デビュー15周年記念ライブで堂々の生涯現役宣言!「ライブが私の生きる場所」──KOTOKOさん豊洲公演詳細レポ
シンガー・KOTOKOさんのメジャーデビュー15周年記念ライブ "Fifteen Tales"が北海道・東京の二か所で開催されました。
KOTOKOさんは音楽制作集団「I've」のボーカリストとして2004年にメジャーデビュー。アニメ/ゲームソングなど約300曲(!)を世に送り出してきた歌姫です。今回の記事では、2019年4月28日(日)、豊洲PITにて行われたメモリアルライブのレポートをお届けします。
約3時間半繰り広げられた時間旅行の旅、まずはCブロック<2014年~2018年>から
15周年の祝祭とあって開演前から熱気と期待に包まれる超満員の客席。プラス、今回の公演は平成ラストとなるKOTOKOさんのライブ、しかも事前に行われたファン投票によって演目が決められたこともあっていつも以上にワクワク感が漂っていたように感じます。
暗転すると影ナレーションでKOTOKOさんの優しい声が響き渡りました。KOTOKOさんはここでは語り部。オルゴールの穏やかな音色が流れるなか、時間旅行をする少女の物語を伝えていきます(オルゴールのBGMは、KOTOKOさんの名曲がセレクトされていました)。少女は"C"と書かれた城の門の前に立ち、恐る恐る扉を開くと……。
時計の針が響き『不思議の国のアリス』のうさぎを彷彿させる姿でKOTOKOさんが登壇しました。
大歓声が響くなか最新ニューアルバム『tears cyclone -廻-』から「廻-Ro-tation」を熱唱します。続けて思い入れの深い作品と公言している『バルドスカイゼロ2』から「Reboot oN/↓0」。疾走感溢れるデジタルサウンドを支えるのはバックバンドとゲストのI've高瀬一矢さんです。初っ端から飛ばしていきました。
まずは「15周年、むかえました~!」と笑顔で第一声。長く熱い拍手を全身で受け止め、「みんなもう分かってるとは思うんですが」と前置きして今日の趣旨を説明します。
「今日はこの15周年の軌跡を振り返るにあたってファンの皆さんからとっていたアンケートの上位曲でセットリストを組んでいます。Aブロック<2004年~2008年>、Bブロック<2009年~2013年>、Cブロック<2014年~2018年>、Oブロック<2000年~2004年3月>となっています。最初はCブロックからです。曲と共に時間旅行をする物語に誘っちゃおうと思っていますので、楽しんでいただければ嬉しいです」
また、ゲストに縁のある作曲家・クリエイターもゲストとして呼んでいることも明かします。
「この15周年を振り返ると……色々なことがありました。色々な楽曲を書いていただいた音楽クリエイターの皆さんとの出会いも私にとっては本当に大きな出来事だったなと思っています。というわけで、なんとなんと! ゆかりのあるクリエイターの皆さんにおこしいただいております。もう既にいらっしゃっていますが(笑)、最初のゲストはI'veの高瀬一矢さんです! デビューのときから楽曲から提供していただき、最新アルバムでもタッグを組ませていただきました高瀬さんが石ころの私を探してくれなかったらここにはいなかったと思います。KOTOKOの産みの親です。あ、本当の産みの親ではないですよ!(笑)」
そう紹介された高瀬さんは「当たり前だろっ!(笑)」とすかさずツッコミ(笑)。そして「(15周年)おめでとうございます!」と笑顔で賛辞を送りました。
もう一曲高瀬さんと、と最新アルバムからノスタルジックなミディアムナンバー「夏恋」を。高瀬さんを見送ったあとは、和風ナンバー「恋ひ恋ふ縁」(『千恋*万花』主題歌)から「TOUGH INTENTION」(テレビアニメ『白銀の意思 アルジェヴォルン』主題歌)まで駆け抜けます。全ブロックに言えることですが、幅広いアニメーション/ゲームの楽曲を彩ってきたことを改めて感じさせました。
嵐のようなBブロック<2009年~2013年>
再び物語へ。城から抜け出し少女は深い森に進んでいきます。「明かりを求めて一目散にダッシュ!」。出口が見えたその瞬間、穴の中に落ちてしまう。目の前に「B」の扉があることに気づき、押しあけると戦士たちの姿が……。
