映画
アニメ映画『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』峰不二子役・沢城みゆきインタビュー

アニメ映画『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』峰不二子役・沢城みゆきさんインタビュー|不二子さんは世界各国どこにでも行けるチケットを持っている

不二子には家は必要ないのかも

——「LUPIN THE ⅢRD」シリーズの作品は『ルパン三世』のメインキャラクターがそれぞれ主人公になっています。とうとう今回は不二子の番ですが、他のメインキャストのみなさんからは何か言われましたか?

沢城:銭形警部役の山寺さんに「今度、不二子の収録あるらしくて楽しみにしています」と言ったら、「俺出てる?」って言われて(笑)。

「聞いていないということは俺出てないんじゃないの?」と言われて、「嘘、そんなことある!? 確認してみます」って確認したら出てないという(笑)。そういうことはありました。

このシリーズって、まず次元大介のお家が建って、次に石川五ェ門というお家が建って、という感じなんです。

栗田さんから、今回のシリーズでみんなが前任を引き継ぎつつも、「浪川大輔の五ェ門」「沢城みゆきの峰不二子」というお家が建つようなものだから、今回どういうお家が建つのか楽しみだと仰っていただけて。

私もそういうものになったらいいなと思っています。

——今のお話の家で表現するなら、不二子に家はいらないのかもしれません。

沢城:本当ですね。これっていうのが無いのが彼女らしさ。監督によって不二子像がそもそも違うじゃないですか。

賢い不二子が好きな方、可愛い不二子が好きな方、不二子を描く監督によって好きな不二子像が違うんだなというのが毎年よく分かるシリーズです。

今回の不二子はそれをぎゅっと凝縮して、いろんな顔がシーンごとに見える。でも最後はどこにいくのか。

そう考えると、不二子には家は必要ないのかもしれませんね(笑)。

「てめえの命の責任はてめえで取る」という潔さに憧れる

——実は2014年のトムス・エンタテインメントの50周年のイベントも取材を担当させていただいた過去がありまして。栗田さん、浪川さん、沢城さんで一緒に『ルパン三世』で登壇されていましたね。

沢城:そうですね。みんなでイベントに出ること自体があまりないので覚えています。

私、黒いワンピースで、今回の映画の不二子さんみたいなヒールを履いていていたと思う。そして、私と浪川さんが凍りついていた気がする(笑)。

おそらく峰不二子役としてイベント出るのが初めてだったんじゃないかな。それで緊張していたんだと思います。

——イベント中も緊張していると仰っていましたね。あの頃から峰不二子と出会ってご自身で変わられた事はありますか?

沢城:そうですね……。あの時から峰不二子役というよりは「峰不二子先生のかばん持ちの沢城みゆきです」という気分なんです。もうそろそろ卒業しないといけないんですけどね。

でもずっとそのスタンスは変わりません。みんなが大好きな不二子ちゃん、みんなが素敵だと思っている不二子ちゃんのそばで、こんなに長く生活させてもらうなんて幸せですよね。

彼女に良いお弁当が出るから私にも良いお弁当が一緒についてくるみたいな、そういう感じ。不二子さんのおかげで、私まですごく大事にしてもらえる場が増えました。

「峰不二子役の」と言っていただけるだけで、今まで座ることができなかったソファにも「どうぞどうぞ!」って言っていただけるというか。

その中でも若干の居心地の悪さみたいなものと並走しながら、やっぱり彼女が見せてくれる、私一人じゃ行けなかった世界がいっぱいあって、ありがたいことですね。

——連れて行ってくれたみたいな感じですか?

