声優アーティスト・富田美憂さんデビュー記念ロングインタビュー【前編】|誰かにとっての憧れになることができたら素敵だと思うんです
「ファンのみなさんのおかげで前向きになれましたし、何より自分を好きになれました」
――そんなオーディションを経て事務所に所属し、TVアニメ『干物妹!うまるちゃん』でデビューを飾りました。
富田:お仕事が本格的に始まったのは15歳の頃で、高校に入学したタイミングとほぼ同時くらいでした。当時、担当してくださった音響監督さんには未だにお世話になっていますし、周りのキャストの方にもお会いするので、本当にご縁を感じますね。
――そこから『おしえて! ギャル子ちゃん』や『アイカツスターズ!』、『ガヴリールドロップアウト』など、続々とメインキャラクターを演じられたと。ちなみに、こちらがアニメイトタイムズで富田さんを最初に取材させていただいた記事です。
富田:懐かしい! カメラに慣れてなさすぎて顔が笑ってないですね(笑)。
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――当時は人前に出ることに対しての苦手意識はありましたか?
富田:今はだいぶ抵抗がなくなってきましたが、当時はかなりありました。自分の顔が映るのが本当に苦手で……この場で言うのは申し訳ないんですけど、カメラを向けられるのがとにかく嫌だったんですよ(笑)。
そもそも人と喋ること自体が得意ではなくて。学校には同世代の子しか居ませんが、現場に行ったら大人の方ばかりなので当時は常に緊張していました。
――たしかに、当時で同世代の声優の方となると共演は難しいですよね。
富田:そうなんです。最近は同世代の子が増えてきたこともあって、同い年くらいのお友達が増えた気がします。
それに今や現場に行ったら私より年下の子がいるんです! 中には高校生や中学生の子まで制服姿で現場に来るので「本物だ!」って(笑)。
自分が制服を着ていた頃は、周りの方に同じように思われていたはずですが、今となってはみなさんこういう気持ちだったんだと実感しています。
――“富田先輩”としては現場でどう接しているんですか?
富田:デビュー当時、私の周りには素敵な先輩ばかりがいらっしゃって、とても良くしていただきました。なので、その先輩方にしてもらって嬉しかったことを今度は私がたくさんしてあげなくてはと思うようになりました。
――美味しいご飯に連れて行ったり?
富田:そう、ご飯に連れていきたいんですよ! 身近なところだと同じ事務所の後輩の前田佳織里ちゃんとご飯に行くので「今度こそ!」と思うんですけど、向こうからすると私の方が年下ということもあって、なかなか難しいんですよね。だから、毎回順番にご馳走しあっています!(笑)
――建設的ですね(笑)。でも、これからさらに後輩が増えていくわけですし、富田さんに憧れて業界に入る新人の方が現れるかもしれませんね。
富田:言われたいなー(笑)。でも、そう考えると変なことは言えないですね! よく周りからしっかりしてるって言われるんですけど、全然そんなことなくて……! やっぱり長い間お世話になっている方や仲良くなった子にはバレていて「そうでもない……」って言われています(笑)。
――(笑)。話を少し戻しますが、これまで声優として活動してきた中でターニングポイントを挙げるとするなら?
富田:すべての作品がターニングポイントではありますが、『アイカツスターズ!』では2年間同じ役、同じ環境で演じるという貴重な経験をさせていただき、大きく成長することができたと思います。
先輩方も多かったですし、メインキャストには私と同世代や同じくらいのキャリアの子も居たので、相談もしやすい現場でした。また、歌やパフォーマンス、お仕事に対する意識など、声優としての技術以外の部分も作品を通して学ばせていただきました。
――それこそ『アイカツスターズ!』の放送が終了するタイミング、2018年の3月に高校を卒業されましたよね。学業と仕事を両立されてきたかと思いますが、振り返ってみていかがでしょうか。
富田:学校は楽しかったんですけど、やっぱりお仕事との両立が大変でした。テスト勉強の時間もバイトとかをしている子と同じくらいだと思いますが、きっと他の子よりは少なかったのかなと。テスト期間中は朝3時に起きて勉強して、そのまま学校に行って終わり次第現場に向かうような生活をしていたので、今思うとよく頑張っていたなと思います(笑)。
――その両立から得たものは現在の仕事にも活きていますか?
富田:事前の下調べとかチェックまわりはまさに勉強ではありますよね。あと、今後のスケジュールを聞いて「時間がない、どうしよう!」って思ったりすることがあっても、高校時代のことを思い出して「できるできる!」と前向きに考えられるようになりました。
また、学校では同級生の子と、現場に行けば自分より年上の方や経験が豊富な方とお喋りしていたので、両方の意見を聞いた上で生まれる価値観などは今のお仕事にも活きている気がします。
――なるほど。とはいえ現在は仕事一本にシフトできる分、かなりお忙しいイメージがあります。秋クールのアニメにもかなり出演されていますよね。
富田:多分、今まででのクールの中でもかなり多いほうだと思います。
――それだけ頑張ることができる原動力は一体?
富田:純粋に楽しいんですよね。終わったあと身体は疲れますけど、お芝居することもファンの方と触れ合うこともやっている間はとにかく楽しいんです。たくさんのスケジュールだけを聞いて大変だなと思うこともありますが、楽しいから頑張れるし、それが原動力になっているんだと思います。
――ありがとうございます。では、声優デビューから現在に至るまでの4年と少しは、富田さんにとってどんな時間になりましたか?
富田:実は、最初の2,3年くらいまではサインを書く度に「もらってくれる人いるのかな……?」と思うほど自分に自信がありませんでした。
ずっと“自分なんか”と思ってここまで来ましたが、アニメと出会い、歌と出会い、お仕事をさせていただいたことで、少しは自分に自信がついたような気がします。とてもありがたいことに私を応援してくださるファンのみなさんのおかげで前向きになれましたし、何より自分を好きになれました。
少し前まで普通の学生だった私からするとデビューしてからの5年間はとても濃く、たくさんの変化や転機が訪れて多くの経験をさせていただきました。人生が変わるってこういうことを言うんだなって改めて実感しつつ、みなさんへの感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます!