【連載】『かぐや様は告らせたい』白銀御行 役・古川慎さんインタビュー前編|自分とまったく異なるキャラクターを演じるコツとは
2019年1月放送中のTVアニメ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(原作:赤坂アカ/集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)。アニメイトタイムズではアニメ化・放送スタートを記念して、『かぐや様は告らせたい』のスタッフ・声優陣を招いての連載企画を実施しています。
第5回となる今回は、白銀御行 役・古川慎さんが登場! 白銀御行の第一印象をはじめ、演じるうえで大切にしていること、気になるキャラクターなどについてたっぷりとお話を伺いました。
□TVアニメ公式サイト <連載バックナンバー>
□第 1回:原作者・赤坂アカ
□第 2回:A-1 Pictures 山田賢志郎P×アニプレックス 石川達也P
□第 3回:四宮かぐや役・古賀葵[前編]
□第 4回:四宮かぐや役・古賀葵[後編]
□第 5回:白銀御行 役・古川慎[前編]
□第 6回:白銀御行 役・古川慎[後編]
□第 7回:藤原千花 役・小原好美[前編]
□第 8回:藤原千花 役・小原好美[後編]
□第 9回:石上優役・鈴木崚汰[前編]
□第10回:石上優役・鈴木崚汰[後編]
□第11回:早坂愛役・花守ゆみり
□第12回:ナレーション・青山穣[前編]
白銀の一生懸命さがストーリーを加速させる
——まず原作を読まれての感想からうかがえるでしょうか。
古川慎さん(以下、古川):今は電子書籍ですぐに続きが買えるので、第1巻を読み終えたらネットで次の巻をクリックして、というのを繰り返しているうちに、いつの間にか全巻読破してしまっていました。
移動中の電車で読み返しているときも、マスクを付けていてもわかるのではというくらい笑ってしまうことがあって、もしかしたらほかの乗客の方々に気持ち悪がられているかもしれません(笑)。表情をコントロールできなくなるほど一読者として楽しんでいる作品です。
——『かぐや様』の原作で面白さを感じたポイントはどこですか?
古川:たくさんありますが、一つはテンポ感ですね。かぐやと白銀の二人が、お互いに告白させたがっているというシチュエーションや、相手が狙い通りには動いてくれなくてすれ違ってしまう気持ちを、テンポのよい会話劇へと昇華しているところに魅力を感じます。本当は両想いなのに素直になれないヤキモキ感も、ラブコメ好きにはたまりませんね(笑)。
——古川さん演じる白銀御行の第一印象はいかがでしたか?
古川:第1話を読んだときは正直、内面と外面の差があまりにも大きすぎて、「白銀って性格悪い奴なのかな」と思いました(笑)。でも物語が進むごとに、完璧な生徒会長というイメージを保とうとするプライドが高いところと、そのために全力を振り絞る努力家なところのギャップが浮かび上がってきて、だんだんと親近感が湧いてきましたね。エピソードが進むごとに、新たな一面が見えてくるキャラクターだと思います。
——そんな白銀の魅力はどこだと思われます?
古川:頭の回転が速かったり、意外に他人に優しかったり、実は庶民的だったりと、魅力はいろいろありますが、それらに共通するベースは、何事にも一生懸命なところにあると僕は思っていて。
たとえばアニメでは第3話で描かれた「かぐや様は歩きたい」というエピソード。遅刻しそうになったかぐやのもとにママチャリに乗った白銀が現われるという展開でしたが、あのシチュエーションが成り立つのは、彼が生徒会として一度も遅刻するわけにはいかないと一生懸命だったからですよね。
もし僕があの状況に置かれたとしたら、諦めて遅刻してしまっているでしょうから(笑)、かぐやとは出会えないまま終わっていたはずです。
——たしかにあの展開は、そうでなければ生まれませんでしたね。
古川:そうですよね。白銀のどんな物事にも一生懸命取り組むというバイタリティが物語の起爆剤になっていて、それが抜群のタイミングで作用することで、『かぐや様』という作品を輝かせている面があると思います。
つねに一生懸命だからこそ、焦って空回りをすることもあれば、逆にほかの人が悩んでいるときにはきちんと気遣うこともできる。白銀の人間味にあふれたエピソードはこれからもたくさん出てくるので、ぜひ注目してください。
自分とまったく異なるキャラクターを演じるコツ
——自分が白銀と似ているなと思うところはありますか?
古川:いろいろと考えすぎて脱線してしまうところは似ていますね。白銀はかぐやとの頭脳戦であれこれと思考をめぐらせますが、それがかえって悪循環をもたらしてしまう。僕も日々の出来事に対して、悪いほう悪いほうへと考えてしまうことがあるので、そういった不器用な生き方には共感してしまいます。
ただそれ以外の点で似ているところは皆無かもしれません(笑)。僕は白銀のように頭脳明晰ではないですし、物事も理論的に分析するよりは直感で判断するタイプです。仕事には一生懸命取り組んでいるつもりですが、彼ほど行動力に満ちあふれているかというと自信はありません。白銀御行という男はものすごい人間なんですよ。
——逆に白銀を見て、自分には真似できないと感じる点はどこですか?
