「蒼井翔太にしかできないことを開拓して、磨き続けていきたい」――進化し続ける蒼井さんが描いた“相反するからこその美しさ”|『蒼井翔太 LIVE 2019 WONDER lab. I』東京公演レポ
声優・アーティストである蒼井翔太さんが、自身約1年ぶりとなるライブツアー『蒼井翔太 LIVE 2019 WONDER lab. I』を開催。2019年1月~2月にかけ、全5都市7公演で行われた本ツアーは、通算約22,000人を動員しました。
ここでは、2019年2月9日(土)に、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザでの公演をレポート。
「ライブでは雨が付きもの」と感じている蒼井さんファンの多くも、東京都内が大寒波に見舞われ「まさか雪になるとは……」という思いがよぎる中、悪天候をものともしない眩さに包まれた東京公演の模様をお届けします!
「雨男から雪男にレベルアップ」!? 蒼井さんも楽しみにしていた東京公演開幕♪
会場内に足を踏み入れると、外界の寒さとは裏腹に、開演前から茹だるような熱気。ツアーTシャツに着替え、軽く準備運動をする男性ファンなども見受けられ、開演を今か今かと待ち受けながら多くのファンが “その時”に備える光景に、早くもライブが楽しみになってきます。
開演時刻、暗転した会場中央のスクリーンに映像が。屋上からさん然とした都会の夜景を見下ろす男性。黒い服に目元深くまでフードを被った彼の表情は、こちらからは伺うことができません。
そして、瞬く間に男性の姿が消えた……かと思いきや、ステージ上に掛かっていた黒い幕が落ち、映像内にいたはずの男性が現れます。まるで映像内から飛び出してきたかのような光景に驚く会場。ステージ中央で、ゆっくりとのその面を上げた男性の正体は、誰もが登場を待ちわびた蒼井翔太さん。
そのまま、この日のオープニングソング『Eclipse』を披露。真っ赤に染まった会場では、まるで同楽曲がOPを担当したTVアニメ『デビルズライン』を思わせるダーティーな演出に、ボルテージが爆発的に湧き上がるのを感じます。曲終わりの、蒼井さんのロングトーンに鳥肌が!!
コートを脱ぎ捨てた蒼井さんが「東京、盛り上がっていくよ!」と会場をあおると、ロックナンバーから一変、『イノセント』で澄み渡るような爽やかな歌声を響かせました。
MCでは「張り切りすぎて雪を降らせてしまいました(笑)」と語った蒼井さん。「雨男から雪男にレベルアップかな?」と、どこかうれしそうな笑顔を浮かべながらも、来場者への感謝の思いと、同ツアー最大規模となる会場での公演を迎えたことへの思いを真摯に語ります。
雪が降ると春が来る……「そんな時期に寄り添う“切ない恋の歌”です」と披露されたのは『ユメノツヅキ』。失恋した切なさを歌う本楽曲は、バラードでありながらもどこか激しい熱を帯びていました。
次の『INVERTED』の前には、コール&レスポンスを実施。会場を左右2分割したり、アリーナ、3階、4階席に分けたりと、ファンと声を掛け合い、これまで以上の大歓声を生み出します。
そんな雰囲気を艶やかに塗り替えたのは『零(ゼロ)』。和のエッセンスを含む本楽曲に合わせ、優雅に舞い踊る蒼井さんの姿に会場の誰もが魅了されていきました。
再びMCコーナーでは、「初めて蒼井翔太のライブに来た人は知らないかもしれないんですけど……おしゃべり大好きなんですよ」とお茶目に切り出した蒼井さん。「3時間は(しゃべれるかな)……ウソ、ウソ!(笑)」と笑みを飛ばす姿は、歌唱中とはまた違った表情で会場を魅了し、ファンと同じように“この一瞬を楽しみたい”という思いがMCからも感じられます。
会場のファンとのデュエット曲『UNLIMITED』で歌声と心を交わしあうと、『S』では炎が打ち上がる中、刺激的&攻撃的なパフォーマンスを披露。“S”コールで応えるファンも、ステージを包む炎と同様にヒートアップしていました。
“蒼井翔太”ライブ初の試みとなるダンスパートで圧巻のパフォーマンス!
