秋アニメ『BEASTARS』レゴシ役・小林親弘さんインタビュー|プレスコ収録での小野友樹さんの演技を受け「挑戦できることは全部挑戦」で臨んだ新鮮な収録現場!
2019年10月9日(水)よりフジテレビ「+Ultra」にて放送のTVアニメ『BEASTARS』は、肉食獣と草食獣が共存する世界を舞台に、名門チェリートン学園で繰り広げられる動物たちの青春群像劇。
食肉が重罪とされるなか、アルパカ♂のテムが何者かに食殺されるところから始まり、ハイイロオオカミ♂のレゴシやアカシカ♂のルイ、ドワーフウサギ♀のハルといった魅力的なキャラクターたちの学園生活の様子が描かれています。
そこで、メインキャラクターのレゴシ役・小林親弘さんにインタビュー!
作品の世界観やキャラクターの魅力、演じる上で意識したポイントや収録の様子について、伺いました。
独創的な世界観、出会う人や環境で変化していく人間味あふれるキャラクターが魅力♪
――まず、出演が決まった時のお気持ちを教えてください。
レゴシ役・小林親弘さん(以降、小林):それはそれは、すごくうれしかったです。決まったと連絡をいただいた時に「うぁ~!(右手で力強くガッツポーズ)」って(笑)。右腕を突き上げた覚えがあります。
――原作はご存知でしたか?
小林:テープオーディションの後、スタジオでオーディションを受けるという流れだったのですが、ちょうどオーディションのテープを録る前に、たまたまネットの広告で表示されるオススメ表示に出てきたんです。
動物が好きなので、こういう作品があるんだなと興味を引かれて、1巻分くらい読んでみたら面白くて。
「続きが気になるな」と思っていたら、次の週くらいにオーディションのお話があって、「あっ、じゃあ、オオカミ。オオカミを受けさせてください!」と(笑)。
ルイと両方受けても良いよと言われたんですけど、「(自分には)ルイみたいなカッコいいキャラはできないから」と、レゴシだけ受けました。
――運命的な縁を感じますね。
小林:そうですね。テープからスタジオまではわりとすぐで、まさか決まると思っていなかったので……、本当に思っていなくて。
ただ、演じたい気持ちはすごくあったので、ずっと「どうなった?」と、事務所に結果が出たかを聞いていました。なかなか教えてもらえなくて、1ヶ月後くらいですかね……先ほどの「うぁ~!」につながると(笑)。
――作品の世界観や、原作・台本を読んでの感想、魅力に感じた部分を教えてください。
小林:それはもう、たくさんあって。設定がものすごく独創性があるというか。タイトルだけ聞いて、最初はなんとなくメルヘンな感じをイメージしたんですよ。
動物たちが仲睦まじく、ふんわりした感じだと思って読んだら、いきなり捕食されていて、「あぁ!(驚)」と。
これは結構シリアスな話だなと読み進めていったら、動物たち一匹一匹がすごく人間くさくて。世界観が素敵だなと思いました。
この世界では、ネズミに生まれたらネズミとして、鳥に生まれたら鳥として、本能に影響を受けて生きていかなきゃいけない人生があって、生まれが選べない。
オオカミだったらオオカミと決められているから、レゴシはそこがすごくコンプレックスになっているんですけど、おのおのの生き方が最初から「これだ!」と決められてしまう世界というところが、すごく深いというか。
人間にも少し重なるところがあって、人種の問題とか、貧富、格差、差別とか、そういうところにもつながるのかなと思うんですけど。そこが魅力的に感じました。
――確かに。それぞれの動物の持つ本能や性質をベースに描かれていますが、その葛藤や関係性などには人間っぽさがありますね。
小林:読んでいて「この気持ち分かる」というところが、すごくいっぱいあって。
ルイの苦悩もそうだし、レゴシやハルの苦悩もそうだし、みんな「こういうことあったな」と思わせるところが、板垣巴留先生の、人の見方を絵に起こしたり文章に起こしたりするのが、すごくうまいというか。
これまでの漫画だったら“こういうこと言ったら、次のシーンでは喜ぶだろうな”と思ってページをめくると、この作品では、すごく怒っていたりするので。
そういうリアルさが、すごくよく描かれている作品だなと思いました。
――では、ご自身が演じるレゴシの第一印象はいかがでしたか?
