“演じているようで演じてない”『ガンゲイル・オンライン』神崎エルザとReoNaの関係性 |2人が共鳴する理由が分かる“原点”の物語が歌と小説に【前編】
「節々にエルザとしての血が流れてる曲」
──では楽曲について詳しく教えて下さい。ヴィヴァルディの「四季」をモチーフにした「ALONE」を聴いたとき率直に「あ、エルザにまた会えた」と感じたんです。ReoNaさんはどんなことを感じました?
ReoNa:嬉しい。私も同じく「あ、エルザだ」って思ったんです。今までの曲にサビが丸々クラシックモチーフというものはなかったんですが、毛蟹さんの楽曲のクラシック要素がうまいバランスでエルザらしさを保ってくれている楽曲だなと思っています。
今までのどの楽曲にもない表現のお歌ではあったんですけど、それでもエルザだと思えるのは、毛蟹さんの楽曲とクラシックとアレンジと……という絶妙なバランスのおかげだと思っています。
──毛蟹さんの楽曲はもちろん、ハヤシケイさんの歌詞も“エルザ”を感じさせる要因です。歌詞のなかに桜が出てきますが、桜の話題は『forget-me-not』のインタビュー時もさせてもらっていて。
ReoNa:前回の取材のときもお話させてもらいましたが、花に対して“ズルいなあ”って一番感じたものが桜でした。でも今回こうして曲にしてみて、違う側面も見えたんです。桜って咲き誇った一瞬のあいだはみんな集まってくれてにぎやかに談笑してくれるけど、それって一週間二週間の話で。
葉桜になってしまえば見に集まってくれる人もいなくなって、夏の風景の一部になって葉が落ちて……。桜の木って見分けようもないし、見向きもしてもらえない11か月と少し。そのあいだのさびしさを私は見えてなかったなって。
「ALONE」は生のストリングスが入っていて、レコーディング現場を見学させてもらったんです。生のストリングスが桜という世界を持ち上げて支えてくれているような雰囲気で、すごく華やかになっていて。弦と共に入っているお歌を聴いたときに、また新しいエルザとしての曲ができあがったんだなと思いました。
──「ALONE」は最後に「レプリカ」を彷彿させるギターフレーズが入っています。
ReoNa:そうなんです。前回のエルザのときに歌ったお歌と共通点があって。自分のなかでは「ピルグリム」と「step, step」、「ヒカリ」と通じるものが歌詞にも音にもあると思っています。
歌詞が届いたときに<どこも似合わなきゃどこへでも行こうか>ってところに「step, step」「ピルグリム」を、<惜しむ別れも無いだろう>という言葉に「ヒカリ」を感じて。節々にエルザとしての血が流れてる曲なんだろうなって。改めて「ALONE」を聴いたうえで前回のミニアルバムを聴き返していただけたらいいなと思ってます。
──“エルザとしての血”っていい言葉ですね。その血はReoNaさんのなかに流れているものだと思うんですが、歌ったときはどうでしたか。
ReoNa:エルザを歌うたびに思うんですが……本当に難しくって。責任、というんですかね。二人分の想いを乗せなきゃいけない。私自身だけの気持ちではだめだし、神崎エルザだけでもきっと違う。演じているようで演じないというか。
演じられるほど器用ではないですし、だから自分の精一杯を歌っていくんですけど。その微妙なニュアンスをお歌で表現するってこんなにも難しいんだって改めて痛感しました。
──ReoNaさんの感覚としてはエルザとふたりで歌う、という感じなんでしょうか。
ReoNa:う~ん。なんていうんだろう……。前回のときもそうだったんですが、形になって初めて腑に落ちるんです。自分が歌ったお歌なんですけどね。実は「ALONE」は最後にレコーディングしていて。収録順とは逆の順番で歌っていきました。
「Dancer in the Discord」の翌日に「ALONE」のレコーディングがあったんですけど、翌日ブースに入ってみたらやっぱり固まってなくて。レコーディングにはいる前にひとりで歌う時間があったので歌ってたんですけど、何回歌ってもしっくりこなくて。
それこそサビの歌い方が「全然エルザじゃない」って、ギリギリのタイミングですみませんと言って翌日にレコーディングを伸ばしてもらったんです。それで歌詞や小説を読み直してサウンドを聴きなおしてもう一度チャレンジしたお歌です。
「ピルグリム」と同じく歌いなおした表題曲っていう……なんか……エルザですよね(笑)。不思議。狙ったわけでもなんでもないんですけど。レコーディング当日は無我夢中ではあるんですが、出来上がったものを聴いたときに「エルザだな」ってハッとさせられます。
