音楽
『とある魔術の禁書目録Ⅲ』『グリザイア』豊かな感性を生かしたシングル2枚を連続発表|黒崎真音インタビュー

黒崎真音さん『とある魔術の禁書目録Ⅲ』『グリザイアシリーズ』主題歌インタビュー|過去の出来事が結実した1年を経ていま伝えたいメッセージ、挑戦したいこと

黒崎真音さんが2週連続でシングルをリリースする。まずは3月6日(水)発売されたTVアニメ『とある魔術の禁書目録Ⅲ』の新オープニングテーマ「ROAR」、そして3月13日(水)リリースされる『グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION』のオープニングテーマ「幻想の輪舞」。それぞれカップリングが1曲ずつ収録されている。

シングルのこと、去年のこと、"これから"のこと……。穏やかな口調で話すそれらの話には、黒崎さんならではの豊かな感性と、作品そのものへの愛が光っていた。

「チャレンジしていかないと時間が止まってしまうような気がして」

──2018年はどんな1年になりましたか?

黒崎真音さん(以下、黒崎):『とある魔術の禁書目録Ⅲ』が8年ぶりに放送されたり、『グリザイアシリーズ』の新作に関わらせていただくキッカケをいただいたり、映画(『BLOOD-CLUB DOLLS 1』)に初めて出させてもらったり……。初めてのことがたくさんあったんですけど、過去にやってきたことが繋がった1年でもありました。

2017年にミュージカル(『英雄伝説 閃の軌跡』)に出たことで映画出演が決まりましたし、『とある魔術の禁書目録Ⅲ』も、『グリザイアシリーズ』も以前から繋がりがあって。過去に撒いた種が育って少しずつ実ってきたような、そんな感じがしました。1stアルバムの『Butterfly Effect』は"過去にしたことで未来が変わっていく"……という意味があったんですが、まさにそれを感じています。

──なんだか運命的ですね。

黒崎:不思議なんですけどね。行動の一つひとつに意味があるんだなというか。あの時思い切ってやってみて良かったなって思うことが特に多かった1年でした。

──その一方で「去年はいろいろなことを感じて、ここ最近でも特に悩んだ一年でした」というお話をブログに綴られていました。

黒崎:初めてのことに挑戦するとなると悩むことが多くて。例えば映画の撮影のときも、すぐに違う誰かになってお話をしたり、目で表現したり……ということは、これまで経験したことがなかったので、緊張してしまったり。

あとは『とある』の曲についても「『とある』っぽさ」をどう出せばいいのか、川田まみさんから引き継いだものをどう歌えばいいのか……歌の面はもちろんですけど、自分の立ち振る舞いについても考えさせられることが多かったです。

──でもこうやってお話を聞いていると、それも糧になったんですね。

黒崎:そうですね。自分から動き出すこと、学ぶこと。もっとできることがあるんじゃないかなって思えたというか。色々なことにチャレンジしていかないと時間が止まってしまうような気がして……。

それで例えば、去年のクリスマスに行ったワンマンライブ(2018年12月24日MAON KUROSAKI Christmas live 2018 ~The Gift~@赤坂ACTシアター)ではギターを弾きながら歌って。昔のワンマンではやったことがあったんですが、かなり久しぶりに「もう一回やってみようかな」と思ったんです。さらに、前半にはダンサーちゃんがコンテンポラリーダンスをして。

──前半のミュージカルのような表現というのは、真音さんがずっとされたかったことなのでしょうか?

黒崎:デビューしたころからずっとやってみたかった手法だったんですが、なかなか機会がなかったんです。今回はACTシアターをお借りすることができて、しかも去年知り合った振付師の子がそういった表現系のダンスを得意として。「いつか一緒に何かできたらいいね」という話をしていたので、オファーしたら快く受けてくれたんです。キャスティングも彼女が考えてくれたんですよ。

後半はいつも通りの……「クリスマスどこいった」といったライブになりましたけど(笑)。クリスマスソングはあまり歌わなかったんですが、それはそれで楽しかったです。

──さらに年末のファンクラブイベント"ヲト会"では餃子パーティをされたそうで。

黒崎:みんなで餃子を食べました(笑)。どんどん濃密な内容になってる気がします。男子は男子らしく食べるイベントが多いのですが、女の子のときはメイク講座をしたり……。この間は、私がすっぴんになってイチからメイクをして「忙しいひとのための黒崎真音メイク講座」を開きました(笑)。メイク道具を見せたり、写真を撮ったりして。

──それは嬉しいでしょうねぇ。

黒崎:なかなか見られないものを見てもらいたいというか。皆さん遠くから来てくれるんです。大阪、博多、中には佐渡島から毎回来てくれている人もいて。色々な手段を使って来てもらってるので……ライブに関してもそうなんですが、「特別なものを見ることができたな」と思ってほしいなと思っています。だからちょっと一風変わったことをして、忘れられない思い出にしてもらいたいなと。