小林:第一印象は、不器用な子だなと思って読んでいたんですけど、ハルと出会って、どう変わっていくかが見どころの一つではあると思います。
今はまだ、17才というところがあって。最初は、ただ不器用で、人付き合いが苦手でというオオカミだったのが、徐々にルイやハル、幼なじみのジャックとの関わり方とか、出会う人や環境とかで、すごく変わっていくキャラクターです。
レゴシの場合、成長と言っていいのか、変化というか。意外と繊細なんですけど、とっても頑固で、自分が「こうじゃないか」と決めたことをとりあえずやってみる行動力は、すごくあるんですよね。
後悔したりとかもするんですけど、若さゆえにというか。他にも、いろいろ言いたいことはありますが、やっぱりハルとの出会いで変わっていくところが、レゴシ的に一番見てほしいところです。
――レゴシは弱肉強食の強者でありながら、本能を抑えているからこそ、余計に不器用さを感じるというか。
小林:原作コミックスでは、レゴシの過去が明らかになっていて、人との接し方に対して、ちょっと閉じちゃうところがあったんじゃないかなと……(詳細に語るも)全然書けないですよね。いろいろな過去があったので、ということで(笑)。
――そんなレゴシと深く関わってくるキャラクター、ハル、ルイの印象はいかがですか?
小林:レゴシとしては、同じ演劇部のルイとは少し関わりますけど、ルイは学園の中でもカーストのトップというか、リーダーという存在で、憧れの存在ですよね。
ハルに関して、第1話ではこれからどうなっていくのかなというところですけど、いじめられっ子で。ハルの強気な性格とかが、レゴシの内気な性格に対して、どう影響を与えていくか、すごく見どころです。
ただ、この先に進んでいくと、ハルの内面のもろさとか、苦悩や優しさ、愛情とか、いっぱい出てくるので、ハルにとってもレゴシがいたことが本当に運命的だなと思います。
――捕食する側とされる側が一緒に生活している、という世界だからこその不思議な関係性ですよね。
小林:根本的に、肉食の方が我慢をしなきゃいけない環境だと思うんですよ。
本当は絶対、目の前の草食獣を食べたいのに、すでに生まれた時には食べちゃダメと言われ続ける生活で。草食の方は、常に食べられるかもしれないという生活は、めちゃくちゃ怖いと思うんですよね。
よく、みんな一緒に学園で生活できるなと。でも、生まれた時から「ダメだよ」と言われていたら「そうなるのかな」と思う気もするし。
第1話の最後に、レゴシが本能に目覚めるというか、いざ向き合うシーンが少しだけ出てくるんですけど、ハルにとっても肉食獣がいたらすぐに逃げなきゃと本能が出てくるし、ルイはのちのちケガをしたり、そんなに体が強くないけど、気丈に立ち向かわなきゃいけないとか。
おのおのの本能の向き合い方が、すごく面白いですよね。先のことを考えると、言いたいことがいろいろあるんですけど、現時点ではご期待くださいという感じです。
――繊細な肉食獣のレゴシに対して、草食獣のハルとルイは強気なキャラというのも、面白いです。
小林:弱い犬ほど吠えるというので、犬でもそうですが、人間も弱い人ほど強気に出ちゃうというか……(ハルやルイは)そういうところがあるなと、強く見せていないといられないのかな。それか、(草食獣は)極端に穏やかか。
他に登場する肉食獣も、肉食獣であるという葛藤をしているといえばしているのかもしれないけど、レゴシほどもう嫌だと思っている気はしなくて、まだ肉食獣らしいですね。
――ストーリーが進むほどに、深いところが明らかになるので、キャラクターを知る上でも最後まで見逃せないですね。
小林:本当にね、全て見てほしい。ぜひ、アニメも見てほしいです。
キャラクターに似た一面を持つ小野友樹さんら共演者と、挑戦的に臨んだ収録☆
――キャラクターを演じる上で、意識したことや、ディレクションなどでポイントになったことがあれば教えてください。
小林:最初、自分で読んだ印象として、レゴシはミステリアスな方がいいんじゃないかと思ったんです。不気味がられたりとか、演劇部の中でもちょっと異質、誰もレゴシの深いところを知らない、みたいな。
そういう方が不気味で怖いかなと思ったので、テストの時には、第1話の本番よりもっと淡々としゃべった気がします。
何も感情が読み取れないくらい、(感情を)殺してしゃべったんですけど、そこはオドオドして、もっと17才らしく。達観しているよりも、慣れていない不慣れさとか、関わるのが苦手という方をもうちょっと強く出してほしい、というディレクションはありましたね。
だから、そういうところから(役を)作っていけばいいのかなと。話が進んでいくにつれ、そこを起点として出発したところもあるので、レゴシはレゴシなりにちゃんと考えて生きていて、そこまで不気味じゃなくてよかった。
――動物を演じるというよりは、“17才の男の子”というイメージなんですね。
小林:そうですね。でも、オオカミではあって、意識しないところで強さが出てしまうというところは、きっとあると思うので。
第1話では、まだ出てこないかもしれないですけど、ふとした時に、相手と対峙した時にどうやって負けるかを考えちゃうとか、叫ぶとみんながシンッとしちゃうとか、意図しない強さの漏れみたいなのは、意識しすぎないように、でも強く出してとか。
意識しすぎちゃうと、レゴシが怖がらせようとしているとなりかねないので、そうならないように気を付けようと。生まれ持った状態での威圧感というか、軽さが出ないようには気を付けましたね。
フワフワしないというか、若いんだけど、落ち着いて物静かなようにも聞こえるし、ずっと独り言みたいにしゃべるというか、誰にも話し掛けてないようにしゃべるというか。
漫画の最初にも、レゴシはいつも独り言のように静かに話すと描かれていたので、そういうところも参考にして、すごく大事にしようと思いました。
――これまでのキャラクターとは、向き合い方は違いますか?
