夢は今ここに甦る……! ゲーム『新サクラ大戦』はシリーズのお約束と新要素を奇跡的なバランスで両立させた意欲作! 発売前プレイレビューをお届け!
帝劇を歩き回るだけでも楽しいアドベンチャーパート
ここからはゲーム本編の内容に迫って行きたいと思います。まずはヒロインたちと絆を深めていくアドベンチャーパートについて。『サクラ大戦』シリーズではLIPS (Live & Interactive Picture System)というシステムが搭載されています。
本作でもヒロインたちとコミュニケーションを取る際にいくつか選択肢が表示されるのですが、このシステムでは選択肢を選ぶ際に時間制限が設定されるのです。
ただし時間切れは失敗扱いではなく、所謂第4の選択肢という扱い。あえて何も行動を起こさなかったり、ヒロインたちに言葉を掛けないことで思わぬ展開に進むこともあります。
加えてアナログLIPSという、左スティックの上下で掛ける言葉の強弱やカメラアングルを変えられる特殊な方式の選択肢も存在。こちらはアナログスティックの上下で神山のしゃべるセリフや行動が変わり、それによってキャラクターたちの反応も変わってきます。
ここでアナログLIPSを使用するサブイベントから、稽古で汗をかいてしまったさくらがそれを拭きとろうと大帝国劇場の楽屋を訪れるものをご紹介します。
主人公の神山はこの場に偶然居合わせてしまうのですが、その様子を覗くか覗かないかがプレイヤーの手に委ねられることになります。
ここではプレイヤーは紳士に振る舞うのも男心に任せるのも自由なのですが、このイベント以外にも選択肢の豊富さによって神山の行動をプレイヤーが決められる点は注目。
プレイヤー自身が主人公の選択を決められることで感情移入度が高まり、それによって個性的な主人公が生まれる点はやはりポイントなのです。そしてこのLIPSシステムは、キャラクターたちの演出によって更なる楽しさを生み出しています!
『サクラ大戦V 〜さらば愛しき人よ〜』のマップ移動部分で一部用いられていましたが、本作からアドベンチャーパートはキャラクターたちがCGのモデリングで表現されるため、プレイヤーの行動によってリアルタイムに笑い、泣き、怒るなど、表情の変化や仕草までをも楽しめるようになっています。
これが本当に楽しく、ついつい他の選択肢を選ぶとどんな反応を返してくれるのか試したくなってしまいます。
もちろん選択肢以外の場所でもこの変化は新しい体験に繋がっており、大帝国劇場をふたりで並んで歩くといったシーンを生み出しています。今回は序盤だけのプレイでしたが、神山の言葉でコロコロと表情を変えてくれるさくらは見ているだけでも飽きません。
物語が進んでヒロインたちと絆を育んでいったら、今度はどんな表情を見せてくれるのでしょうか。この点はぜひ発売日を迎えたら確かめてみてください。
そしてもうひとつ、アドベンチャーパートで楽しい要素があります。それはキャラクター表現の進化とともに、背景や建物の表現力も上がっている点。
大帝国劇場の中もリアルに作り込まれており、床のタイルへの映り込みやキャラクターをきれいに映している鏡、衣裳部屋にならんだ舞台の衣装たちや、音楽室のグランドピアノの精緻さなどなど、挙げだしたらキリがありません。
ゲームの世界がここまでリアルに表現されたことで、プレイヤーはキャラクターたちがさらに身近な存在に感じられるのです。
また随所に過去シリーズとの繋がりを感じさせる小物がチラホラ見られ、そういった物を探し回るだけでも結構な時間を消費してしまいます。
それこそ筆者は第1話の体験プレイ時に、1時間半~2時間近くをかけ大帝国劇場を見て回ることに使ってしまいました。
2頭身のデフォルメされたキャラクターと、それに即したミニマップだけではわからなかった大帝国劇場の大きさもリアルに感じられるので、プレイする際は隅々まで歩き回ってみてください。