冬アニメ『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』キャラクター原案・小玉有起インタビュー|「いい歳したピンク髪の男ってなかなかいない」
オリジナルSFミステリ『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』が絶賛放送中。あおきえい監督と脚本・舞城王太郎がタッグを組み制作された「オリジナルSFミステリ」ということで、アニメイトタイムズでは関連記事を多く制作・公開しています。
今回は、スタッフインタビュー。キャラクター原案を務めた小玉有起さんにお話を聞きました。メインどころはもちろん、犯人や被害者など、名前のついたキャラクターはほぼ全員担当されたという小玉さん。ここでは、メインキャラクターに4人に絞り、時間の許す限り裏話を聞かせてもらいました。もちろん、『ヤングエース』にて小玉さんが連載している漫画『ID:INVADED イド:インヴェイデッド #BRAKE-BROKEN』についても!
『イド』との出会ったのは約6年前
――まずは、小玉さんがアニメ『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』に関わることになった経緯から伺いたいです。そもそも、コンペには参加されていなかったそうですね。
小玉:そうなんです。ただ当時「NAZ」の社長の須田(泰雄)さんから「実は今、こういうアニメが動いているんだよね」と話を聞かせてくれたのがはじまりです。
そこで「舞城さんとやっている」ということや、「キャラクター原案のため、いろんな作家さんに声をかけている」という話を聞いていて「何か1体、お願いしますよ」とも言われていたんですよ。だから、「了解です」と言ったんですけど、結局そのときは具体的な発注が来ず。そういえば、どうなったのかな?くらいでした。
――1体も描くこともなく?
小玉:描くことなく、です。もう終わっちゃったかなと思っていました。そうしたら、次に会ったときに「コンペをやっているんだけど、うまくいかないんだよね」と言っていて。じゃあ書かせてほしいなと思いつつ、横目で見ていたらようやく「描いてみない?」と。やっときた!って思いましたね(笑)。そんな感じで出すことになったのが最初です。
――少し複雑な段階を踏んで、参加することになったんですね。最初に出したのは誰なんでしょうか?
小玉:名探偵・酒井戸を描きました。シナリオを最終話までいただくことができたので、それを読んでイメージを膨らませつつ描きましたね。
もともとも舞城さんの小説をよく読んでいたので、僕の中にイメージみたいなものがあったんですけれど、『イド』的には「それを描いてはいけない」という話で。「キャッチーにして欲しい」「おじさんおじさんしないように」「観る人がとっつきやすいように」というオファーがあったので、じゃあ「頭、ピンクにしちゃえ!」って。
――酒井戸は、最初の段階からピンク髪だったんですね。聞くところによると銀髪バージョンもあったとか。
小玉:そうなんです。アイデア出しの段階では銀髪にしていました。だけど、なんか違うなって思っていたので、ピンクにしてみたんですよね。やばいかな? やりすぎかな? と思いつつ、銀髪のものと一緒に「ピンクにしてみたんですけど……」「僕はピンク推しなんですけど……」って出してみたら、あおきさんが「良いじゃん」って。そこですぐに決まりました。
実は、最初はピンクといってもグレー系でアッシュっぽいピンクだったんですけど、蓋を開けてみたらどピンクになりましたね(笑)。漫画のほうのピンクが最初のイメージでした。
――なぜ、青でも黄色でもなくピンクだったんでしょうか?
小玉:ピンクって、アニメでしか見ない色というだけでなく、ヒロインの女の子の髪色というイメージが結構強いじゃないですか。それを見て以前から「なんでヒロイン=ピンクなんだろうとは思っていて。「男がピンクの髪していてもいいんじゃないかな」「いい歳したピンク髪の男って今までいないだろう」というところから酒井戸の髪色にしようと。しかも、そんな髪色をしているのにシリアスっていうのが、『イド』っぽくもあっていいなと思ったんです。
――ある種の違和感のような。
小玉:そうですね。それもありだと思いました。そうして、本格的に動き出したのが2016年くらいです。
――シナリオを全話分いただいたとのことですが、読んだときはどんな印象でしたか?
小玉:舞城王太郎だな〜!って思いました。まだ決定稿ではなかったからか数話ずつ小出しに送ってくるので、「早く次読ませてくれよ!」って思うくらい夢中で読んでいました。
あと、当時はまだキャラクター原案だけだったので、ただただ楽しく「これがどんなふうに絵になるんだろう」「どう表現するんだろう」とワクワクしながら読んでいたのを覚えています。完全に他人事でしたね(笑)。