沢城:世界各国のどの飛行機にも、どの自動車にも、どの電車にも乗れるチケットを彼女は持っているんです。あちこち連れて行っていただいたような気がしますね。

——もちろんご自身の力もあると思うんですが。

沢城:そうだったら良いんですけどね(笑)。

——いつも謙虚でいらっしゃるその姿勢があるからこそ、役がやって来てくれるんじゃないかなと思います。

沢城:私だって、「はーい、不二子ちゃんです!」って言いたいんですけどね(笑)。私が不二子さんを演じているうちに間に合えばいいんですけど。

でも、せっせと彼女のために努力をして、何年経っても彼女の後を追いかける、まめなカバン持ちとして不二子さんが好きでいてくれたらいいなと思っています(笑)。

そこは自信があります。彼女のことをよく見ている、彼女のことを大事にしてきたっていう自負はありますけどね。

——マネージャーみたいなものですね。

沢城:そうです。彼女的にそんなに好きじゃないと思うこと、男の人たちから要望されてやらなきゃいけないことがあると思うんです。

そんなときも「そういうお仕事なんで、ひとつよろしくお願いします〜!」とお願いするのが私の立場。

——後輩的に「不二子さん、今日もやっちゃいますか!?」みたいな?

沢城:そうそう! 女としてそばにいるから、男の人から来た「セクシーなものをお願いします」という要望に、「やってやりますか!」「もうちょっと足出しておきますか!」みたいに持ち上げている感じですね。

——(笑)。では最後に、ズバリ、不二子の好きなところを聞いてみたいのですが。

沢城:好きなところか……。あれ、私そんなに不二子さんのこと好きじゃないかなぁ(笑)。

——なんと……!

沢城:うーん、困っちゃいますね。やっぱり、彼女を許したくなっちゃうところがものすごく大事なんですよ。本当に大事。許す対象だから好きとはまた違うかもしれません。

あえて挙げるとしたら、今作でも言っているんですけど、「できもしない嘘はつきたくない」っていうところは好きかもしれませんね。

どんな状況下にあっても自分の性分に合わないことはしない。もしかしたらできなくて本人が一番苦しいのかもしれないんですけどね。

そこの迎合しなさは、私からするとカッコ良い男前な姿に見えているのかもしれません。彼女は最終的に自分で全部責任を取ろうとしますから。

簡単なものは全部ルパンに振っちゃったりするけど、『LUPIN THE IIIRD』シリーズに関しては、「てめえの命の責任はてめえで取る」という潔さに憧れますよね。

私たちが生きている現実って、いろんなもののしがらみがたくさんある中で生きていますよね。そのしがらみは、時に絆と呼ばれたりもするから決して煩わしいだけのものではないんですけど、そこに迎合しない様というのがカッコ良いですよね。

[インタビュー/石橋悠]

 

1989年(平成元年)生まれ、福岡県出身。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者兼ナイスガイ。アニメイトタイムズで連載中の『BL塾』の書籍版をライターの阿部裕華さんと執筆など、ジャンルを問わずに活躍中。座右の銘は「明日死ぬか、100年後に死ぬか」。好きな言葉は「俺の意見より嫁の機嫌」。

この記事をかいた人

石橋悠
1989年福岡県生まれ。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者。

担当記事

関連記事
【そろそろBLのこと知ってみませんか?】いまさら聞けない商業BLの世界!「アニメイト編集部BL塾」開校【前編】
近年盛り上がりが急激に加速している「ボーイズラブ(通称、BL)」。20年以上前は秘匿性の高かったジャンルが、過渡期を迎えていた。ところが、アニメイトタイムズ編集部員の石橋さんはほとんどBLに触れてこなかった様子。BLの知識はほぼないに等しい。アニメイト社員ともあろうものが、このままでは波に乗り遅れてしまう。やばい、やばすぎる。……ということで、「アニメイトタイムズ編集部員にBLのアレコレソレを教えて!」と急遽助っ人を要請。「アニメイト編集部BL塾」と題して、BL塾の開校に踏み切った。今回の企画では、BL通のライター・阿部裕華が先生役となり、BLの世界をいちから初心者の方に向けてご案内。BLを知りたい! もっと深く知りたい! と思っている読者のみなさんは、石橋さんとともに生徒気分でお楽しみを。※BL事情は諸説あるため、本企画には個人的見解も含まれています。※一部、R-18の作品も紹介しています。<登場人物>●阿部裕華フリーのライター。本企画の助っ人。石橋さんの飲み友達。BL愛好歴15年。『好きなものは好きだからしょうがない‼』に衝撃を受け、BLへ沼落ち。黒髪メガネ受けが登場する商業BLマンガは一通りチェックする。今回の先生役。●石橋悠アニメイトタイ...
関連記事
「田村ゆかり BIRTHDAY LIVE 2018」に王国民歴10年の編集者と初参加ライターで参戦してみた
「ゆかりん(田村ゆかりさん)が2018年2月24日、25日、27日に武蔵野の森総合スポーツプラザで、「田村ゆかりBIRTHDAY♡LIVE2018*Tricolore♡Plaisir*」を開催するんです。その名の通り、バースデーライブ。せっかくの機会。非常に貴重なライブなので、取材してください」アニメイトタイムズの編集者・石橋さんから、上記のメッセージが届いたのは2月中旬のこと。スケジュールを確認した結果、25日・27日なら取材可能だった。彼にそのまま伝えると「参加するなら27日が圧倒的にオススメです」とキッパリ。その理由を聞いてみると、田村ゆかりさんが誕生日当日にライブを行うのは5年振りということらしい。「2度とないこの日のライブにこれまでにないレポートを書いてほしい」これが僕に課せられたミッションだ。「当日は横で解説お願いしますよ?」(川野)「いや、それは無理です(即答)。僕は3日間全て客席にいるので」(石橋)なるほど。アニメイトタイムズの編集担当・石橋さんは生粋の王国民(田村ゆかりさんのファン)だった。こんな贅沢な時間を取材席で淡々と見つめることはできないと。1人のファンとして声を熱を届けたい。応援したいという大人の判断である。「僕は初心者の目線としてラ...
関連記事
祝『ヒプノシスマイク』1周年大特集! 第1弾「世界観&ハマる理由編」|ご新規さんもゴリゴリのヘッズも読んでほしい『ヒプマイ』が素晴らしい理由
8月26日に行われたライブも大盛況のうちに幕を閉じ、話題沸騰中の『ヒプノシスマイク』。声優とラップという異色の組み合わせで、新たなムーブメントを巻き起こしている『ヒプノシスマイク』が、9月2日で1周年を迎えました!アニメイトタイムズでは、1周年を記念して『ヒプノシスマイク』を大特集! 全5回に渡って、世界観やキャラクターについて掘り下げていきます。第1回となる今回は、「世界観」と「ハマる人が続出している理由」について。ヒップホップとアニメ漬けの生活を送ってきた編集部員・石橋が解説していきます。「ちょっと乗り遅れちゃったな〜」「もうちょっと詳しく知りたいな」「ここで復習しておきたい!」と思っているヘッズのみなさんはぜひご覧ください!なお、本企画は石橋の個人的見解も盛り盛りでお届けしますので、ご了承ください。そもそも『ヒプノシスマイク』って何ですか?まずは『ヒプノシスマイク』という作品そのものについて語っていきましょう。『ヒプノシスマイク』は2017年9月4日に発表されたキングレコードのEVILLINERECORDSによる音楽原作のCD企画です。木村昴さん、浅沼晋太郎さん、速水奨さん、白井悠介さんといった人気声優をキャスティングし、キャラク...
もっと見る
関連記事
『絶望放送』や『下ラジ』を作った構成Tこと構成作家・田原弘毅さんに聞く「ラジオの作り方」──連載第1回「苦情も来ないようなラジオは誰も聴いてないんですよ!」
 ラジオってどうやって作られているのでしょう? 何気なく「パーソナリティが話しているのを録音して配信、生放送したもの」というイメージがありますが、実際のところ、素人からするとブラックボックスな部分が多いような気がします。どんな仕組みでできているのか、気になりませんか? そんな「ラジオの作り方」をお伝えする企画がスタートです。私たちを導いてくれるのは構成Tこと、構成作家・田原弘毅さん。『ぱにらじだっしゅ!』『さよなら絶望放送』『下ネタという概念が存在しない退屈なラジオ』などの伝説的なラジオをアニメイトTV、アニメイトタイムズで数多く制作してきた田原さんと、愉快なゲストをお招きして「ラジオの作り方」についてレクチャーしてもらいます。 さらに、今回の企画の集大成として、アニメイトタイムズ新米編集者・石橋が田原さんと共にラジオを作ります! しかし、聴くのは好きでも作るのはズブの素人である石橋。果たして、ラジオを作ることはできるのでしょうか? 連載第1回となる今回は、ラジオのプロデューサーをしているフロンティアワークスの寺田純一さんをお招きし、ラジオ作りの裏側を聞きながら、これから目指すアニメイトタイムズラジオのヒント...
関連記事
『すずめの戸締まり』新海誠監督インタビュー|神木隆之介さんへのオファーは一度断れながらも電話で直談判!? 10年たった今だからこそ描く東日本大震災への想い
また新海誠監督の最新作がやってきます。まるで4年に一度のオリンピックを楽しみにするように、3年に一度のお祭りのような感覚で新海監督の作品を心待ちにしている自分がいます。それは、読者のみなさんも同じではないでしょうか。『すずめの戸締まり』はその期待を良い意味で裏切ってくれるはずです。だって、新海監督の作品ですから。公式サイトやTwitterで事前にアナウンスされているように、本作『すずめの戸締まり』は、地震をモチーフにしている、花澤香菜さんや神木隆之介さんが出演する、監督史上最大規模の作品、といった気になる情報がいくつか散見されます。新海監督はどういった経緯で『すずめの戸締まり』の制作に踏み切ったのでしょうか。本稿では、映画公開を直前に控えた新海監督に行ったインタビューの模様をお届けします。監督の言葉の端々に隠されたヒントを読み解いていきましょう。おすすめ記事寂しい風景が増えた日本ーー試写で作品を拝見させていただきました。待望の新作ということでワクワクしております。新海誠監督(以下、新海):3年ぶりになってしまい申し訳ありません。観客のみなさんがどう思っているのか気になっています。ーー新海監督の作品では珍しいロードム...

