「私たちの夢はここでは終わりません」|ホロライブ初の全体ライブ「hololive 1st fes.『ノンストップ・ストーリー』」レポート
MCパート中のアクシデントを救った「YAGOO」コール
兎田ぺこらとさくらみこの「ぺこみこ」コンビによるMCでは、途中でアクシデントが発生。
すると客席から、ホロライブを運営するカバー株式会社の谷郷CEOのニックネーム「YAGOO」のコールが自然発生。謎のコールは約2分半続いて終了。その直後にトラブルが解決し、動けるようになったぺこみこは抱き合って喜んだ。
2期生で天才魔法使いの紫咲シオンが歌ったのは、西沢Pの『Booo!』。トラブルによる中断を意識してか、間奏では「みんなー元気ー? そろそろ疲れてきたんじゃないのー?」「盛り上がっていくぞー!」と煽って、客席の勢いをチャージ。
好きだからこその恋人への不満を描いた曲を、小柄で幼い容姿とはミスマッチの大人びた歌声で歌い終えると。普段の可愛い口調で「おしまい!」。その振り幅にも心を揺さぶられた。
3期生の中でも特に歌唱力に定評のある不知火フレアは、この日、初お披露目となった3Dモデルの身体で現れると、美しい立ち姿から深々とお辞儀。
164の『天の弱』を歌う。初ライブでありながら堂々とした姿で、高音部分も余裕で歌いこなし、客席のファンに手を振る姿は凛々しい。揺れるポニーテールも自然で、3Dモデルのクオリティも素晴らしかった。
「にゃっはろー! エリート巫女アイドルのさくらみこでーす。みんな全力で盛り上がってくださーい!」と登場したさくらみこは、オリジナルソング『マイネームイズエリート☆』を披露。
「みーこみーこ」「みこはエリートー!」など会場とのコール&レスポンスも重ねながら、どんどん熱気を上昇させていく。
先のMCでは、兎田ぺこらと息の合った掛け合いで場をつなぎライブのピンチを救ったが、ソロパートでは会場のファンとの掛け合いで、ライブをさらに盛り上げた。
配信では、柔らかな口調で癒し系の夜空メルだが、ステージに登場すると、「今日はぶち上げていくぞー!」と宣言。その言葉通り、DECO*27の『ヒバナ』で会場をぶち上げていく。
間奏では激しくヘッドバンキングするなど、歌声でもステージパフォーマンスでも、自分の中の「夜空メル」のイメージを更新させられた。去り際の「ありがとう。大好き」といういつもの声に、逆にギャップを感じたほど。
ソロパートを締めくくるのは、ときのそら。数多くのオリジナル曲の中から、この大舞台に選んだのは、昨年10月の1stワンマンで初披露した『フレーフレーLOVE』だ。
「君らしさが大好き」と、そらとも(そらファンのファンネーム)たちへエールを送る楽曲だが、会場からも「フレーフレー」のコールが入り、自然とステージと客席がお互いにエールを送り合う形に。
熱くて温かい、ときのそらならではのライブ空間となっていた。
豊洲PITを埋め尽くしたファンが『新宝島』で爆笑&熱狂
大空スバルと百鬼あやめの仲良しコンビ「あやスバ」が登場してのMCは、わちゃわちゃとした空気に。メンバーのパフォーマンスに対して感想を語ると、その言葉一つ一つに客席から大きな歓声が上がる。
MCの後はユニットコーナー。まずは、ソロデビュー組と呼ばれる、ときのそら、ロボ子さん、さくらみこ、AZKi、星街すいせいの5人が、このライブのために新規デザインされた23人お揃いのアイドル衣装で登場。
ときのそらのオリジナル曲『Dream☆Story』を歌った。5人での『Dream☆Story』を初めて聴き、ときのそらのために書かれたこの曲の歌詞は、そのままホロライブ全体にも重なることを実感。
歌詞中の「ときのそらだよ」の部分は、「ホロライブだよ」に変えて歌われたが、違和感は無かった。
続いて登場したのは、1期生の白上フブキ、夏色まつり、夜空メル、赤井はあと、アキ・ローゼンタール。アキロゼをセンターに配し、新たなホロライブの全体曲『夢見る空へ』を初披露した。
大きな舞台を経験し、さらに先へと向かう今のホロライブの姿を歌ったような曲で、VTuberグループとしてのホロライブを作ってきた5人で初めて歌われることにも大きな意味を感じた。
2期生の5人は、大人気アニメ『五等分の花嫁』のオープニング「五等分の気持ち」を披露。五つ子のヒロインのキャストで歌う曲を、そのままパート分け。
短いフレーズのソロパートが連続した後、全員コーラスなど少し忙しい切り替えもある曲だが完璧で、コーラスも美しい。仲良しだが、歌声含めて個性はバラバラという5人にぴったりの選曲だった。
スクリーンに、ホロライブゲーマーズの白上フブキ、大神ミオ、猫又おかゆ、戌神ころねの名前と、サカナクションの『新宝島』という曲名が映し出された後、本家のMVさながらに背中を向けて立つ4人の姿がスクリーンに映ると、客席は爆笑。
