富田美憂さん、伊瀬茉莉也さん、井澤詩織さんにとっての「浪漫」とは? 劇場版『メイドインアビス 深き魂の黎明』完成披露イベントレポート
2020年1月17日より劇場公開がスタートする劇場版『メイドインアビス 深き魂の黎明』。2019年12月28日には、東京・EJアニメシアター新宿にて劇場版『メイドインアビス 深き魂の黎明』の完成披露イベントが行われました。
『メイドインアビス』は、『WEBコミックガンマ』にて連載中の、つくしあきひと先生による漫画を原作としたアニメーションシリーズ。
摩訶不思議な生物や高度な異物が眠る、人類未開の地である大穴(アビス)に挑む探窟家の少女・リコたちの冒険が描かれ、過酷な自然との戦い、容赦のないハードなストーリー展開、制作を担当した新鋭のアニメスタジオ・キネマシトラスによるハイクオリティな映像などが高く評価され、世界中のアニメファンからの支持を集めた作品です。
そんなファン待望の完全新作となるのが、劇場版『メイドインアビス 深き魂の黎明』。
公開前に先駆けて行われた今回の完成披露イベントでは、『深き魂の黎明』の上映終了後、富田美憂さん(リコ役)、伊瀬茉莉也さん(レグ役)、井澤詩織さん(ナナチ役)の3人のキャスト陣が登壇し、作品にまつわるトークを繰り広げていました。
丸2日間のアフレコを終えても、まだ演じ足りない!?
まず、TVシリーズを再編集した劇場版総集編から約一年後、どのような心境で今日を迎えたかを尋ねられると、「(劇場版を)やると聞いた時から、怖くもあるけど早く録りたいという、ワクワク感の方が強かった」とその胸中を明かす富田さん。収録に向けての気合も十分で、ありとあらゆる栄養ドリンクを買い揃え、スタジオを飲み物屋のような状態にして臨んでいたのだとか。
一方で伊瀬さんは、「今年1月の総集編の劇場版が、すごく昔のようにも最近のようにも感じられて、海外のイベントに行ったり、『アビス』に触れる機会が多かった一年でした」と、2019年を振り返りつつ、「3人で会う機会も多かったので、アフレコも“ONE TEAM(ワンチーム)”ないい雰囲気でした」と、大きな盛り上がりとなったラグビーワールドカップの流行語を絡めたコメントで、客席の笑いを誘います。
その後、ついに完成した劇場版の感想を尋ねられると、「本当にすごい。語彙力が足りなくて、こんなに悔しい想いをすることはない」と、作品の魅力を言葉で表現しきれないことを悔しがる井澤さん。
伊瀬さんや富田さんも、アフレコ時に想像していたものを大きく上回る映像が出来上がっていたと声を揃えつつ、とくにレグの戦闘シーンの迫力や、原作コミックの書き込みの凄まじさを再現したアビスの壮大さにの表現に圧倒されていた様子。
劇場版のアフレコは、丸二日にかけて行われたようで、「合宿みたいな雰囲気でスタジオに籠もって収録して、最後の方は身体は元気なのに、だんだん呂律が回らなくなってきて……」と、かなり大変な収録だったことを明かす富田さん。
ただしその一方で、ラストシーンの前には、全員が収録が終わってしまうことを惜しんでいたそうで、二日間たっぷりと演じてもまだキャラクターを演じていたいという気持ちが残っていたのだとか。
今回の劇場版では、ボンドルド役の森川智之さん、プルシュカ役の水瀬いのりさんも一緒に収録することができたようで、「淡々とした声色の中にも、優しさとかいろいろな感情を絶妙に織り交ぜてくる森川さんのテクニックに圧倒されながら、それに負けないように立ち向かってくアフレコでした」と振り返る伊瀬さん。
また、一度見ただけでは気づきにくい裏話として、実は劇中に登場する「成れ果て」達の声の収録には、富田さん、伊瀬さん、井澤さんの3人に加えて、坂本真綾さんなどかなり豪華なキャスト陣も参加していることも明かされていました。
キャスト陣にとっての「浪漫」とは?
