アニメ『歌舞伎町シャーロック』山下誠一郎さん、斉藤壮馬さんによる座談会第3弾|モリアーティや京極誕生の裏側に迫る!? 1クール目後半で起きる大きな事件とは……
TBS、 MBS、BS-TBS“アニメイズム”枠とAT-Xにて放送中のアニメ『歌舞伎町シャーロック』は、名探偵シャーロック・ホームズが活躍する探偵小説の要素がありつつ、架空の街“新宿區歌舞伎町”を舞台に、コメディあり、サスペンスありのストーリーが繰り広げられるオリジナルTVアニメです。
アニメイトタイムズでは、放送を振り返りつつ、キャストと共に作品の魅力に迫る連載キャスト座談会を企画。
第3弾は、ジェームズ・モリアーティ役の山下誠一郎さん、京極冬人役の斉藤壮馬さんを迎え、キャラクター紹介や本作で共演しての感想、収録で印象に残っているエピソードなどを伺った、座談会(前編)の模様をお届けします!
モリアーティの「素直さや少年らしさは大事に」と監督からアドバイス☆
――まず、ご自身が演じられているキャラクターの紹介をお願いします。
京極冬人役の斉藤壮馬さん(以降、斉藤):(山下さんに向かって)モリモリからじゃないですか?
ジェームズ・モリアーティ役の山下誠一郎さん(以降、山下):モリモリからですか?
一同:(笑)。
山下:(モリアーティは)#01から登場していたのですが、曲者揃いの探偵長屋に出入りしている、ごく普通の高校生という役どころです。
といいつつも、ワトソンでも対応に困るようなシャーロックのクセをわかった上で、対等に接していられるという、少し変わった、頭脳明晰な少年なのかなという感じです……現状(笑)。
斉藤:(京極は)ここまでのオンエアを見ていただいてもわかる通り、探偵長屋不動のエースということで、頭脳明晰、インテリ、カッコいい、クールというですね、曲者揃いの『歌舞伎町シャーロック』の登場人物の中でも、二枚目を担当しているという役どころです。
――役作りなど、キャラクターはつかみやすかったですか?
斉藤:最初の頃、モリアーティは結構、細かくディレクションがあったよね。
山下:そうですね。オーディションの段階から、モリアーティのこの先の展開もある程度教えていただいていて。
かといって逆算して演じたり、あまり自分で役を作り過ぎたり、長屋のメンツに負けまいと変に色を出すのは、違うのかなということも考えました。
見ている人に「どういう役どころなんだ」と思わせつつも、あの長屋の中ではワトソンと近くて、“真人間”寄りというところは意識して、ピュアな気持ちで演じたつもりです。
吉村(愛)監督からも、そういう素直さや、少年らしさは、モリアーティの中で大事にしてほしいと言われました。
――オーディションでは、シャーロック・ワトソン・モリアーティのバランスを見て選ばれたというお話を伺いましたが、実際いかがでしたか?
山下:シャーロックの幅が本当に広くて、僕はシャーロック役の小西(克幸)さんとご一緒したので、今のシャーロックの原型も見れたし、いろいろなタイプがあったんです。
もっとアクが強めのシャーロックもいれば、演じる人の感性や落語の仕方など、それぞれに個性があるのが、すごいなと思いました。
僕は、ワトソンも受けさせていただきましたけど、収まるところに収まった感じがしていて。
その分、モリアーティの年齢感や性質を考えると、いろいろな可能性や、もっと演じられる人がいるだろうと思っていたので、自分の中にあるもので勝負したモリアーティを出すしかない、という印象でしたね。
オーディションの段階では、そういう手応えみたいなものは、あまりなかったです。
声優が斉藤壮馬さんになったことにより、京極冬人のベースが決定!?
――斉藤さんはいかがですか?
山下:京極は、オーディションなかったですよね。
斉藤:そう、京極はオーディションではなくて。僕もモリアーティを受けていました。オーディションの時間帯によって、3人のキャラを受けにきている人数が違ったんです。
僕が行った時は、モリアーティを受ける人が少なかったので、かなり強引に「僕この後、(時間)空いているので」みたいな感じで。
山下:なるほど。
斉藤:たぶん5回くらいモリアーティを演じて、毎回違うパターンを出して「もう絶対、俺がモリアーティだろう!」と……違ったんですけど。
一同:(笑)。
斉藤:たぶん、そういう提案を鑑みて、京極になったんだと思います。
それこそ最初は、モリアーティを演じるつもりでオーディションに臨んだんですけど、この作品がまず“落語とミステリーがどう結びつくのか”というのが、オーディションの段階では、まだ全容が見えていなかった部分もあって。
すごく面白いこと、新しいことをやろうとしているな、監督や音響監督の長崎(行男)さん、脚本の岸本(卓)さんをはじめとするスタッフの皆さんが、非常に楽しんで作っているなと思いました。
そういう気持ちもあり、京極にと言っていただいたものの、後々聞くと、脚本でよくお世話になっている岸本さん曰く、どうも脚本打ち合わせの時にスタッフ皆さんから「斉藤壮馬が演じるなら、とびきり変なキャラにしよう」とテコ入れもあったらしく。
その結果、こういうことになってしまったと。
一同:(笑)。
斉藤:奇人変人がたくさんいる訳ですから、アフレコがすごく楽しくて。
京極はクールで、最初のディレクションでは「とにかくイケボでしゃべってください。彼が真面目にカッコいいと思っていればいるほど面白いので」ということだったんですけど(笑)。
“この人はこういう人だ”とイメージを固め過ぎない方が、その場の、生の会話のテンポ感が出るのかなと思って。
京極は、成り上がりを夢見ているところと、童貞であるところが、彼の“自我肥大感”みたいなものを象徴するように。
自分ではそう思っていないのですが、人から見ると「すごいナルシストだな」みたいなバランスになればいいなと心掛けて、僕も毎話アプローチしました。
キャラをつかみやすいかどうかはわからないですけど、京極がしゃべる度に、主に小西さんと中村(悠一)さんが「ちょっと、ふざけるのやめてもらっていいですか。こっちは真剣なんで」みたいな(笑)。
山下:そうそう、テストの段階で(笑)。
斉藤:「1人だけ違う作品の人がいますね」とか、いじってくださったので、現場的にもオイシイ役どころだなというのはありました。
山下:アドリブのセリフなのに、「うるさい」って言われていましたね。
一同:(笑)。
斉藤:本当だよね。結構「以下、アドリブ」みたいことが台本に多かったので、頑張ったんですけど、愛あるツッコミをいただいていて。
山下:「京極うるせぇな」とボソッと言われて、現場が和むというね(笑)。
斉藤:「今、謎解きしてるから」とか。
山下:「空気、変えないでもらえる?」みたいな。もちろんジョークですよ!
一同:(笑)。
斉藤:とにかく笑いの絶えない収録でした。
誠一郎くんとは年も近くて、僕らは小林寅太郎役の(橘)龍丸くんとよく一緒に座っていたんですけど、小西さんであったり、中村さん、諏訪部(順一)さんたちがビシッと現場をまとめてくださっていたので、現場も良い雰囲気でした。
だからこそ、京極は遊びがいがあるというか、いろいろ仕掛けることができたのかなと思いますね。
――お話を伺って、京極が「自分は変だと思っていない」からこそ、余計に“変人”に見えるのだなと納得しました。
斉藤:変な人は、だいたいそうですよね。自分は普通だと思っているからこそ“変”みたいなのは、大事にしたいなと。
山下:天才と同じように、自覚がないんですね。