冬アニメ『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』キャラクター原案・小玉有起インタビュー|「いい歳したピンク髪の男ってなかなかいない」
スムーズに進んだキャラ原案
――ひとまず酒井戸を描いたとのことですが、次は誰を描いたんでしょうか?
小玉:それはもう、順番に書いていきました。鳴瓢と、百貴たち井戸端スタッフと、本堂町と富久田と。
――メインキャラクターから。
小玉:そうですね。それを一人ずつ提出していくのではなくて、ある程度の人数を仕上げたらまとめて提出していました。
――最初に提出した段階で、苦労したキャラクターはいますか?
小玉:それが、本当にスムーズだったんです。最初の酒井戸なんて、ラフでOKが出て「じゃあ次いってみよう」という感じだったので、清書もしないままなんです。「酒井戸はこれで大丈夫だから」って(笑)。
――そんなに(笑)。シナリオを全話読めたのが大きかったんでしょうかね。
小玉:それは大いにあると思います。迷わずに描けることが多かったですね。
――鳴瓢は、酒井戸をもとに作り上げていったわけですよね。
小玉:そうですね。酒井戸をクタッとさせるというか、ボロボロにさせるイメージで作っていきました。髪の毛も、酒井戸は上に向かってハネているんですけど鳴瓢はしなだれています。
――言われてみれば。ボロボロ感はこういったところからもにじみ出ますね。
小玉:だから髪の色もちょっとトーンを落としているんですよ。少しくすんだピンクにしています。
――それに、ちょっと筋肉質ですよね?
小玉:それは、キャラクターデザインをされた碇谷(敦)さんの好みだと思います(笑)。僕からは「そんなにバキバキにしないでくれ」っていうくらい。しなやかな印象がありますね。
――対する百貴は、黒髪でアニメ的特徴はそれほどないキャラクターだと感じます。
小玉:おっしゃるとおりあまりないですね。絵的にふざけられない、キチッとした印象があるので、黒髪で眉間にシワ寄せながら画面をずっと睨んでいるようなイメージを形にしました。そういうところから、なんとなく“百貴たる部分”っていうのが滲んでいるんじゃないかなと。
――百貴も悩まなかったですか?
小玉:そうですね。百貴もそのまま通ったんですよ。あおきさんからも「これは百貴だ」と言われ、「そうですよね」って。なんでなのかはよくわからないんですけれど(笑)。本堂町小春もリテイクがほぼなく「これは本堂町だ」となりました。
――本堂町小春は、かなり幼い印象ですよね。
小玉:僕はそんなイメージなかったんですけどね。「男の子っぽい女の子にしよう」というイメージではありましたが。
――それは、どういったところでビジュアルに落とし込んでいるのでしょう?
小玉:眉毛が立派だったり、髪型が長くないところですね。そこから少年っぽさが出ればいいなと。
――本堂町小春の性格からきたものなんですかね?
小玉:ですかね? でも、本堂町の第一印象って結構初々しいですし男勝りではなく、ちゃんと女の子じゃないですか。だけど、舞城さんを通しているから、そこも力強さに変わります。
舞城さんは絵がうまくて、『イド』のキャラクターもよく描かれるんですけど、舞城さんが描く女の子は弱々しくないんです。か弱いイメージがなくて、メンタルから強そう。そんなイメージがあったので、意識して描いています。