『映画ドラえもん のび太の月面探査記』水田わさびさん×大原めぐみさんインタビュー|ドラえもんとのび太がついに負けてしまう、かも……?
『映画ドラえもん のび太の月面探査記』が、3月1日(金)公開されます! 今年も『映画ドラえもん』の季節がやって来ました! 1980年に映画第1作が公開され、今年で39作目を迎えます。そして、今回の映画の舞台は「月」です。
脚本を手がけたのは、『ドラえもん』の大ファンだという直木賞作家・辻村深月
さん。監督は、『新・のび太の大魔境 ~ペコと5人の探検隊~』(14)や『新・のび太の日本誕生』(16)の八鍬新之介監督です。
今回は映画の公開を記念して、ドラえもん役の水田わさびさんとのび太役の大原めぐみさんにインタビュー。映画の見どころや気になるキャラクターなど、熱く語っていただきました。
今回も泣ける、『映画ドラえもん』
――『映画ドラえもん のび太の月面探査記』をご覧になった感想をお聞かせください。
水田わさびさん(以下、水田):私は読書が好きなんですが、今回の作品は小説を読んでいるような感覚で観ました。今年の映画は、これまでの作品とは違う感覚で観ていたと思います。
大原めぐみさん(以下、大原):『映画ドラえもん』は毎年「友情」や「家族愛」などがテーマになってくるんですけど、それに加えて今年は、「想像力」が大きなテーマになっているなと感じましたね。
――今作でのおすすめのシーンを教えてください。
水田:私はやっぱりルカ(CV:皆川純子)のシーンだな。ルカが自分の仲間を大切に思って、大きな決断をするシーンがもう感情をこらえられなくてダメでした……。
みなさんもそこで、「くっ……!」っとなってもらえれば嬉しいです。
やっぱり人は長いものに巻かれたり、自分が楽な道を選んじゃったりすることってあると思うんですよ。そんな中で、ルカのたたずまい、空気、言葉は……やばいです!
水田:自分の仲間とのび太たち、どっちも大切な友達なんですよね! 岐路に立たされた時のルカの選択は「もう、はぁ……(溜息)」です。
――大原さんのおすすめのシーンを教えてください。
大原:私は3つ見どころを感じたんですけど……。1つめは、わさびさんと同じシーンで、私もルカの言動には心を揺さぶられましたね。
2つめは、ルカ達を助けにみんなで覚悟を決めて出発するシーンのスネ夫です。
集合場所に向かう途中で川に映る月を見て、スネ夫が決意する。スネ夫のためらう気持ちが痛いほどわかって、それでもみんなの元へ向かう姿がとても勇ましくて格好良かったです。
誰もがスネ夫と同じ立場になったら怖いだろうし、行くのをためらうのが普通だと思うんです。
でも葛藤した結果、向かう。だから、そんなスネ夫に共感できる人が多いと思うんですよ。
――その後のスネ夫の言い訳もいいんですよね。
大原:照れ隠しをするあの一連がすごく好きで……。涙がじわっと溢れてきたシーンですね。
3つめのおすすめのシーンは、エンディングです。エンドロールで流れる、お父さん、お母さんと一緒に写っているルカの写真を見て、涙が出ました。エンドロールが一番泣きましたね(笑)。理由はぜひ映画を観て確かめてください!
心から良かったと思えるセリフ
――ディアボロ(CV:吉田鋼太郎)との対決シーンが素晴らしかったです。その時の「想像力は未来だ!」というドラえもんのセリフに感銘を受けました。おふたりが好きなセリフはどれでしょうか?
大原:(考え込みながら)いっぱいあるなぁ……。それこそルカがのび太たちに向かって言う、「友達だからさ!」というセリフも好きです。
水田:私も「想像力は未来だ!」というセリフが好きです。最初にシナリオを読んだ時には、そのセリフはなかったんですよ。
その後、アフレコ台本を読んだ時に追加されていて、「来た!」と……。「さすが八鍬新之介(監督)&辻村深月(脚本)コンビだ!」と思いました。
「想像力」というワードは、今回の映画でかなり重要なワードだと私は思いますし、自分自身が言っていて、相当気持ち良かったセリフです。
「ドラえもんをやっていて、良かった~!!」って心から思えるセリフでした!
