映画『ワンピース スタンピード(ONE PIECE STAMPEDE)』矢尾一樹さん(フランキー役)インタビュー|「フランキーの心の中にはいつも、今は離れている子分の存在がある」
劇場版『ONE PIECE STAMPEDE(ワンピース スタンピード)』が2019年8月9日(金)より、全国公開!
『ONE PIECE(ワンピース)』は、尾田栄一郎さん原作による大人気コミック。今年で連載開始から22年目となり、現在も週刊少年ジャンプ(集英社)にて連載中です。『ONE PIECE』は最も多く発行された単一作家によるコミックシリーズとして、ギネス世界記録を保持しており、その発行部数は全世界で4億5,000万部超えとなっています。
TVアニメの放送は1999年にスタートし、今年で放送20周年。そんな20周年を記念した『ONE PIECE STAMPEDE』は、劇場版としては3年ぶり、第14作目の作品。今作も尾田栄一郎さんが監修として制作に参加し、原作キャラクターの衣装やオリジナルキャラクターのデザインを手掛けています。また、今作では強敵ダグラス・バレット(CV:磯部勉さん)に対抗するため、海賊、海軍、革命軍が共闘するという展開となっており、『ONE PIECE』の祭典にふさわしいスペシャルストーリーです。
映画の公開を記念して、フランキー役の矢尾一樹さんにインタビュー! 今作で感じたキャラクターの魅力から、尾田栄一郎さんとのエピソードまで、たっぷり語っていただきました。
あらすじ
海賊の、海賊による、海賊のための、世界一の祭典「海賊万博」。万博の主催者ブエナ・フェスタからの招待状を手にしたルフィたち麦わらの一味。会場には世界中から海賊が群がり、万博の目玉である「海賊王(ロジャー)の遺した宝探し」で、お宝争奪戦が繰り広げられる。
しかし、海賊たち熱狂する万博の裏には、別名「最悪の戦争仕掛け人」フェスタの企みがあった。お宝争奪戦が熱を帯びる中、元ロジャー海賊団「“鬼”の跡目」と呼ばれた男ダグラス・バレットが乱入し、ルフィたちの前に立ちふさがる。
さらに、スモーカー、大将”藤虎”イッショウ、”黄猿”ボルサリーノといった海軍、王下七武海”海賊女帝”ハンコック、”世界最強の剣士”ミホーク、”元王下七武海”クロコダイル、”革命軍参謀総長”サボ、”CP-0”ロブ・ルッチまでもが其々の目的のため姿を現す。お宝争奪戦と海賊万博は、予測不能の大混乱へと陥って行く!
新しいサウザンド・サニー号の登場で発見したフランキーの魅力
――台本をご覧になった感想をお聞かせください。
矢尾一樹さん(フランキー役/以下、矢尾):今作にはたくさんのキャラクターが出てくるとプロデューサーから聞いて、「えぇ~?! こんなに出るの?」と驚きました。これまで『ONE PIECE』に登場したキャラクターたちがただ出てくるだけではなくて、それぞれのキャラクターの見せ場もしっかりあります。
また、「ウソップ(CV:山口勝平さん)がすごく活躍していて、おいしすぎないか?!」と思いました(笑)。
――今作で印象に残ったところはどの辺りですか?