 

『LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘』作品情報

5月31日(金)より新宿バルト9ほか限定劇場公開
共同配給:ティ・ジョイ、トムス・エンタテインメント

ストーリー

不二子は逃げていた。父親が横領した5億ドルのカギを握る少年ジーンとともに。二人はジーンの父・ランディを襲った殺し屋ビンカムに命を狙われていた。

呪いの力によって人の心を操るビンカムから一度は逃げ延びるが、拘束されてしまう不二子とジーン。ビンカムの鋭利な爪が今、不二子に襲い掛かる――!

スタッフ・キャスト

原作:モンキー・パンチ
監督・演出・キャラクターデザイン:小池健
脚本:高橋悠也
音楽:ジェイムス下地
クリエイティブ・アドバイザー:石井克人
 
【声の出演】
栗田貫一、小林清志、沢城みゆき、宮野真守

【製作・著作】
トムス・エンタテインメント

【アニメーション制作】
テレコム・アニメーションフィルム

公式サイト
公式ツイッター(@lupin3_series)

おすすめタグ
あわせて読みたい

関連商品

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2025年冬アニメ一覧 1月放送開始
2024年秋アニメ一覧 10月放送開始
2025年春アニメ一覧 4月放送開始
2024年夏アニメ一覧 7月放送開始
2024秋アニメ何観る
2024秋アニメ最速放送日
2024秋アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング