「ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュみんなでおらぼう!~in SAGA」現地レポート|本渡楓さん「これからも佐賀を、ゾンビランドサガをよろしくお願いします!」
2019年7月27日(土)、佐賀県唐津市ふるさと会館アルピノで開催された「ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュみんなでおらぼう!~in SAGA」。人気アニメ『ゾンビランドサガ』の勢いはとどまることを知らず、いよいよ聖地でのライブが実現した形となった。
ゾンビィたちへの期待は日本全国へと広がっていき、各地でのライブビューイングも実施されることが順次発表されていた。当日のSNSを見ていても、イベントへの大きな期待が伺える。
令和最初の夏、佐賀県で何かが起きる。そんな胸騒ぎの中、僕は飛行機に飛び乗った。
今回、アニメイトタイムズでは現地レポートをお送りしたい。
当日の朝、購入して3年が経ったMacBook Proのディスプレイが突如故障した。
ゾンビィたちの熱は既にここまで届いているのか?
空で想う、SAGA
今回のライブは超弩級のプラチナチケットだったと聞く。
そこで、実際に唐津はどんな土地だったのか?まずは、ここから記事を始めていきたいと思う。
僕は鹿児島県で生まれ、福岡県で育ったのだが、ほぼ佐賀に足を踏み入れたことが無かった。
今回が実質初の佐賀デビューと言っても過言ではない。が、アルピノへのアクセスを調べてみると、佐賀空港よりも福岡空港経由の方が近いことが分かった。
ゾンビィたちが待つ佐賀へ足を踏み入れる前に、まずは福岡空港へ。
飛行機の機内で物思いに耽ってみる。テーマは『ゾンビランドサガ』の魅力についてである。
僕が一気に引き込まれたのはTVアニメ第2話のラップシーンだ。
「DEAD or RAP!!!」を初めて聴いた
本渡楓さん(源さくら役)と田野アサミさん(二階堂サキ役)によるフロウが生み出したバイブスはそれまで呑気にテレビを見ていた僕のハートを鷲掴みにした。
そこからは、それぞれのキャラクターの秘密が明らかにされていく展開に目が離せなくなっていく。
B級映画を意識しつつも、人間ドラマや葛藤を乗り越えていく王道の展開にファンの心は釘付けになった。
フランシュシュが歌う楽曲のクオリティも相まって"日本全国ゾンビランドサガ旋風"とも言えるムーブメントが巻き起こった。
そう、『ゾンビランドサガ』は突如現れたタランティーノ監督による「デス・プルーフ in グラインドハウス」のようだった。
と、作品のことを考えていたら福岡空港への着陸が近づいてきた。シートベルトを締め直し、着陸の瞬間を待つとしようじゃないか。
SAGAとアルピノ
福岡空港から電車に乗ること約1時間半。いよいよ現地の唐津駅に到着した。
駅から降りると「ラーメンランキング 佐賀県2位の店」が目に入る。
ライブ前にご当地ラーメンに舌鼓を打ち、アルピノを目指した。まぁ、駅から会場までは徒歩1分の距離だったりするのだが。
13時50分。
会場の前に到着すると既に長蛇の列が形成されていた。
「ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュみんなでおらぼう!~in SAGA」のために全国各地のファンが佐賀県に集っているのだ。改めて『ゾンビランドサガ』という作品が持つパワーは凄まじい。
オールスタンディングとなった「唐津市ふるさと会館アルピノ」は
「ゾンビランドサガ製作委員会の皆様、ファンの皆様、佐賀を元気にしてくださってありがとうございます」
ライブ前に佐賀県知事・山口祥義さんから感謝のメッセージが流れると会場全体から大歓声が巻き起こる。
さぁ、いよいよ伝説のライブがはじまるのだ。
聖地でのライブがスタート
ライブのスタートは佐賀県知事・山口祥義さんが務めた。続いて、TVアニメの1シーンへ。
「唐津市ふるさと会館アルピノじゃあーい!」
巽幸太郎の声が鳴り響くと、カウントダウンがはじまる。
いよいよフランシュシュが登場した。オープニングナンバーは田野アサミさん(二階堂サキ役)のセンター曲「特攻DANCE ~DAWN OF THE BAD~」だ。
TVアニメと同じく全員が特攻服を着用。田中美海さん(星川リリィ役)が巻いているスカーフの黄色が眩しい。
オレンジのサイリウムとコールが唐津市ふるさと会館アルピノの空気を一変した。