小林:人間ではないから、ちょっと考えなきゃいけないところはいっぱいあります。
オオカミとして生きてきた時はどんな感じだろうなと想像しながら考えたんですけど、難しいのは考えてきたことを、“考えてきました”と出しちゃうと、それが生きている感じじゃなくなっちゃうというか。
そういう説明をせずに、内在したまましゃべるのはどうしたら良いんだろうと、すごく難しく。
特にレゴシは感情を出しづらいというか、だからこそ誤解を生むだろうし、不器用なので、今まで演じた中でも、果たしてこれは伝えられるんだろうかというくらい、抑えながら芝居をしたというか。
どの役をやるにしても、“ただ生きているだけ”くらいにまで落とし込むのが一番難しいところなんですけど、レゴシは特殊なので、より難しさはありましたね。
――共演者と、共演しての感想や、収録時のエピソードがあれば、教えてください。
小林:収録が普通とは違って、プレスコと呼ばれる、演技をした後に絵を付ける形で録って。マイクも普通のアフレコだと、前にスタンドでマイクが立ててあって、画面を見ながら声を当てていくんですけど、そうじゃなくて。
ガンマイクというテレビや映画で使われるマイクが、ぶら下がっていて……言葉でうまく説明できないので、立って良いですか(笑)。
(身振り手振りを交えつつ、体全体で)普通は、画面を見てマイクのそばで収録するんですけど、ガンマイクだと直線上の音はわりとどこでも拾ってくれるので、離れた位置やマイクに対して正面を向かなくても収録ができて。
1つのマイクに共演者が2人入って、お互いの顔を見ながら芝居ができたり、相手につかみかかるような演技ができたりもします。
第1話だったら、ルイがゾーイというヤギのアゴをグッと持ち上げる時に、本当に(ルイ役の)小野(友樹)さんが(ゾーイ役の)室(元気)くんのアゴをグッとやりながら録りました。(声まねしながら)「オイ…」「な、なんですか?」みたいに演じていたので、「こういう録り方ができるんだ!」と。
それを小野さんがやってくれたから、僕らも挑戦できるところは全部挑戦してみようかなという、新鮮さがありました。
実際、ハルと対峙した時も(ハル役の)千本木(彩花)ちゃんと目が合うので、もらえるものがすごくあるというか。
普段は耳でしか相手の声を聞くことがないんですけど、相手の顔を見ながらお芝居ができるというのは、ものすごく財産になって。みんなこうなればいいのに、と思ったくらい、すごく新鮮でした。
――普段よりもリアルな演技が感じられそうですね。
小林:そうなっている気がします。音もガンマイクだと、映画っぽい音になっているというか、録ってくださったミキサーの方が「実写っぽいね。録り方も芝居も映画の音みたいだね」とおっしゃっていたというのを聞いて、みんなでうれしいねと話をしたり。
結構、みんな楽しくやっていましたね。毎週終わった後にご飯を食べに行って、今日はこうだったね、あぁだったねとか。こんなやり方があるんだとか、来週どうしようかとか、いろいろ挑戦できることはないかというような話をすごくできたというか。
演劇部を舞台にした物語に重なるようですけど、まるで劇団みたいになっていったなという感じがします。
共演者の人とすごく仲良くなって、プライベートでもご飯を食べに行くような。今では、榎木(淳弥)くんとは、飲みに行く関係になっちゃいましたね。
ルイ、ハル、ジュノ、レゴシはオーディションだったんですけど、飲んで話してたりすると、こういう物の見方をするんだとか、こんな考え方なんだとか、こういう立ち振舞いなんだなというところが、おのおのキャラクターっぽいところがあって。
小野さんはすごくルイっぽいところがあるし、千本木ちゃんはハルっぽいところ、種﨑(敦美)さんはジュノっぽいところがあるし。本人は「そんなことないよ」というかもしれないですけど、僕は話した時にそういうのが拾えて、とてもいいキャストたちだな、素敵だなと思いました。
――最後に、楽しみにしているファンの方へメッセージをお願いします。
小林:この作品は、何回見ても違った発見ができるし、どの世代の方が見ても共感できるところがいっぱいある……さすがに小学生とかが見ると、分からないかもしれないですけど(笑)。