Bブロックは「Light My Fire」から開幕。走りだすようなイントロが響き怒号のような歓声と、テレビアニメ『灼眼のシャナ』の紅の世界が広がります。嵐のようなスタートでしたが、KOTOKOさんが作詞作曲・井内舞子さんが編曲を手掛けたノスタルジー漂う「リスタート」からは爽やかな色合いに。お馴染みの「SHOOT! -KOTOKO ver.-」ではゲスト・齋藤真也さんと共にファンの心を打ちぬきました。
「皆さんBブロック楽しめていただいていますか!? Bブロックのゲストは齋藤真也さんです。シャイニーとは私がI'veから独立してからのおつきあいで、シングルの楽曲などさまざま書いていただいております。(当時)私はI'veのやりかたしか知らなかったので、様々な作家さんと曲を作らせてもらうようになってそれはそれは刺激的な日々でした。スタジオに行くたびに"今日はどんなディレクションをされるのかな"って。レコーディングのときに齋藤さんは"遅れちゃった~"ってふわっと現れて。見た目通りの優しいかただったんですが、いざレコーディングがはじまったらいちばん厳しかったんですよ(笑)」と齋藤さんとの思い出を振り返ります。
「というよりかは、歌えば歌うほどどんどん良くなっていくから止めどころがわからなかったんだよね」と齋藤真也藤さん。KOTOKOさんは「色々なことを教えていただいて、おかげで本当にいい曲が生まれた」と改めて感謝の気持ちを伝え「いちばん厳しくディレクションされた曲(笑)」と「サクラノアメモエギノヨ」を歌うと、客席は清らかなピンク色に染まります。七色の声を持つKOTOKOさんにしか連れていけない世界へと導いていきました。
可愛らしくスタートしたOブロック<2000年~2004年3月>
「もっと平和な国はないかな~」。少女はまた歩き出しました。そこに現われたのはさくらんぼの妖精("さくらんぼ"のキーワードに客席から歓喜の声!)。「こっちの国は甘いよ~。こっちの国へおいでよ~」。少女は甘い香りがする"Oの国"のとびらを開けると、そこには……。
今度は"アリス"のキュートなドレスで登場したKOTOKOさん。ゲストのC.G mixさんと共に披露したのは、もちろん「さくらんぼキッス!~爆発だも~ん~」。ここからの怒涛の展開は息つく間もなく凄かった。なんとメドレー形式で11曲を歌うという驚愕の大ボリューム(メドレーと言っても数小節ではなく25分にガッツリと)。バラードからデジタルポップナンバー、エネルギッシュなロックナンバーまで、安定感のあるボーカルで歌い紡いでいきます。曲が目まぐるしく変わるなか瞬間的にファンと共鳴する光景にも、何度もグッときました。
歌い終えると一息ついて「改めましてOブロックのゲストはC.G mixさんです!」と紹介。
「兄さんといえば他ジャンルにわたって曲を提供していただいています。皆さんの大好きな曲も多いんじゃないかなと思います。またぜひ色々な楽曲でご一緒したいです!」と伝えると「もちろんでございます」とC.G mixさん。おふたりの人柄を感じる和やかなMCタイムでした。
衝動を爆発させたAブロック<2004年~2008年>
ここで最後のブロックへ突入し導入のナレーションへ。「今のは一体なんだったんだろう。夢だったのかな」。いつの間にか乗っていた"回転木馬"の馬車を降り、たどり着いたのはまた新たな別の扉でした。大きく「A」と書かれた扉の先に、少女が探していた場所はあるのでしょうか……。
オルゴールの音色が止むと「Re-sublimity」(テレビアニメ『神無月の巫女』オープニングテーマ)のイントロが響き涙声に近いような、熱い歓声が沸く。先ほどあれだけ歌ったとは思えないほどの後半の声の伸び方、歌えば歌うほどにフレッシュになっていくKOTOKOさんのパワーに改めて驚かされると共に感動させられます。また、ただ曲を網羅するのではなく"感謝の気持ちを伝えたい""もっと楽しませたい"というその奥にあるKOTOKOさんの純粋な気持ちが伝わってくるかのようなパフォーマンスには心が熱くなるばかりです。
後半戦、加速するかのように説明不要の名曲たち──「Leaf ticket」、「being」、「Fatally」、「ハヤテのごとく!」を連射していきます。「Princess Brave!」の途中からKOTOKOさんの横に中沢伴行さんの等身大パネルが添えられていたのが気になったのですが(笑)、これについては「次回の私とのアルバムの最終詰めに入っておりまして、手を離せる状況じゃないとのことで欠席となってしまいました」と解説。
そんな話をしていると、なんとステージ横から中沢さんご本人がサプライズで登場! えええ!と驚きの声をあげるKOTOKOさんとファンを前に「来ちゃいました!」とお茶目に中沢さん。「パネルが凄い盛り上がってたから出ずらくなっちゃってさ(笑)。やっぱりさこの会場のエネルギーをアルバムに詰め込みたいなと思って」と急遽予定を変えて駆け付けたと明かしました。
また、6月26日に中沢さんとタッグを組んだアルバム『tears cyclone-醒-』を発売すること改めてアナウンス。「じゃあせっかく中沢さんに来ていただいたので私たち二人の代表作を聴いてください」と「agony」(テレビアニメ『神無月の巫女』ED)、デビュー日を冠にした「421 -a will-」を歌唱。素晴らしく息の合ったパフォーマンスに、アルバムへの期待が膨らみました。
「15周年を巡る時間旅行の旅、楽しんでいただけましたか? 421を迎えて15周年イヤーに突入しました。私はいまでも最初に出てきた少女のように旅のまっただなかです。いつでもその旅のなかで"ここにもう一度戻ってきたいな"って思う場所、それはみんなと会えるこのライブという場所です。私はこの空間が大好きです。この場所でみんなと一緒に輝いて育ってきた楽曲を歌いたいと思います。今夜も一緒に盛り上がってください」
"せーの!"の掛け声ではじまった本編最後の曲はメジャーデビューシングルの「覚えてていいよ」。さわやかな感動が広がっていきました。
アンコールで堂々宣言「果ては生涯現役!」
「15年もこのようなことができるなんて思っていませんでした。もちろん目標は高く持ってはいたんですけど、実際に15年続いてここに立っているとすごく不思議な気持ちです。もちろんメジャーデビューしたくて頑張っていて、デビューの瞬間はとても嬉しかったことを覚えています。15年前、メジャーという世界に足を一歩踏み入れて、それからというものキラキラとした世界で楽しいことがいっぱいあって、あっという間に過ぎていきました。でも楽しいことだけではなくて、辛いこと、悲しいこともいっぱいあって、馬鹿みたいに突っ走ってしまったり、迷って遠回りをしてしまったり……本当に色々な足あとをつけてきました。私にとってはギザギザ道の15年でしたけど、こうやってみんなとお祝いできるステキな日を迎えることができました。この感謝の気持ちを伝えたくて1曲歌わせていただければと思っています。今日はアカペラで歌います」
リズムを取りながら歌い始めたのは「足あと」。2004年のアルバム『羽-hane-』に収録された、KOTOKOさん作詞・作曲のミディアムナンバーです。
<叶わぬ夢はどこにもないと強がって呼吸を速めた><泣くことさえも忘れて今はこの道を歩いてゆくんだ>……アカペラだからこそより、たくさんの感謝も歌心も意気込みも飛び込んでくる。命をかけて、人生をかけて、愛情をもって、コトバを紡ぎ続けてきたKOTOKOさんの歌だからこそ、ひとつひとつ歌詞が心の琴線に触れ、胸に染みました。涙ぐむファンの姿に見受けられました。
「ありがとうございました!」
そのままバックステージに戻っていったKOTOKOさんですが、長い長い拍手がそのままアンコールを求める拍手へと変わり、出演者全員と共にTシャツ姿で再度ステージに。「デビュー15周年となっちゃいました」と可愛らしく言い放ったKOTOKOさんでしたが、なんとそのTシャツにはよく見ると「生涯現役」の文字が(!)。
さすがにもう楽曲はなかったものの、彼女ならではの誠実な言葉を投げかけました。
「ありがとうございます! 15周年をこんな場所でさせていただけるなんて、こんな未来がくるなんて15年前の私に教えてあげたいですね。
この場をお借りしまして、私をメジャーに導いてくれたNBCユニバーサルの西村プロデューサーをはじめとするNBCの皆さま。途中からお世話になったワーナー ブラザース ジャパンの皆さま。
販売店、メディアの皆さま、他関係者の皆々様、本当にありがとうございます。わたくしKOTOKOにたくさんの楽曲提供・アレンジしてくださった作家陣の皆さん、今日ここに来られていないかたもいますが、本当にありがとうございました。たくさんの楽曲のおかげでここまで育ってきたと思います。
アニメ、ゲーム、そういった作品にも私は育てられました。アニメ製作委員会やゲームメーカー様、作品に関わるクリエーターの皆さま、本当にありがとうございます。文句の1つや2つは言いながらも(笑)、快く協力してくれるKOTOKOバンドのメンバーをはじめスタッフの皆さん、スリーナインの皆さん、本当にいつもありがとうございました。そして……全国のKOTOKOファンのみんな! 本当に本当にみんなのおかげだよ、ありがとう!!!!」
