春アニメ『さらざんまい』久慈悠役・内山昂輝さんインタビュー|幾原邦彦監督に出会って感じた役者としてのあれこれ
人間の性格は一言では説明できない
――内山さんご自身から見て悠の生き方はどのように映りましたか?
内山:中学生なのにとても重いものを抱えていますし、その背景がまた複雑だなという印象を受けました。
その暗さ、ダークな雰囲気をどう表現するかが重要だったと思います。
なので、そこまで中学生らしさを意識せずにやりましたし、クラスメイトよりもだいぶ先に、人や世の中の黒い部分を見てしまったんだろうなと想像しました。
――悠の魅力は何でしょうか?
内山:自分のキャラクターの魅力を説明するのは難しいですね……。ただ、一稀と燕太と3人で行動しなければならなくなって、お互いに理解を深めていく中で、徐々に悠も自分の意志で協力していくようになるのは見事な展開だと思いました。
――内山さんから見て一稀と燕太をどういうキャラクターとして捉えていますか?
内山:一稀は基本的に明るくて、他人ともコミュニケーションが取れる普通にいい子っていう第一印象でしたが、一方で、過去との向き合い方を模索している。だから、弟に対して偽ることで関係を築こうとする。
本作のキャラクターはみんな一筋縄ではいかないというか、多面性があると思うんですよね。一稀も明るそうに見えて暗いところもあります。
燕太もまた、いろいろな思いを抱えた興味深いキャラクターです。 最初は一番まともそうに見えていたけど、意外な一面も徐々に見えてくる……。
作品全体を通して、「自分の想いのために何でもやるんだ!」っていう、人間のある種の身勝手さはドラマを動かしていくんだなって思いましたね。
――今作のテーマは“つながり”ですが、声優陣でのつながりやコミュニケーションはどうでしたか?
内山:みんなで『さらざんまい』という作品を大いに楽しんでいたと思います。
幾原監督などスタッフの方々とも話す機会が多かったので、作品について分からないところがあったらどんどん聞いて、先の展開なども教わっていました。
――何度も共演されている役者さんも多かったと思いますが、アフレコ中はどんなお話を?
内山:みなさん適材適所で、キャラクターにとても合っているなと思いました。
絡むことが多かった誓役の津田さんとは、最近共演が多くて、たとえば『僕のヒーローアカデミア』でもともにダークサイドにいるキャラクターで、「なんか、我々暗い役ばっかりやっているな……」って話したりしていましたね(笑)。
カッパは普通かな……(笑)
――尻子玉を抜かれるシーンは生々しかったですが、映像で観られていかがでしたか?
内山:あのシーンはアフレコの段階でかなり映像が出来上がっていました。なので、細かい動きまでわかっているし、何度も何度も見たので慣れきってしまいました。
だからこのシーンに限った話ではないんですが、もう今となっては、『さらざんまい』を初めて観る方の気持ちが全くわからないんですよ。「尻子玉搾取」という言葉もスタッフやキャストの間ではもう当たり前の共通言語だし。
さすがに最初は「え? 尻子玉ってどういうこと?」って感じたと思うんですよ。でもその感覚が今では全然思い出せないんです。
――ヌルっとした感じはびっくりしました……。
内山:確かにそういうディテイルが丁寧ですよね! とにかく情報量の多さと描写の細かさが凄まじいので、一見ポップでゆるく見えるルックだけど、実はとても深く見応えがある印象です。
――ちなみに、キャラクターたちがカッパの姿になりますが、内山さんはカッパはお好きですか?
内山:……普通です(笑)。特にこれまでの人生でカッパについて考えたことがなかったです。カッパと名のつく飲食店くらい……?(笑)
――作品に出てくるカッパの中でどの子が好きですか?
内山:結局、総じてカッパは普通ですかね……。この作品の中には、カッパだけじゃなくて、いろいろな生物が登場するし。
――カッパ以外で気に入ったキャラクターは?
内山:警官コンビの新星玲央(声:宮野真守)と阿久津真武(声:細谷佳正)が踊るシーンが脳裏に焼き付いています(笑)。
また、彼らは毎回謎めいたセリフを言いますし、目が離せないコンビです。