『とある魔術の禁書目録Ⅲ』新OP「ROAR」

──充実の1年を経て2枚のシングルがリリースされます。しかも個性豊かな4曲が顔を揃えて。

黒崎:そうなんです。全然カラーの違う曲が揃いました。

──では3月6日に発売される『とある魔術の禁書目録Ⅲ』新OPの「ROAR」からお話を聞かせて下さい。前作のOPは川田まみさんが作詞を。そして新OPは、真音さんが作詞をされていますが、どんな気持ちで挑んだんでしょうか。

黒崎:最初にこの曲を聴いたときに、新しい『とある』の形が見えたというか。今までの『とある』のオープニングと比べてもすごくロックで弾けていて、勢いもよくて。思いつくままに、『とある』のイメージの言葉を綴っていきました。

──具体的に教えてもらってもいいですか?

黒崎:『とある』のキャラクターたちはいつも誰かのために誰かと戦っていたり、自分自身と戦っている。その姿がすごくカッコイイと思っていて。前だけを見て「いくぞ!」って進んでいく彼らの存在は、私の憧れなんです。そんな彼らの「誰にも負けないんだぞ」って意思の強い歌詞を書きたくて、まずワンコーラス書きました。でも「大丈夫かな、黒崎真音の色を出しすぎてないかな」って一瞬不安になって。そのときに川田まみさんに連絡したんです。「歌詞を見ていただけないですか?」って。

──へぇ! まみさんはなんておっしゃってました?

黒崎:まず「『とある』っぽさ出てますか?」と聞いたら「出てるよ!『とある』の世界観だよ!」って言ってくださって。それで自信がついて最後まで書くことができました。

──このタイトルはどんな思いから生まれたんですか?

黒崎:タイトルは最後につけたんです。曲を書いているときに、オフのときの自分の感情、ロシア編でさらに激化していく事象との戦い、怒りさえも力にして前に進んでいく姿……そういうものをこの曲に宿していけたらいいなと思ったんです。印象的な言葉を探していたときに「ROAR」に出会って。シャウトの意味に近い言葉ではあるんですけど、さらに重たい"雄たけび"という意味があって。すごく雄々しい。

──曲はまさに雄々しい叫びからはじまっていきます。あの叫びに、初っ端から心掴まれます。

黒崎:最初の叫ぶところはレコーディングが大変でした(笑)。最初にチャレンジさせてもらったんですが「もしかしたら全部録ったあとに、そこを録ったほうがいいかもね」って中沢(伴行)さんとお話して。ライブでは叫ぶことはあっても、私生活で大声を出すことってあまりないんですよね。

だからうまく出せなかったところもあって。練習を重ねて、上を向いたり、下を向いたり、研究しながら歌ってみたんですが……本当に体力が持たない曲なので、最後は座りながら歌って。その中から厳選して選んだんです。大変ではあったんですが、すごく大切なところだと思ったので……。

──聴き手の耳に最初に入ってくる言葉ですもんね。

黒崎:そうなんです。そういう曲ってこれまでなかったですし、アニメでも大事な部分になるだろうなと思って、そこに命をかけました。

──さきほど"オフのときの自分の感情"を入れたという話をされていましたが、それはどのあたりを指すんですか?

黒崎:自分で書いている歌詞なので全部にそういう意味はあるんですが、特にリンクしているところは、Bメロの<…きっとこんな日も笑える日が来るから><…そうさ全てを選んでここに来たから>という、未来に繋がっていく言葉です。目標を諦めないことによって見えてくることがある……というイメージで書いていきました。

私自身もここに来るまでに悩んだり嫌になったりしたこともあったけど、その道を選んだのは自分だから……そこに誇りをもって進む姿に敬意を表しているというか。1番のBメロの時は後ろの音が静かになるんですよね。ハッと気づかされるようなシーンになっていて、特に気に入っています。

──こうやってお話を聞いていると、思いのままに歌えたのかなと。

黒崎:そうかもしれません。「Gravitation」の時は、まみさんから引き継がせていだくタイミングでもありましたし、曲が少しお化粧をしていたところもあったので、自分のなかで「こういう解釈かな」って迷いながら進んでいたところがあったんですけど、この曲に関しては自分のなかにあるイメージや状況がすべて一致した気がして。中沢さんの曲も「こういう曲歌ってみたかったな」という世界観で、色々なものがひとつになって良いタイミングで出会えたのかなと。

──「Gravitation」は<迷いのままに心>というワードがありましたが「ROAR」では<心のままに><一途に迷え! Go My way!>とハッキリと歌われていますもんね。真音さん自身も、振り切って前に進んでいることが伝わてきます。

黒崎:<一途に迷え! Go My way!>ってところは、実は私がまみさんからよく言われていた言葉なんですよ。まみさんはいつも「そんなこと気にしなくていいんだよ!」「うじうじするな!いけー! 好きなようにやったれー!」って背中を強く押してくださっていたんです。私にとってまみさんと当麻は似てるなと思うところがあって。まみさんからいただいた気持ちもこの曲に落としこみつつ、「Gravitation」との繋がりを意識してこの言葉を書きました。

──"この手"という言葉はこれまでの曲にも入っていましたが、今回は<この拳(てのひら)>という表現になっていて、より力強さを感じました。

黒崎:当麻の幻想殺し(イマジンブレイカー)が世界をどんどん変えていって人のこころも動かしていて。一見地味に思えるけどすごい力をたくさん秘めているんですよね。当麻自身にもパワーと人情があって、そこが凄くカッコイイところだなと思っているので、そういう気持ちを込めましたが、聴いてくれたかたが自由に感じてくれたら嬉しいです。

──ところでロシア編はどんな印象を受けていますか?

