして再現したものもあるのですが、それがすごく自然で。
みなつき:うまくまとめていただいて、つながりが不自然じゃないというのがすごいです。
二ツ家:原作では全く別々に描かれているエピソードが、ちゃんとつながって描かれていたので「なるほど……!」と。そういう違いも楽しんでいただけたらなと思いました。
――その中でも、印象に残っているシーンがあれば教えてください。
みなつき:第1話で倒れた素晴を前にして、ハルが弟を亡くしたことを思い出して鳴くシーンがあるのですが、悲しみや不安といったいろいろな気持ちが混ざった難しいシーンを、山崎さんが演じられた時すごく胸が締め付けられる思いになって、とても印象に残りました。
二ツ家:第3話で、素晴が両親の部屋の扉を開けるシーンです。何げないシーンではあるのですが、漫画では扉を開けた先に両親の記憶が少し浮かぶという数コマで描かれているところを、アニメでは開けた先に一瞬光が重なり、両親の様子が浮かんで消えていくというように描かれていて、それだけで切なくて、少し泣いてしまうくらいのシーンになっていました。
そのことを制作の方にお話ししたら、音の響き方とか、演出についてもすごくこだわっていらっしゃることをお話ししてくださり、何げないシーンにもそういう熱量で、こだわりを持って作ってくださっているんだなと、改めて感動した印象的なシーンでした。
アニメオリジナルのエピソードも楽しんで!
――現在も原作漫画が連載中ですが、アニメから逆に影響を受けたことなどはありますか?
みなつき:(素晴の担当編集の)河瀬さんは、下野(紘)さんの影響で猫好きがすごく加速している気がします。
二ツ家:元気な感じとか、今までより(セリフの)吹き出しを大きくしなきゃみたいなイメージに変わりつつありますね。
新年用の、新規プロットの打ち合わせをしていた時に、こんなセリフかなと(矢坂)大翔のセリフを口に出して言ったんですけど。自分では気づかず、無意識にアニメでの声優さんの口調になっていたこともあって、今まではなかったことだなと思います。
みなつき:そこでも、新年の挨拶に来た河瀬さんが素晴たちの後ろで、「ハルちゃ~ん」と追い掛けているセリフが、「あ、下野さんだ」と思いました(笑)。
二ツ家: “CV.下野さん”でしたね(笑)。声のイメージは大きいです。
――TVアニメ放送前には先行上映会「にゃんふぇす」が開催され、Twitterなどで先生方も楽しまれている様子が伝えられていましたが、参加されていかがでしたか?
みなつき:読者さんと一緒に体感できる、反応が見られるということで、私自身すごくうれしかったです。楽しい企画をたくさん立ててくださって、こういうところでもいろいろな方のお力添えをいただいてできているんだなと実感し、感謝の気持ちでいっぱいでした。
二ツ家:会場の全員でお面をつける演出があったんですけど、男性の方もつけてくれていて、楽しんでくださっている客席の皆さんの様子とかも合わせて、後ろの席から拝見できて楽しかったです。
あと、みなつき先生が猫の被り物をして、ロビーでファンの方が先生だと知らない状態で触れ合っている様子を写真に撮ったりしていたのですが、その様子が面白くて、早くTwitterで「実はその猫、みなつき先生ですから」と言いたくて(笑)。実際に、何人かは「そうだったんですか!?」と驚いた反応をされていました。
みなつき:ただ、一番最初の方には速攻でバレました。何で分かるんだろう(笑)。
二ツ家:うれしさオーラが出ちゃってたんですかね(笑)。
みなつき:これまで(ファンの方と触れ合える機会)は、サイン会やTwitterでのやりとりくらいだったので、また皆さんと一緒に楽しめる機会があるとうれしいです。
――作品にちなみ、ご自身にとって、未知の世界が開けた出来事や、視野が広がった出来事などはありますか?
