「でも大丈夫! みんなには私がいる」 全力パフォーマンスで心と心を結んだ斉藤朱夏初ワンマン 朱演 2019『くつひもの結び方』
表情をくるくると変えていくセットリスト 新曲も
甘酸っぱいメロディと全身を使ったパフォーマンスで言葉を伝えていった前半から、より言葉を深く届けていく中盤へ。
そんな糸でつながった皆さんに、私の大好きな曲を──と言ってはじまったのは、意外にもカヴァーの「糸」であった。朱夏さんが生まれる前の92年にリリースされた中島みゆきさんの名曲を、ピアノ伴奏&スタンドマイクで歌唱する。
言葉を大切にした曲に続いたのは、大切な言葉を紡いだ「ことばの魔法」。心からの気持ちを伝えるかのように、そして自分自身でかみしめるかのように、肩を震わせながら歌い、思わず感極まってしまう場面もあった。切実な思いを改めて感じさせる力強い歌声、その姿に、グッときたのは私だけではなかったはずだ。
その直後に、以前は“みんなの前で泣くもんか”と思ってたと本音をポロり。
「みんなの前に立つとすごく安心する。心が落ち着いて、“完璧なものを見せなきゃ”って思う糸をみんなにほどかれていくかのようで、なんだかすごく恥ずかしい気分になります」と心の内を明かしていく。少し照れた様子を見せながら、さらに続ける。
「私はみんなに絶大なる信頼をしててね、だからこうしてステージに立ててるんだと思います。弱さ、不器用さ、今までは見せちゃいけないって思ってたの。
だけど、これを機に、いろいろな弱い部分のわたしもみんなにもっと見せていこうと思いました。受け入れてくれるかな」
そう問いかけると、拍手と歓声が巻き起こり、嬉しそうな表情でフロアを見つめる朱夏さん。その気持ちを次のブロックに持っていくかのように声のトーンを一段階上げて、今度は「リフレクライト」「明日はきっといい日になる」(カヴァー)と、底抜けに明るい、ごきけんなナンバーを。
バンドメンバーとアイコンタクトしたり、キレッキレのダンスを披露したり、ステージを練り歩いたり、靴箱に座ったり……後半の疲れを見せるどころか、むしろ夏に咲くひまわりのようにニカッとしたチャーミングな笑顔を咲かせながら全身で想いを表現していく。
『言葉と歌で、いつも応援し、支えてくれる「君」の背中を押してあげたい』という『くつひも』に込めたキモチを改めて感じさせるかのような、エネルギッシュなステージであった。
その勢いはここで終わらない。さらに「それじゃあ、タオルを持って!」と、次のシングルに収録されるライブチューン「しゅしゅしゅ」をサプライズプレゼント。
客席にいるみんなと共にタオルをまわしながら、初披露とは思えないほどの一体感で会場のテンションを高めていったのだった。