メンバー全員の自己紹介が終わると、山田たえ(顔)が会場後方に姿を現し、客席へと落下。ファンたちの手によりステージへ。
「たえちゃん空気抜けてるよ?」など、ゾンビィを隠す気がないメンバーたちに本渡楓さん(源さくら役)がキレた。
さぁ、「DEAD or RAP!!! 」だ。アカペラではじまった2人のラップに衣川里佳さん(ゆうぎり役)と田中美海さん(星川リリィ役)が加わっていく。
今回のライブでは完璧にラップをこなした本渡楓さん。彼女の少し満足気な表情が印象に残った。
ここからは『ゾンビランドサガ』で方言監修やTVアニメ第5話でインタビュアー役を務めた藤野真梨亜さんが登場し、"フランシュシュのメンバーで佐賀の名産品をおらぼう"のコーナーへ。
ブラックモンブランやさが錦、イカスミサイダー、古伊万里浪漫など佐賀県を代表する名産品が紹介されていく。
クイズを交えながら佐賀の名産品を学んでいくフランシュシュのメンバーと会場のファンたち。
佐賀の魅力が浸透したところで、コーナーは終了した。
個人的な意見だが、ブラックモンブランは子供の頃から大好きなのでぜひ、多くの方に食べていただきたいと思う。
佐賀を元気にする。そんなコンセプトがしっかりと伝わってくるイベントである。
幸福度NO.1の県が佐賀県。ぜひ、「サガスマイル」を検索いただきたい。もっと、多くの人たちに佐賀の素晴らしさを伝えたくなる。そんな空気が会場に流れていた。
河瀬茉希さん(紺野純子役)の歌声
告知コーナーが終了すると、『ゾンビランドサガ』のOPテーマ「徒花ネクロマンシー」から「アツクナレ」、「目覚めRETURNER」へ。
こうしてライブで聴いてみると河瀬茉希さんの歌声が心にズシンと来る。
深みがあって心臓を鷲掴みされたような気分になる。昭和のアイドルは集ではなく個の時代だった。凛とした中にも力強さがある声。彼女がフランシュシュにとてもマッチしている。
アニメとユニットの融合
フランシュシュの魅力の一つに幅が広すぎる楽曲がある。
ロックからEDM、ポップス、アイドルソング、ラップ、デスメタルにいたるまで余りに多くのジャンルを歌いこなしている。
ともすれば、ライブのセットリストを組むことが非常に難しいとも言える。各曲の個性が強すぎるあまり、流れを作ること自体にハードルの高さがあるのだ。
ただし、フランシュシュはそこに作品を絡めることで、楽曲の世界観を12分に表現する演出を実現した。
次世代のライブエンターテイメント。それがフランシュシュのライブなのだ。
そして、「To my Dearest」へ。
田中美海さん(星川リリィ役)さんがパピィへの想いを込めて歌い上げる。あの日のように、耳馴染みがよく清潔感のある歌声が広がっていく。
TVアニメ第8話「GOGO ネバーランド SAGA」で豪剛雄が涙を流していたように、多くのファンが胸を熱くしたことだろう。
田中美海さんの歌声は、今日も最高に感情が乗っていた。
ヨミガエレの完全再現
ここで徳井青空さん(現アイアンフリル 詩織役)が登場し、現アイアンフリルのライブ映像が流れた。
「ゼリーフィッシュ」がヒットすると唐津市ふるさと会館アルピノがライブビューイング会場となり、サイリウムの色は青一色に染まり、大歓声が巻き起こっていた。
そして、再びフランシュシュが姿を現わす。衣装は勿論、TVアニメ最終回のもの。
この衣装で「ヨミガエレ」が完全再現された。
中盤でステージが崩れる演出が入る。そして、会場全体から手拍子が鳴り響く。
うん。本渡楓さんの叫び声は素晴らしい。可憐で可愛らしい本渡楓さんの歌声に感情が乗ると一気に目と耳と心を独占されてしまう。
本渡楓さんは"持っている"声優である。
そして、ライブ本編のラストナンバー「光へ」のイントロが流れた。
美しく描かれた佐賀の街がスクリーンに映し出される。6人のコーラスが大きく大きく響き、イベントは終了した。
と、思った。が、OP映像と共に「徒花ネクロマンシー」が流れると江頭2:50さんが乱入。
江頭2:50さんが楽曲と共に踊り狂うとこう叫んだ。
「お前らこの映像を見ろ!!!」
白竜さんが出演するキックオフムービーで『ゾンビランドサガ リベンジ』の発表が行われた。
本渡楓さん「ゾンビランドサガが生まれた聖地・佐賀県で直接皆さんにこうしてお伝えできたことをフランシュシュ、スタッフ共に嬉しいと思っています」
色々な感情が込み上げてくる中で、「FLAGをはためかせろ!」へ突入する。