古川:まず僕には皆勤賞は無理です(笑)。そもそも自宅から高校までの十数キロを、わざわざ自転車通学すること自体、普通の人間にはとてもできないことですよね。
ましてや皆勤賞なんてなおさらで、それをやり抜いてしまえる白銀だからこそ、本人の努力だけで勉学を極めることができ、エリートぞろいの秀知院学園で生徒会長を任されているのだと思います。僕では到底敵いません。
——そんな白銀を演じるにあたり、どういったところに気をつけていますか? 自分には真似できないと思うところが多いとのお話でしたが。
古川:自分と違うタイプの人間を演じること自体に特別な難しさは感じません。たとえば一流スポーツマンの役柄を演じるとき、「俺ってあんなには運動できないよなぁ」なんて考えていたら芝居に集中できないわけで、だから『かぐや様』の現場でも「俺は白銀と同じスペックの人間なんだ!」というつもりで、彼が物事をどう考えて、どのように捉えているのかをイメージしながら演じることを大事にしています。
——役作りのためにされたことはありますか?
古川:白銀はリアクションが重要になるキャラクターなので、ツッコミのバリエーションは事前にいろいろと探りましたね。ビックリしたり、うろたえたり、考え込んだりしているときの、バラエティ豊かな表情も『かぐや様』の見所ですが、声がそれらの表情に負けていたら台なしになってしまう。普段テレビを見ているときも、芸人さんのコントでは自然と「どんなテンションでツッコんでいるのかな?」と気になるようになりましたね。
アフレコには「流れ」がある
——アフレコ現場でスタッフの方から受けたリクエストはありますか?
古川:畠山守監督や音響監督の明田川仁さんからは事前に「オーバーな芝居は抑える方向でいきたい」というお話がありました。それを受けて、セリフの大きさや、声の高低、リアクションの一つひとつまで、作りものに聞こえてしまわないように気を付けています。
ただ激しく突っ込まなければいけない場面では、できるかぎり攻めるようにはしていて。原作の赤坂アカ先生からも、「白銀は思いきってやってください」というアドバイスをいただけたので、「もしNGになったら変えればいい」という気持ちでチャレンジしています。
——また白銀を演じる上で難しい点はありますか?
古川:モノローグは毎回悩みどころです。白銀はモノローグが非常に多いキャラクターですが、それは頭の回転が速いことの証でもあるわけですよね。そんな白銀の明晰な思考の過程を、アニメでは言葉を通じて表現しなければいけないところに難しさを感じます。アフレコで大量のモノローグを演じていると、次第に余裕がなくなり、言葉に詰まってしまうこともありました。
——『かぐや様』はモノローグとセリフが織り交ぜられた作品ですが、収録の際は、それぞれ別録りをする部分もあるのでしょうか? ひと繋がりで録るには感情の起伏が激しい場面があるように思うのですが。
古川:そこはケース・バイ・ケースで、そのまま収録している箇所もあれば、別録りをする箇所もあります。ただ個人的にはモノローグとセリフは分けずに、台本の順番通りに収録したほうが演じやすいですね。
モノローグでは焦っているけれども、セリフでは冷静に振る舞おうとしているシーンなどは、一気に収録すると声のコントロールが難しくはあります。でもアフレコには「流れ」があるので、そこから生まれる感情も大切にしたいんですよ。
——アフレコの「流れ」というのは?
古川:たとえば焦っているモノローグを口に出すことで僕の心も影響を受けて、不思議と落ち着かない気持ちになっていくんですよ。まるで白銀の気持ちが自分に乗り移ったかのような感覚になれるんです。そしてその感情を保ったまま次のセリフを発することで、本心を隠しているような声色が自然と発せられて、「実は冷静に振る舞っているだけ」といった感情の繋がりを表現しやすくなるんです。
作品情報
TVアニメ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』
<放送情報>
MBS:毎週土曜26時08分~
TOKYO MX・群馬テレビ・とちぎテレビ・BS11:毎週土曜23時30分~
中京テレビ:毎週土曜26時29分~
テレビ新潟:毎週土曜25時55分~
AT-X:毎週月曜21時00分~
リピート放送:毎週水曜13時00分~/毎週金曜29時00分~/毎週日曜7時30分~
※放送開始日・放送日時は編成の都合などにより変更となる場合がございます。予めご了承ください。
<STORY>
家柄も人柄も良し!! 将来を期待された秀才が集う秀知院学園!!
その生徒会で出会った、 副会長・四宮かぐやと会長・白銀御行は互いに惹かれているはずだが…
何もないまま半年が経過!! プライドが高く素直になれない2人は、 面倒臭いことに、 ”如何に相手に告白させるか”ばかりを考えるようになってしまった!?
恋愛は成就するまでが楽しい!! 新感覚”頭脳戦”ラブコメ、 開戦!!
<STAFF>
原作:赤坂アカ(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
監督:畠山 守
シリーズ構成:中西やすひろ
キャラクターデザイン:八尋裕子
総作画監督:八尋裕子 矢向宏志 針場裕子
プロップデザイン:木藤貴之
美術監督:若林里紗
色彩設計:ホカリカナコ
撮影監督:岡﨑正春
編集:松原理恵
音楽:羽岡 佳
音響監督:明田川仁
音響制作:マジックカプセル
制作:A-1 Pictures
製作:かぐや様は告らせたい製作委員会
<主題歌情報>
◆オープニング・テーマ
鈴木雅之「ラブ・ドラマティック feat. 伊原六花」(EPIC RECORDS JAPAN)
◆エンディング・テーマ
halca「センチメンタルクライシス」(SACRA MUSIC)
<CAST>
四宮かぐや:古賀葵
白銀御行:古川慎
藤原千花:小原好美
石上優:鈴木崚汰
早坂愛:花守ゆみり
ナレーション:青山穣
柏木渚:麻倉もも
男子生徒:八代拓
白銀圭:鈴代紗弓
白銀の父:子安武人
(C)赤坂アカ/集英社