いろいろな方が楽しめる作品だと思いますので、ぜひ、最後までご覧になって。何かの機会に、僕たちと「あそこ面白かったね」という話ができたら最高ですね(笑)。これからも宜しくお願いします。
TVアニメ「BEASTARS」作品情報
放送・配信情報
2019年10月9日よりフジテレビ「+Ultra」にて毎週水曜日24時55分から放送開始
※初回放送は25:15~25:45 ※バレー延長のため最大80分の押しの可能性あり
NETFLIXにて10月8日配信開始
2話〜毎週木曜日配信(日本先行)
関西テレビ:10月10日より毎週木曜25:55〜26:25
東海テレビ:10月12日より毎週土曜25:55〜26:25
テレビ西日本:10月9日より毎週水曜25:55~26:25
※初回放送は26:05~26:35 ※バレー延長のため最大80分の押しの可能性あり
北海道文化放送:10月13日より毎週日曜25:15~25:45
BSフジ:10月16日より毎週水曜24:00~24:30
※放送時間は予告なく変更になる可能性がございます。
INTRODUCTION
肉食獣と草食獣が共存する世界。
食肉が重罪とされるなか、全寮制の名門高校・チェリートン学園では生徒が食い殺される“食殺事件”が起きる。
不安の渦巻く校内で、演劇部の変わり者・ハイイロオオカミのレゴシは『大きい身体』と『鋭い牙』とは裏腹に静かに生活していた。
しかし小さなうさぎの女子生徒・ハルとの出会いが、そんなレゴシの心を揺り動かす。
「彼女を求める気持ちは、恋なのか? 食欲なのか?」
彼が本当に出会ったもの、それは自分自身の本能だった―――。
STORY
肉食獣と草食獣の共存する世界。
食肉が重罪とされるなか、名門校・チェリートン学園で演劇部の生徒が食い殺される“食殺事件”が起きる。犯人は見つからず、不安に揺れる生徒たち。
そんな中、演劇部では死んだ生徒の代役を巡っていさかいが起きる。
次期『ビースター』候補とささやかれ、演劇部のカリスマ的存在であるアカシカのルイに、逆恨みをした肉食獣の部員が襲いかかったのだ。
それを庇ったのは、照明係の二年生・レゴシ。『鋭い爪』や『大きな体』など、強そうな外見とは裏腹に、心優しく無口で不器用なオスのハイイロオオカミだ。だが、当のルイはそんなレゴシを偽善的で気に食わないと言い、強引に夜間練習の見張りに任命する。
夜。誰もいない講堂裏の裏庭で、ひとり見張りをしていたレゴシの前に現れたのは―――
小さな白いドワーフウサギの女子生徒・ハル。
その匂いを嗅いだ瞬間、レゴシの体を本能が駆け巡る。
我を忘れて襲いかかり、気付いた時には、彼女を両腕に抱きすくめていた。
腕の中で聞こえる鼓動が自分のものか、彼女のものかもわからない。
しかしこのハルと、そして自分の本能との出会いが、静かで穏やかだったレゴシの人生を大きく変えていく。
彼女へのこの感情は、恋なのか? それとも食欲なのか?
オスとメス、肉食獣と草食獣。
それぞれの痛み、そして強さや弱さに直面しながら、悩めるレゴシの青春がいま始まった―――
STAFF
原作:板垣巴留(秋田書店「週刊少年チャンピオン」連載)
監督:松見真一
脚本:樋口七海
キャラクターデザイン:大津直
CGチーフディレクター:井野元英二
美術監督:春日美波
色彩設計:橋本賢
撮影監督:古性史織 蔡伯崙
編集:植松淳一
音楽:神前暁(MONACA)
制作:オレンジ
CAST
レゴシ:小林親弘
ハル:千本木彩花
ルイ:小野友樹
ジュノ:種﨑敦美
ジャック:榎木淳弥
ミグノ:内田雄馬
コロ:大塚剛央
ダラム:小林直人
ボス:下妻由幸
カイ:岡本信彦
サヌ:落合福嗣
ビル:虎島貴明
エルス:渡部紗弓
ドーム:室元気
キビ:井口祐一
シイラ:原優子
アオバ:兼政郁人
エレン:大内茜
ミズチ:山村響
レゴム:あんどうさくら
ゴウヒン:大塚明夫
市長:星野充昭
オグマ:堀内賢雄
楽曲情報
◆オープニングテーマ ALI「Wild Side」(Alien Liberty International)
◆エンディングテーマ YURiKA「Le zoo」(TOHO animation RECORDS)