振り向いた4人が左右にステップを踏み出すと、さらに会場のボルテージが高まり、サビでは大合唱が始まった。4人は、新宝島ステップとも呼ばれるボックスステップも披露。
本家MVで楽器を演奏しているパートではエア演奏し、最後の右手突き上げポーズの決まっているのかいないのか分からない具合も完コピだった。
3期生の不知火フレア、白銀ノエル、宝鐘マリン、兎田ぺこら、潤羽るしあが歌ったのは、halyosyの『Connecting』。出合ってからの期間はまだ短いながらも、非常に繋がりの強い5人にはぴったりの選曲だ。
「歌」「夢」「人生」「あなた」と結びつきたいという歌詞も、5人の思いに重なっていそう。フレアとマリンのシャウトは大きなアクセントとなり、特に強い印象を受けた。
ユニットコーナーのラストは、ときのそら、白上フブキ、湊あくあの3人による初ステージ。全体ライブだからこそ実現したホロライブのドリームトリオで、八王子Pの『きまぐれメルシィ』を歌う。
3人でのコーラスパートも美しいが、それぞれの個性が前面に出てくるソロパートはさらに印象的。3人の歌声が刺激しあって、さらに高まっているようなステージだった。
ときのそらがホロライブは「とまらねえぞー!」と宣言
ユニットコーナーの後は、ホロライブ公式YouTubeチャンネルで配信されているアニメの新作『劇場版ホロぐら』が上映。いつもの『ホロぐら』同様にメンバーたちは可愛く面白いが、物語には置いてけぼりにされた。
約2分半の上映が終わると、アイドル衣装姿の23人が初めて勢揃い。一人一人が夢を発表した後、ときのそら、湊あくあ、白上フブキが代表する形で、ファンへの感謝の気持ちなどをを語った。ここでは、ときのそらのメッセージの最後を抜粋しよう。
「私たちの夢はここでは終わりません。これからもみんなと一緒に歩いていきたいし。もっともっと楽しい事、幸せな事をみんなと分かち合っていきたいなと思っています。なので、これからも私たちホロライブをどうぞよろしくお願いします。とまらねえぞー!」
約2時間30分のライブを締めくくる曲は、『夢見る空へ』と同じくホロライブの新たな全体曲の『キラメキライダー☆』。
メンバーは自由に動きながら、「ここにいるよ。見つけてくれたから」「君に会いたくってやってきたんだ。みんなで歌おう」と、ファンへの思いも込められた曲を歌っていく。ラスサビの後には、客席に向かって銀テープが発射!
大きな拍手に送られながらメンバーは去り、スクリーンにはエンディング映像が流れ、その終盤にはスペシャルサンクスとして、メンバー23人分のファンネームが書かれていた。
「これからも、とまらない おわらない。」というメッセージに続いて映し出されたホロライブのロゴの下には、小さく「see you next time …」という文字が。
しかし、「next time」が待ちきれないファンも多かったのか、友人Aによる公演終了の影ナレが終わった後もアンコールの声は止まない。
おそらく運営サイドにとっては予想外の展開だったが、友人Aが「本日の公演は以上となりますが、絶対に次のライブでまたお会いしましょう!」という約束と、感謝の言葉を改めて伝えると、客席からは大きな歓声が起きる。
本当に終わらなかったホロライブ初めての単独ライブ『ノンストップ・ストーリー』は、こうして幕は閉じた。
[取材・文/丸本大輔 写真/Ayo Kajino]
セットリスト
M1:Shiny Smily Story/メンバー全員
M2:ファンサ/夏色まつり
M3:fancy baby doll/兎田ぺこら
M4:おじゃま虫/癒月ちょこ
M5:はなびら/ロボ子さん
M6:夜もすがら君想ふ/大神ミオ
M7:♡桃色片思い♡/湊あくあ
M8:こちら、幸福安心委員会です。/戌神ころね
M9:『13』/潤羽るしあ
M10:天球、彗星は夜を跨いで/星街すいせい
M11:私、アイドル宣言/赤井はあと
M12:惑星ループ/猫又おかゆ
M13:金曜日のおはよう/大空スバル
M14:without U/AZKi
M15:千本桜/百鬼あやめ
M16:Lost my music/宝鐘マリン
M17:シャ・ル・イース/アキ・ローゼンタール
M18:太陽系デスコ/白銀ノエル
M19:Say!ファンファーレ!/白上フブキ
M20:Booo!/紫咲シオン
M21:天ノ弱/不知火フレア
M22:マイネームイズエリート☆/さくらみこ
M23:ヒバナ/夜空メル
M24:フレーフレーLOVE/ときのそら
M25:Dream☆Story/ときのそら、ロボ子さん、さくらみこ、AZKi、星街すいせい
M26:夢見る空へ/1期生
M27:五等分の気持ち/2期生
M28:新宝島/ゲーマーズ
M29:Connecting/3期生
M30:気まぐれメルシィ/ときのそら・白上フブキ・湊あくあ
M31:キラメキライダー☆/メンバー全員