ひとりひとりに感謝の気持ちを伝えたKOTOKOさん。さらに続けます。
「15周年イヤーを小樽と豊洲という二つのライブでスタートできたこと。私にとってはこんな幸せなことはありません。ライブが私の生きる場所です。みんなが私の生きる場所を作ってくれているんだなと思っています。これからも頑張っていきますのでぜひよろしくお願い致します!」
そして、アルバムの発売に合わせてKOTOKO LIVE TOUR 2019 「tears cyclone-醒-」が開催されることが決定したと報告。惜しみない拍手が送られました。「15年歌ってきましたが、20周年、30周年、果ては生涯現役を目指して頑張ります! 頑張るからずっとついてきてね!」と生涯現役宣言! アニソンシンガーの引退・活動休止が相次ぐ昨今、KOTOKOさんの力強い宣言はただただ嬉しい。
夏のツアーで会いましょう、ありがとうございました!とメッセージを送り、少女の時間旅行を辿る旅は幕を閉じました。
新しい時代に切り替わる節目にすばらしいライブを見せてくれたKOTOKOさん。15周年イヤーの旅はまだまだはじまったばかり。どんな年になるのか、今から楽しみで仕方がありません。
[文・逆井マリ]
「Fifteen Tales ☆PREMIUM☆@豊洲PIT」セットリスト
<Cブロック>
OP-SE(オルゴール:羽、DuDiDuWa*lalala/ナレーション:KOTOKO)
M-1.廻-Ro-tation (ゲスト:高瀬一矢さん)
M-2.Reboot oN/↓0 (ゲスト:高瀬一矢さん)
M-3.夏恋 (ゲスト:高瀬一矢さん)
M-4.恋ひ恋ふ縁
M-5.Adolescence Locator
M-6.sign -KOTOKO Ver. Remix-
M-7.INFINITE SKY
M-8.TOUGH INTENTION
<Bブロック>
BブロックSE(オルゴール:ε ~Epsilon~/ナレーション:KOTOKO)
M-9.Light My Fire
M-10.jihad
M-11.Restoration~沈黙の空~
M-12.WING OF ZERO
M-13.→unfinished→
M-14.リスタート
M-15.bumpy-jumpy!
M-16.SHOOT! -KOTOKO ver.- (ゲスト:齋藤真也さん)
M-17.サクラノアメモエギノヨ (ゲスト:齋藤真也さん)
<Oブロック>
OブロックSE(さくらんぼキッス!?ポロリMIX?)
M-18.Oブロックメドレー(ゲスト:C.G mixさん)
さくらんぼキッス!~爆発だも~ん~
Just as time is running out
Face of Fact
Princess Bride!
同じ空の下で
Shooting Star
Imaginary affair
LOVE A RIDDLE
I pray to stop my cry
Close to me…
We survive
<Aブロック>
AブロックSE(オルゴール:ARCH/ナレーション:KOTOKO)
M-19.Re-sublimity
M-20.Leaf ticket
M-21.being
M-22.Fatally
M-23.ハヤテのごとく!
M-24.Princess Brave! (ゲスト:中沢伴行さん(パネル))
M-25.agony (ゲスト:中沢伴行さん)
M-26.421 -a will- (ゲスト:中沢伴行さん)
M-27.覚えてていいよ (ゲスト:中沢伴行さん)
<アンコール>
EN-1.足あと(アカペラ)
イベント情報
「KOTOKO LIVE TOUR 2019 "tears cyclone-醒-"」
●料金:オールスタンディング ¥5,400円(TAX IN) ※入場時別途ドリンク代要
●開場:16:00 / 開演:17:00 ※全公演共通
●日程:
08/03(土)北海道・札幌 cube garden
08/17(土)福岡・ DRUM Be-1
08/18(日)広島・ SECOND CRUTCH
08/31(土)愛知・名古屋 Electric Lady Land
09/01(日)大阪・ umeda TRAD
09/07(土)東京・TSUTAYA O-EAST