【連載】TVアニメ『ゾンビランドサガ』本渡楓×田野アサミ×種田梨沙×河瀬茉希×衣川里佳×田中美海 座談会|最終回後だからこそ語れる作品へのアツい想い【SAGA:12】
このインタビューで田野アサミさんが「応援歌」と語っていたように、明るい楽曲でアンコールを迎えるのは素晴らしいことだと思う。
ただし、フランシュシュの楽曲は明るいだけではない。聴いていると胸が熱くなる。そんな力を持っているのだ。
そして、メンバーから最後の挨拶が行われる。
田中美海さん「こんなにゾンビランドサガが皆さんに応援されるっていうのが暖かいなって。皆でライブができたのがよかったなって思います!今日は『To my Dearest』を歌って涙腺が……。ってなったんだけど、本当にライトが綺麗でした!今日は最高の一日でした!皆さんありがとうございました!」
衣川里佳さん「本日はありがとうございました。続篇……ゆうぎり回あるかな?(大歓声)曲も欲しい!こういっておけばね(笑)。今日、お姉ちゃんが来てるんですよ。新婚旅行で。新婚旅行はハワイとかのイメージだったから、『佐賀に来るの?』って言っちゃって。そしたら『バカヤロウ!佐賀だから行くんだよ』って(大歓声)。続篇は何をするか1ミリも分からないですけど、これからもよろしくお願いします。」
河瀬茉希さん「今日は泣かないぞって思ってたんですけどね。本日はありがとうございました!アニメのコンセプトでも佐賀を救うというのがあったんですけど、私たちをキッカケに佐賀に来てくれる人がこんなにもたくさんいる。地元の方もたくさんいらっしゃるよね。ありがとう!すごく色んなことをする作品だから佐賀県の人に愛してもらえなかったらどうしようって不安があった。でも、沢山の人や県に愛されているのが本当に嬉しいです。なによりもそういった作品に携われていることが本当に幸せです。アルピノでライブできちゃった!嬉しいな (涙)本当に皆さんのお陰です!」
種田梨沙さん「念願の佐賀にやってきました!ありがとうございます!東京から飛行機で来たんですけど、2時間で来れるんですね。うん、日帰りでも来れるなって。本当は佐賀ってこんなに近い場所だったんですね。私も最初、佐賀は九州くらいしか知らなかったので(笑)。絶対に続篇も楽しいものになること間違いなしです。私たちもこれから……。これからって言えるのはいいですね。本日はありがとうございました!」
田野アサミさん「まず最初に皆さんに言わせて下さい。佐賀と私たちフランシュシュを出会わせてくれて本当にありがとうございます。皆さん今日、予想はできていたと思うんです。同じ曲をやるんだろうなって。でも、その曲数の中でスタッフや振付の先生たちが凄く考えて下さいました。皆さんの心に私たちの歌声は届きましたか?皆さんの熱い気持ちをフランシュシュと、ゾンビランドサガにぶつけて下さい!そこんとこ夜露死苦!ありがとうございました! 」
本渡楓「今日はお集まりいただきありがとうございました。先日、実家に帰ったんです。すごく無愛想でクールな弟がいまして。その時に、お父さん、お母さん、犬と一緒にとりあえずゾンビランドサガを見てよって。そしたら、弟が自分の部屋には帰らずに第8話まで一気に見てくれて(大歓声)次の日に『お姉ちゃんゾンビの続き見ないの?』って。弟はアニメが嫌いってわけじゃないんですけど、そんなひとでさえも虜にしていく作品なんだなって。(ネイルを見る)ネイルをしまして……。さくらとゾンビの色になってて。ゾンビの方に『サングラスどこかに適当に入れてください』ってお願いしたら、左手の薬指にいました(大歓声)。続篇も色々考えちゃいますよね。しんみりすることなく終われるのが本当に嬉しいです。これからも佐賀県と、ゾンビランドサガをよろしくお願いします!」
最後はこの日3度目の「徒花ネクロマンシー」を会場全体の大合唱し、伝説のライブを締めくくった。
オリジナル作品のTVアニメで続篇が制作されるということは決して当たり前のことではない。
たがらこそ、ステージの彼女たちは心から喜び、ファンは大きく歓喜したのだろう。
『ゾンビランドサガ リベンジ』がこれから楽しみである。
〔文・川野優希〕
セットリスト
M1:特攻 DANCE ~DAWN OF THE BAD~
M2:DEAD or RAP!!!
~バラエティーコーナー~
M3:徒花ネクロマンシー
M4:アツクナレ
M5:目覚め RETURNER
M6:To my Dearest
M8:ヨミガエレ
M9:光へ
M10:FLAG をはためかせろ!
M11:徒花ネクロマンシー