みなつき:変わったといえば、やはりこの作品を通して、経験しなかったようなことが次々起こってきていますし、普通だったら会えないようないろいろな方と会えたり、読者さんからの反応も新たに違ったものをいただいたり、ということが一番大きいです。
二ツ家:この作品やアニメ化にあたって、こういったインタビューも人生で初めてですし、今までにない体験をさせていただいています。
もともと猫は好きなんですけど、あまり描いたことはなくて。このお話をいただいてから、大好きだけど描けるかなというところからスタートして、そういう試行錯誤で描いているものを「いいね」と言ってもらえたり、自分自身それを褒めてもらえる日が来るとは思いもしていなかったり。なので、自分の中にないと思っていた可能性があったことに気づけたことも、うれしかったなと思います。
――最後に、ファンの方へメッセージをお願いします。
みなつき:原作をお読みいただいている皆さんには、いつもたくさんの応援をいただいているので、感謝の気持ちでいっぱいです。アニメでこの作品に初めて触れるという方も、もちろんいらっしゃると思いますので、その方々にはこの作品に興味を持っていただいたことにうれしく思います。
漫画とは違うアニメという世界で、素晴やハルが新たな命をもらって、物語を紡いでいます。アニメオリジナルのエピソードもすごく素敵に作っていただいているので、そこはぜひ見ていただきたいですし、1つ1つ丁寧に作られた優しい世界観を、皆さんに楽しんでご覧いただきたいと思っています。アニメを見終わったら、いつもほっこり優しい気持ちになっていただけるとうれしいです。
二ツ家:原作を読んで応援して下さるファンの皆様のおかげで、こうしてアニメ化していただけたんだとうれしく思っていますし、アニメ化を発表した後もいろいろな方から「楽しみにしています」というお声をいただいて、すごくうれしいです。
本編を拝見して、動いて、しゃべるキャラクターたちにすごく感動したので、ファンの皆さんと早く共有したいと思っていました。アニメから見る方にもすごく楽しんでいただけるアニメになっていると思うので、機会があれば、その後に漫画を読んだり、違いを楽しんでいただけたりしたら、うれしいです。
原作者プロフィール
原作:みなつき(皆月つなみ)
■プロフィール
誕生日 6/6
血液型 AB
出身地 千葉県
■コメント
小動物に翻弄される男子を描くのが案外楽しいのかもしれない、そう思い始めた今日この頃。
猫にしろ幼女にしろね…ちっちゃいのカワイイ♪
幼女に翻弄される男子を見たい方はこちら
既刊コミックス「弾丸ハニー」(https://comic-polaris.jp/danganha/)全3巻好評発売中!
漫画:二ツ家あす
■プロフィール
誕生日 1/29
血液型 A
出身地 東京
■コメント
はじめまして、二ツ家あすと申します。どうぞよろしくお願いいたします。ほたてが好きです。
TVアニメ『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』作品情報
【イントロダクション】
“癒される”と大反響!
不器用な青年と、一匹の猫がおくる大人気漫画がついにアニメ化決定!
発売後、たちまち重版が決定し、現在もCOMICポラリスにて好評連載中の
「同居人はひざ、時々、頭のうえ。」が待望のTVアニメ化!
他人が苦手で、人見知りの小説家・朏 素晴(みかづき すばる)と過酷なノラ生活を生き抜いてきた猫のハル。
ふとしたきっかけで一人と一匹はいっしょに暮らし始めるが・・・?
日々の暮らしを ひと目線とねこ目線で描き、それぞれの想いが交互に織りなされるストーリーが“心があたたまる”と話題に。
些細な時間を積み重ねて、僕らは「家族」になっていく――
ふたりでみつける幸せ一緒ぐらし。
【放送情報】
AT-X:毎週水曜 23:30~24:00
(リピート放送:毎週金曜 15:30~16:00/毎週日曜 8:30~9:00/毎週火曜 7:30~8:00)
ABCテレビ:毎週水曜 26:20~26:50
TOKYO MX:毎週木曜 24:00~24:30
BS11:毎週木曜 24:30~25:00
※放送日時は予告無く変更になる可能性がございます。
【配信情報】
dTV:毎週木曜25:00~
GYAO!:毎週木曜25:00~
※内容は変更になる可能性がございます。あらかじめ、ご了承下さい。
【キャスト】
朏 素晴:小野賢章
ハル:山崎はるか
河瀬 篤:下野 紘
矢坂大翔:堀江 瞬
押守なな:安済知佳
押守優伍:中島ヨシキ
はち:村瀬 歩
ろく:津田健次郎
秋元春:南條愛乃
ほか
【スタッフ】
原作:みなつき 漫画:二ツ家あす(COMICポラリス連載)
監督:鈴木薫
シリーズ構成:赤尾でこ
キャラクターデザイン・総作画監督:北尾勝
音楽:コトリンゴ
制作会社:ゼロジー
オープニング主題歌:Schrödinger's Cat adding コトリンゴ「アンノウンワールド」
エンディング主題歌:南條愛乃「君のとなり わたしの場所」