TVシリーズから引き続きケビン・ペンキンさんが担当する劇伴音楽についてもトークは及び、伊瀬さんは「より世界に奥行きを与えるような、重厚感や恐怖のようなその時の感情を、楽曲でも表現してくれている」と絶賛。
ただしキャスト陣は、まだ完成した映像を、劇場のスクリーンと音響で見ることができていないそうで、今回の試写会で、最高の環境で作品を楽しむことができた来場者達を羨ましがる一幕も。
また今回のステージでは、劇場版ではTVシリーズの楽曲がBGMとして流れていたのですが、これはトーク中に流すには、劇場版の楽曲はあまりにも存在感が強すぎるため。
ただし次に森川さんが登壇するステージでは、ボンドルドの登場シーンで流れた楽曲を流してほしいという希望がキャスト陣から上がっていました。
その後には、作中のテーマの一つにもなっている「浪漫」について、それぞれが語ってく流れに。
井澤さんは年末ジャンボ宝くじ、伊瀬さんは仕事でシンガポールに行った際に入れなかった、高級ホテル「マリーナ・ベイ・サンズ」の屋上巨大プールを、それぞれ浪漫を感じるものとして挙げる一方、富田さんは「巨大なプリンに寝っ転がりたい」とかわいらしい浪漫を明かし、客席の笑いを誘っていました。
最後には、富田さん、伊瀬さん、井澤さんから、それぞれ『メイドインアビス』への熱い愛が籠もったファンに向けてのメッセージが送られ、完成披露イベントは締めくくられました。
いよいよ劇場公開が迫りつつある『メイドインアビス 深き魂の黎明』。美しい映像にキャスト陣の熱演、目を離せないストーリー展開と、視聴者の感情を何度もダイレクトに揺さぶってくる、まさに『メイドインアビス』の劇場作品に相応しいクオリティに仕上がっていますので、劇場公開までもうしばしのご辛抱を。
[取材・文/米澤崇史 撮影/鳥谷部宏平]
作品情報
劇場版「メイドインアビス 深き魂の黎明」
2020年1月17日より劇場公開!
あらすじ
隅々まで探索されつくした世界に、唯一残された秘境の大穴『アビス』。どこまで続くとも知れない深く巨大なその縦穴には、奇妙奇怪な生物たちが生息し、今の人類では作りえない貴重な遺物が眠っている。
「アビス」の不可思議に満ちた姿は人々を魅了し、冒険へと駆り立てた。そうして幾度も大穴に挑戦する冒険者たちは、次第に『探窟家』と呼ばれるようになっていった。
アビスの縁に築かれた街『オース』に暮らす孤児のリコは、いつか母のような偉大な探窟家になり、アビスの謎を解き明かすことを夢見ていた。
ある日、母・ライザの白笛が発見されたことをきっかけに、アビスの奥深くへ潜ることを決意するリコ。リコに拾われた記憶喪失のロボット・レグも自分の記憶を探しに一緒に行くことを決意する。
深界四層でタマウガチの毒に苦しむリコ。リコを救ったのは成れ果てのナナチだった。ナナチを仲間に加え、ボンドルドの待つ深界五層へと三人は冒険を進める。そこで、プルシュカと名乗る女の子に出会い…
スタッフ
原作:つくしあきひと(竹書房「WEBコミックガンマ」)
監督:小島正幸
副監督:垪和 等
脚本:倉田英之
キャラクターデザイン:黄瀬和哉(Production I.G)
総作画監督:齊田博之
エフェクト作画監督:橋本敬史
生物デザイン:吉成 鋼
デザインリーダー:高倉武史
アクションアニメーター:酒井智史、杉田 柊
美術監督:増山 修(インスパイアード)
美術設定:西 俊樹、菱沼由典、平柳 悟
色彩設計:山下宮緒
撮影監督:江間常高(T2スタジオ)
音響監督:山田 陽
音響効果:野口 透
音楽:Kevin Penkin
音楽プロデューサー:飯島弘光
音楽制作:IRMA LA DOUCE
音楽制作協力:KADOKAWA
アニメーション制作:キネマシトラス
キャスト
リコ:富田美憂
レグ:伊瀬茉莉也
ナナチ:井澤詩織
ボンドルド:森川智之
プルシュカ:水瀬いのり