──きっとこれを聴いたファンのかたもそう思うはずですよ。
ReoNa:そう思ってくださるといいな。1年振りの楽曲なので、もしかしたら「Prologue」からエルザを知ってくれるひともいるかもしれない。そういうことを考えたら、知っている人、知らない人にも、「神崎エルザってこういうアーティストなんですよ」って示せるような曲になったんじゃないかなと思います。
──ところで「ALONE」というタイトルはどこからきたんでしょう。
ReoNa:これは私が生み出しました! 「トウシンダイ」と同じく、ケイさんと事務所でお話しながら一緒に歌詞の最終稿を作っててレコーディング前々日くらいまで別タイトルでケイさんが歌詞を書いていたんですが……桜がモチーフだったので英語でチェリーブロッサムとかどうだろう、でもチェリーって響きが可愛すぎないかなぁ……とか迷ってしまって、しっくりくる言葉がなくって、そのなかでふと私が思いついたんです。
実はサビのはじまりも別の言葉が入っていたんですが、そこから拾って<La La La Life is alone>とケイさんが書かれたんです。ちょっとだけ作る部分にも触れさせていただいた、そんな思い出もある曲です。
──これは全曲に言えることなんですが、初回限定盤の時雨沢恵一先生の書き下ろし短編小説ブックレットをぜひ読んで、楽曲を聴いてもらいたいです。
ReoNa:素晴らしいですよね……!
──はい。エルザの出自を改めて感じるような内容で……。
ReoNa:私は小説をどうしても家でひとりで読みたくって。以前エルザの身長を私からとっていただいた話をさせていただきましたが……それを知ったときも大泣きしましたが、そのとき以上にボロ泣きしまして(笑)。
作中にエルザは生まれつき身体が弱くて呼吸器系の疾患があった……というエピソードがありますが、私自身も幼少期に耳・鼻があまりよくなかったんです。飛行機に乗るたびに蓄膿症になってしまったり、少し当たっただけなのに中耳炎になっちゃったり……。そういうことが小さいころにあったり、去年近い人の訃報があったり。自分に重ねてしまうエピソードがたくさんありました。
──それは偶然なんですか?
ReoNa:そうです。そういう話を時雨沢先生にしたことはなくて。何も話してないのにこんなに通じてる部分があるんだなって。両親は音楽家ではないし、アメリカ育ちではないんですけど、読みながら自分のことのように反芻してしまって、気がついたらボロボロ泣いていました。そんな小説を読んだうえでのレコーディングだったので、またひとつ、エルザとして、ReoNaとして“starring”の距離が短くなった気がします。
──小説を読んでからこの3曲を聴くのとはまた全然印象が違いますよね。
ReoNa:そうなんです。だから願わくば、初回限定盤を手に取ってくださった皆様には、まずは一回楽曲を聴いていただいて、小説を読んでからもう一回聴いていただきたいです。
どこを強めて歌ってるのか、どこを届けたいのかとか、どこに熱を置いているか……そういう温度感は声に出てると思うので。文字を目で追わないで聴いてもらえれば、音ならではの味わいが楽しめるんじゃないかなと思います。
読まないで聴いて、読んで聴く。『ガンゲイル・オンライン』のときは、映像と楽曲が最初に届いていましたが、今回はどちらを先にするかを選べることができるんです。だからぜひどっちも味わってもらいたいですね。すごくわがままなお願いなんですけど(笑)。
《後編に続く》
〔文・逆井マリ〕
シングルタイトル:「Prologue」(プロローグ)
■発売日:2019年6月26日(水)
■レーベル:SACRA MUSIC
■商品仕様:
【初回生産限定盤(2CD)】
VVCL-1466-1467 / ¥1,500 + 税
アニメイトオンラインショップでの購入はこちら
【通常盤(CD)】
VVCL-1468 / ¥1,200 + 税
アニメイトオンラインショップでの購入はこちら
☆初回生産限定盤仕様
・時雨沢恵一 書き下ろし「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」短編小説ブックレット付
・黒星紅白 描き下ろしイラスト三方背ケース仕様
・ボーナストラック収録の CD 同梱
収録楽曲
M1:「ALONE」(アローン)
作詞:ハヤシケイ(LIVE LAB.)