矢尾:一番印象に残ったセリフは、ダグラス・バレットの「どっちが強ぇか、殴り合いと行こうぜ!」です。
俺が芸能界に関わり始めた頃(1970年代後半)の青春ドラマや大映作品のような懐かしさや素朴さをこのセリフから感じましたね。
今の時代に「殴り合い」というワードをセリフとして使うのはすごい! 「殴り合い」は戦いの原点です。小道具を使わず、お互いの力と力のぶつかり合いでストレートに勝負しようという潔さにゾクッとしました。
今回の作品にはダグラス・バレットとブエナ・フェスタ(CV:ユースケ・サンタマリアさん)というふたりの敵キャラクターが出てきますけど、フェスタは頭を使う策士、バレットはフェスタと対照的でまっすぐなキャラクターなんです。
バレットは敵キャラクターではありますが、悪に感じなかったですね。彼は他にも「貴様らの言う仲間は弱さだ」といった良いセリフを言っています。改めて考えると、俺はバレット派かもしれないですね(笑)。
――今作では新しくサウザンド・サニー号フライングモデル(皇帝ペンギン仕様)が登場しました。
矢尾:皇帝ペンギン仕様のサニー号のプラモデル(グランドシップコレクション サウザンド・サニー号フライングモデル)を見せていただいたんですけど、「めっちゃかわいいやないか~い!」と思いました(笑)。
今回の作品で新たに発見したことがあって、「フランキーは意外と小さいもの好き、かわいいもの好きだった」という……(笑)。ソルジャードックシステム(フランキーが作ったシロモクバ1号、ミニメリー2号、シャークサブマージ3号、クロサイFR-U4号、ブラキオタンク5号)を見ても、「こんなかわいいものを作るなんて、良い奴だな!」と改めて感じました。
だからこそ、ガレーラのチンピラたちがフランキーを慕うのもわかります。「フランキーの人間的な優しさに、子分たちがついてきたのかな。今は離れているけど、フランキーの心の中には、いつも子分の存在があるんだろうな」と思いました。皇帝ペンギン仕様のサニー号から、そういった男として、人間としての優しさをすごく感じましたね。
フランキーはいろいろな身体の部分を自分で改造していても、100%サイボーグにはならない。「あえて背中に、人間としての部分を残してあるんじゃないか」という気がします。本当のところはわかりませんけど、自分ではそんなふうに思っています。
ひとつの作品で3つのキャラクター演じられる喜び
――現在放送しているTVシリーズ「ワノ国編」のアフレコ収録で、2年半ぶりに麦わらの一味のメンバーがそろったとお聞きしました。
矢尾:それが「うわぁ~、久しぶり~!」というのもなく、すんなり「おぉ!」って感じでしたね(笑)。
アフレコ収録がなくてもイベントなどでも会いますし、他の現場や個別で会っているからかもしれないですけど、収録スタジオで会ってもいつも通りの雰囲気で、収録もいつも通りのペースで行われました。
船長(ルフィ役・田中真弓さん)が「みんなでアフレコ収録するのは、久しぶりだから写真撮ろう!」と盛り上がっていたんですけど、次の仕事があって先にスタジオから出たので、写真を撮らずに行っちゃいました。写真を撮るのが好きだから、たぶん今頃すごく後悔していると思いますよ(笑)。結局、残ったメンバーでも写真を撮らなかったですしね。
――矢尾さんはフランキー以外にも、ボン・クレー(ベンサム)、ジャンゴという素敵なキャラクターを演じられていますよね。
矢尾:3つのキャラクターを演じられて嬉しいですよ。しかも、それぞれ良い奴だし、認知されているキャラクターだし、それは本当に幸せなことです。
ジャンゴは初期に出てきたキャラクターで、ボンちゃん(ボン・クレー)は時々出てくるし、フランキーとしては14年演じているので、何だかんだで20年という感じなんですけどね(笑)。
――今作には出演していなくて残念です。
矢尾:「隠れキャラがいるよ」と言ったら、偉い人に怒られるかな(笑)。
――フランキー、ボン・クレー、ジャンゴという3つのキャラクターの中で、矢尾さんが共感できるキャラクターというのはいますか?
矢尾:人間というのは、いろいろな面を持っています。だからこそ、3つのキャラクターを演じることができたと思うし、どのキャラクターも自分らしい部分はありますよ。だからといって、俺はオカマじゃない(笑)。もちろん人権として認めているし、良い奴ばかりだから、オカマの友達は多いけどね。
ひとつの作品で、3つのキャラクターを演じられることはなかなかないです。それに3役ともキャラソンがあるというのが自慢です。フランキーもボンちゃんも新曲を出しているので、これをきっかけにそろそろジャンゴの新曲もね!