大原:(しみじみしながら)良かったですよね~!
水田:伝えたいメッセージをあれだけの大声で言える機会はあまりないことなので……。それを自分が言えるというのは、もう最高ですね!
ゲストキャラクターの存在
――今回もゲストキャラクターがたくさん登場しますが、気になったキャラクターはいますか?
大原:ルカがめちゃくちゃかっこよかったです! ルカを演じた皆川純子さんもかっこよかったですし、やっぱりルカと皆川さんがリンクしちゃうんですよね。
「のび太にはない要素だなぁ~、憧れるなぁ~、女子は絶対好きだろうなぁ~」って思いましたね。
ルカというキャラクターは、ミステリアスなところもあり、それでいて、やんわりしたところもある。クールで冷たそうに見えるけど、そうじゃない! 立体的なキャラクターなんですよね。そんなところに憧れもあるし、嫉妬もあったし……(笑)。
――嫉妬ですか? それはのび太を演じている大原さんならではの感情ですね。
大原:そうですよ!(笑) 私自身もめちゃくちゃ皆川さんに嫉妬していましたもん!
水田:私もアフレコ中に言っちゃいましたもん! のび太とルカがスペースカートに乗っているシーンで、明らかにルカとのび太の描かれ方が違いすぎて「もうちょっとのび太くんもキラキラさせて!」って……(笑)。
大原:素朴なのび太と……(笑)。
水田:そう! 素朴なのび太がかわいすぎて、「のび太くん、頑張って~」って……。このシーンで、私ののび太への愛が強くなっちゃいましたね(笑)。
――これまでの映画だと、のび太の方からキャラクターに歩み寄っていくことが多いですよね。でも今回の作品では、ルカの方から歩み寄ってきてくれて、そんなふたりの関係性が素敵だなと思えました。
水田:本当だ!
大原:ルカもこの人(のび太)だったら、信じてくれるかもしれないという可能性をのび太に感じてくれたわけですよね。
――水田さんは気になったキャラクターはいますか?
水田:私は共演できなかったんですが、ディアボロを演じた吉田鋼太郎さんにつきますね!
大原:すごかった!
水田:勝てる気がしませんでした!
大原:アハハハハ(笑)。
水田:(笑)。「あれ? いよいよドラえもんの映画史上、初めて負けるんじゃないか?」って思ったくらいです!
大原:(うなずきながら)ディアボロ、悪かったですよねぇ……。
水田:悪すぎぃ~!「もしかして、ドラえもんが負けるかも……」と思って、劇場に観に行ってください。
のび太のまっすぐさ、ドラえもんのかわいさ
――これまで長くドラえもんとのび太を演じてこられていますが、キャラクターと似ているところや、キャラクターから影響を受けたところはありますか?
大原:私は家族から、のび太的扱いをされていますねぇ……(笑)。
水田:(笑)。それ、どうなの? 家族のみなさん!
大原:4人家族なんですけれど、私がボケると、3人からツッコミの矢が刺さるというか。役も影響しているのかなと思って……。扱いが完全にのび太ですよ!
水田:お母さんとして、日々頑張っているのに……(笑)。
大原:でも、私もなんか「まあ、いいか~」ってなっちゃっているんですよね。
のび太を素で演じているんじゃないかっていうくらい怠け者だし、人を頼るし、良く寝るし……(笑)。
水田:怠け者? いえいえ、誰よりも勤勉で、誰よりも真面目ですから!
主要メンバー5人の中で、一番しっかりしていますから! これはもう譲れないですね!
大原:ありがとうございます!
水田:絶対に寝坊もしませんし、誰よりもしっかり下準備もするし、誰よりもお勉強もするし……。
大原:確かに、それは認めるところがあるかもしれませんね。変に真面目なんです。
水田:でも、のび太くんは基本的に人に優しいですし、放っておけないところがあるので、そういうところは似ていると思います。
大原:今、わさびさんがフォローしてくれているように、言葉が足りない時や仕事で欠けていることがあった時には、周りのみんなに助けてもらっていますね。本当にありがたいです。
――水田さんはドラえもんと似ているところや、ドラえもんを演じていて影響を受けたところはありますか?