作曲:毛蟹(LIVE LAB.)
編曲:毛蟹(LIVE LAB.)
M2:「Dancer in the Discord」(ダンサー イン ザ ディスコード)
作詞:草野華余子
作曲:毛蟹(LIVE LAB.)
編曲:堀江晶太
M3:「葬送の儀」(ソウソウノウタ)
作詞:ハヤシケイ(LIVE LAB.)
作曲:872wur
編曲:堀江晶太
☆初回生産限定盤 BONUS TRACK CD 収録楽曲
M1:「Rea(s)oN -Acoustic Live ver.-」
Live at ReoNa オフィシャルファンクラブ ふあんくらぶ presents ReoNa Acoustic Live "ふあんぷらぐど” 2019.05.02 浜離宮朝日ホール
M2:「Disorder -Acoustic Live ver.-」
Live at ReoNa Acoustic ONE-MAN Live “ハロー、アンプラグド。” 2019.05.02 浜離宮朝日ホール
神崎エルザ starring ReoNa「Prologue」店舗購入者特典ポストカード絵柄公開!
アニメイト特典:オリジナルポストカード (アニメイトVer.)
※特典は無くなり次第、終了とさせて頂きます。ご了承下さい。
ゲーマーズ特典:オリジナルポストカード (ゲーマーズVer.)
一夜限りの特別なライブイベント開催
神崎エルザ starring ReoNa ニューシングル「Prologue」リリース記念ライブ「神崎エルザ starring ReoNa × ReoNa Special Live "Re:AVATAR"」
■日時:2019年7月25日(木)
■OPEN 19:00 / START 19:30
■会場:CLUB CITTA’(神奈川県川崎市)
※全席指定・550名
■チケット:指定3,500円(ドリンク代別・税込)
※4歳以上チケット必要
※シングル「Prologue」内に封入されている応募用シリアルナンバーが必要となります。
ReoNa プロフィール
ReoNa(レオナ)/10月20日生まれ。
陰のある少女らしいルックスながら、繊細で深い、少年の様な歌を歌うシンガー。
TVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』にて、劇中歌アーティスト「神崎エルザ」の歌唱を担当、「神崎エルザ starring ReoNa」として2018年7月4日(水)にミニアルバム「ELZA」をリリース(初登場8位を獲得)。ダウンロード部門「レコチョク年間ランキング 2018」、新人アーティストランキング1位に、「神崎エルザ starring
ReoNa」が選ばれるなど、活躍を見せる。
2018年7月放送開始のTVアニメ『ハッピーシュガーライフ』のエンディングテーマ「SWEET HURT」にて、8月29日(水)にソロデビュー。
“静寂”を武器にした独特のライブスタイルが話題を呼び、10月に行われた初のワンマンライブは即時完売。2019年2月から
は初のワンマンライブツアー「ReoNa Live Tour 2019 “Wonder 1284”」を開催、全会場 Sold Out。
2019年1月クールの TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』のエンディングテーマアーティストに大抜擢
され、セカンドシングルとして「forget-me-not」を2月6日(水)にリリース。
10月20日(日)、自身の誕生日に初の Zepp Tokyo でのワンマンライブ「ReoNa ONE-MAN Live“Birth 2019”」の開催が決定。
“応援者”ではなく、「背中を押さない」「手も引かない」、”代弁者”として“絶望系アニソンシンガー”を掲げる新時代の女性アーティスト。