ライブもいよいよ後半戦へ。白い幻想的な衣装にチェンジした蒼井さんが披露したのは、眩くも無秩序な都会の夜景を背に歌いあげる『I am』。
しかし、“蒼井翔太”というどこか幻想的な存在、歌声が合わさると、不思議とこの世のものではないように見えてしまう……相反するからこその美しさ。それはきっと、“蒼井翔太”というアーティストにしか描き出せないものかもしれません。
続く『Distance』では、暖かな夕陽を思わせる窓辺が映し出され、「その悲しみを癒せたらいいのにな」と歌う姿は眩く、会場をそっと包み込むような体温が感じられるようです。
赤と黒のダイヤ柄のスタイリッシュな衣装にチェンジすると、蒼井さんのライブ史上初の試みとなるダンスパートが披露されます。
ダンサー6名と激しく踊る一糸乱れぬフォーメーションダンスから、続けざまに『Checkmate』へ。後のMCで蒼井さんは、「蒼井翔太にしかできないことを開拓して、磨き続けていきたい」と語っていましたが、常に挑戦し続ける“蒼井翔太”という1人の人間のプロ意識、そして人間性には驚かされるばかりです。
そして、彼にとっての“はじまりの歌”『ブルーバード』を歌い上げると、『Stay with Me!!』、『Why,pessimistic?』で、会場のボルテージを上げ続けます。
本編ラストを飾った『SMILE SMILE SMILE』では、会場に向けて満面の笑みを浮かべる蒼井さん。「みんなの笑顔も見たい!」と笑顔を求め、会場中にはたくさんの笑顔が咲き誇っていました。
アンコールでは、ツアーT×黄色のチェックシャツにデニムを合わせたカジュアルな衣装にチェンジ。トロッコに乗り込み『Hungry Night』で客席を回り、元気いっぱいのパフォーマンスを見せます。手を振るファンに答えたり、笑顔を浮かべたり、会場後方を大きく見渡したり、様々な方法でファンとの交流を楽しんでいました。
ファンと一緒の写真撮影コーナーを経て、蒼井さんにとって記念すべき10枚目のシングルの表題曲であり、2019年4月スタートのTVアニメ『この音とまれ!』OPテーマ『Tone』を披露。青春を感じさせる爽やかなメロディにポップな歌声&パフォーマンスに、会場中がハッピーな雰囲気で満ちていきます。
ラストに『君のとなりで』を披露した蒼井さん。これで本公演は終了……かと思いきや、蒼井さんが、舞台袖に戻っていたダンサーやバンドメンバーを慌てて呼び戻して、ステージに再登場。
「今日は特別! 最後に笑顔で終わろう!」と『SMILE SMILE SMILE』を再び披露し、会場はこの日一番の笑顔に包まれました。
アーティストデビューを迎えて5年、これまでの道のりを振り返りつつも「まだまだ5年」と振り返った蒼井さん。続けて「10年、20年とみんなと歩んでいきたい」と思いを呟くと、会場へ真っ直ぐと目線を向けます。その表情は真剣そのものですが、すぐさま照れ笑いを浮かべてしまうところは、“蒼井翔太”というアーティストが多くのファンに愛される理由の一端なのかもしれません。
ここまでの5年、これからの10年……“蒼井翔太”というアーティストが見せてくれる景色が、どのように変化していくのか楽しみに。きっとその光景は、彼の始まりの歌である『ブルーバード』で歌った、「夢が始まる」時と変わらない眩さに包まれているはずです。
[写真/上飯坂一・藤森勇気、取材・文/河内香奈子]
「蒼井翔太 LIVE 2019 WONDER lab. I」
2019年2月9日(土)、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ公演
【セットリスト】
01.Eclipse
02.イノセント
03.ユメノツヅキ
04.INVERTED
05.零
06.UNLIMITED
07.S
08.I am
09.Distance
10.Checkmate
11.Bet On You
12.ブルーバード
13.Stay With Me!!
14.Why,pessimistic?
15.SMILE SMILE SMILE
<ENCORE>
16.Hungry Night
17.Tone
18.君のとなりで
19. SMILE SMILE SMILE