水田:私は似ていますよ、ドラちゃんに! おっちょこちょいだし、食いしん坊だし、すぐいろんなことを忘れたりするし……。
ドラちゃんって、ひみつ道具が出させるのに、ダメダメなところもあるじゃないですか(笑)。そういうところはすごく共感できます。
大原:ドラえもんってちゃんと怒ってくれるんですよ。のび太が「悔しい~!」って言っていると、ドラえもんはのび太以上に怒って、「じゃあ、この道具で仕返ししてやろう!」といった感じで共感してくれるんですよね。
一緒に喜んでくれたり、泣いてくれたり、時に注意してくれたり、共感してくれる存在……。そういうところが「わさびさんに似ているかな」って思います。
――キャラクターを演じていて、何か心がけていることはありますか?
水田:いつもドラちゃんのことを「かわいい!」と思っているので、「かわいくしたい!」というのが自分の中でのテーマです。
ちょっと舌足らずだったりするところも、かわいさアピールというか(笑)。
大原:本当にかわいい!
――水田さんの演じるドラえもんには、「ドラちゃん」って呼びたくなりますよね。
水田:一昨年もお天気コーナーのお姉さんに「すいません、今更なんですけれど、これから、ドラちゃんって呼んでもいいですか?」って言われたんですよ。
その時、「待ってました! ぜひぜひ呼んでください!」って言いました。
――大原さんはのび太を演じていて、何か心がけていることはありますか?
大原:私はやっぱり、のび太のまっすぐさを大事にしていますね。彼は不器用だけれど、まっすぐなところは彼の魅力だと思っているんです。なので、そこに共感してくれる方がたくさんいるんじゃないかなと考えています。
その都度、のび太の感情を、自分も同じように感じて、それをそのまま演技として出すということを常に心がけています。
映画だけに限らず、『ドラえもん』という作品は、さりげなく教訓めいたことをお話にしているので、自分がそこから学んで、成長して、それがのび太くんに活かされればいいなとは感じています。
――最後に公開を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
大原:もうほとんど語ってしまいました(笑)。大きなスクリーンで、良いサウンドで、のび太くんたちと一緒に、月の冒険を楽しんでもらいたいなと思います。
水田:今回の作品は、画のクオリティーと服部隆之先生の音楽がすさまじいことになっていますので、劇場じゃないと、たぶん味わえないと思います。
それから、今年の入場者プレゼントの「ぴょこぴょこ前進!うさ耳ドラ」もかわいいんです!
ぜひぜひ劇場に足を運んでください!
――ありがとうございました。
[取材・文/宋 莉淑(ソン・リスク) 撮影/鳥谷部宏平]
『映画ドラえもん のび太の月面探査記』作品概要
2019年3月1日(金)公開
STORY
月面探査機が捉えた白い影が大ニュースに。のび太はそれを「月のウサギだ!」と主張するが、みんなから笑われてしまう…。そこでドラえもんのひみつ道具<異説クラブメンバーズバッジ>を使って月の裏側にウサギ王国を作ることになった。
そんなある日、不思議な少年・ルカが転校してきて、のび太たちと一緒にウサギ王国に行くことに。そこでのび太は偶然エスパルという不思議な力を持った子どもたちと出会う。
すっかり仲良くなったドラえもんたちとエスパルの前に謎の宇宙船が現れる。エスパルはみんな捕えられ、ドラえもんたちを助けるためにルカも捕まってしまう!
はたしてのび太たちはルカを助けることができるのか!?
スタッフ
原作:藤子・F・不二雄
監督:八鍬新之介
脚本:辻村深月
主題歌:平井大「THE GIFT」
キャスト
ドラえもん:水田わさび
のび太:大原めぐみ
しずか:かかずゆみ
ジャイアン:木村昴
スネ夫:関智一
ルカ:皆川純子
ルナ:広瀬アリス
キャンサー:中岡創一(ロッチ)
クラブ:高橋茂雄(サバンナ)
ゴダート:柳楽優弥
ディアボロ:吉田鋼太郎
『映画ドラえもん のび太の月面探査記』公式サイト
ドラえもんチャンネル公式サイト
ドラえもん公式サイト「ドラえもんチャンネル」公式Twitter