黒崎:新しいキャラクターが増えてきたり、一方通行(アクセラレータ)が大活躍したり……みんなを見ていると、自分自身と戦っていることを感じるんですよね。

現実世界の私たちは特殊能力を持っていないけど、人それぞれ、悩みや葛藤を昇華する方法はある気がするんです。それが私にとっては歌で。私は歌で戦う術を得たんだなぁと、『とある』のアニメを観ていると凄く思うんです。彼らからもらったそんな気持ちもこの曲に詰め込みました。

カップリングの「To My Dear...」は「真っ白なラブソング」

──M-2「To My Dear...」のようなラブソングって珍しいですよね。

黒崎:そうなんです! この4曲のなかでも珍しいテイストですし、歌詞は切ないのに曲は暗くないというか……。珍しいバランスの曲だなと思っています。

でもワンマンライブのセットリストを自分で組んでいて……熱血ソング・熱血ソング・熱血ソング、また熱血ソング……ってすごく偏ってるなって思ってて(笑)。黒崎真音っぽいなとは思いますけど。たまには落ち着いた曲も欲しいなと思っていたタイミングだったんです。

──『décadence -デカダンス-』に収録されていた陰りのあるラブソング「Renka.」と同じ板倉孝徳さんが作曲されているのが面白いなと。

黒崎:そうなんですよね(笑)。編曲も宮崎京一さんにお願いしているので、ほぼ同じメンバーなんです。でもこの曲に出会ったのは偶然で。今回は恐れ多いんですけど、数曲のなかから選ばせていただいたんです。最近は熱血ソングというか……激しい曲が多かったので、ちょっとミディアムで静かな曲を歌いたいという気持ちがあったんです。それで「この曲、すごくいいなぁ」と。

その時点では誰が作曲されているかは分からなかったんですが、後から板倉くんが書いていた曲だと知りました。その時点ではもう少しシンプルな曲だったんですが、「ROAR」とバランスを取るためにも、宮崎さん、出口遼さんにご協力いただいて、ストリングスでさらにドラマティックにしてもらいました。

──どんなお気持ちで書かれた曲なんですか?

黒崎:ちょっと唐突なんですけど……私、舞台や映画などの作品を観ることがとにかく大好きで、この1か月だけでも舞台を10本以上観に行ったんです。

──それは凄い! お忙しいでしょうに。

黒崎:でも時間があったら行けるだけ行きたくって。物語を見てると、色々なひとの人生を知られるじゃないですか。それが好きなんですよね。

で、ある作品にすごく感動してしまって……。その作品からイメージをもらって書いた曲なんです。作品名は言えないんですが、付き合っていた二人が、明るい気持ちでその恋を終わらせる……というお話で、すごく美しいなぁと。

小さいころからそうなんですけど、私は登場人物になったかのような気持ちになってしまうんです。入り込んでしまって、2次元のひとと近い距離になってしまうんですよね(笑)。だからスラスラと歌詞を書くことができました。

自分の経験談として語る曲もあれば、フィクションとして語りたい曲もあるんですが……この曲はすごく不思議で、共感した気持ちを曲にしていますが、実は誰かの人生に感化されて生まれた曲で……でも、この曲のバックボーンは気になさらず、好きに感じてほしいなと思っているんです。

──ある意味、真っ白な曲というか。

黒崎:そうですね。真っ白です。

──ところで歌詞のなかに「花」が出てきますが、真音さんの曲にはよく花が登場しますよね。

黒崎:花が好きなんです。歩いていてお花が咲いていると絶対写真を撮ってしまうくらいすごく好きで。そういうシンプルな理由なんです(笑)。種から育っていって咲いて枯れるところだったり、お水や太陽や、いろいろなものが合わさらないと咲くところまで至らなかったり、日陰に咲く花がある一方で花屋さんで飾られている花があったり……人の人生を表しているようでもあるし、それぞれの人生があるなと思っていて。

花をタイトルにしている曲も結構あって、花言葉を調べてもらうと、さらに向こうにある意味も伝わるかなって。だから今回の曲も花の名前にしようかなと悩んだんですけど、ピシッとハマる花言葉が見つからなかったので、ストレートなタイトルにしてみようかなと思って、このタイトルになりました。

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