茅原実里さんインタビュー|作品を未来に届けて行くのは巡り合った使命――2枚目となるベストアルバム「SANCTUARYⅡ」と巡る“茅原実里”という物語
私もこの曲に背中を押されています
――少しお話はDisc1に戻りまして、新曲の「We are stars!」についてもお聞きできればと。これはなかなか難しい楽曲ですね。
茅原:レコーディングはすごく頑張りましたね。15周年という節目で、今の茅原実里の最大限を引き出してくれる楽曲をQ-MHzさんが作ってくださったなっていう感じですね。
15周年ソングを作ることになって、どんな曲にするかみんなで考えたんですけど、「どうもありがとう」「これからもよろしくね」みたいなキラキラ感動系ではないほうがいいなと思ったんです。「まだまだこれからもいくよ!!」っていうメッセージを詰めこんだアグレッシブに攻めた曲がいいよねって。
「じゃあ、実里ちゃんのかっこいい面を見せていける楽曲にしよう」っていう話になって。それから、私の中でひとつテーマが決まっていたのでそれもお伝えしました。ズバリ!テーマは “誕生”がいいなって思っていました。このアニバーサリーにぴったりな楽曲になるんじゃないかな?って。
そこで、Q-MHzさんにお願いすることになって、上がってきたのがこれだったんです(笑)。私はセリフとかラップとか一切オーダーしていなかったので、びっくりして「すごいの来た!」と思いました。一回、二回聴いたところでは全く自分の中で処理が追いつかなくて、体に馴染むまでは翻弄され続けていましたね。レコーディングでも苦労しましたよ。
「2004年に声が生まれて……」というセリフから入る曲ですけど、田代智一さん(Q-MHzのメンバー)は、「雪、無音、窓辺にて。」を作ってくださった方。この楽曲もまた有希のセリフが重要なポイントになっているし、ある意味私の始まりの曲でもあるんです。
セリフ繋がりでリンクさせた演出でもあるらしくて、それを聞いてすごく感動しました。Q-MHzさんって茅原実里の楽曲に携わってくださっている畑亜貴さん、田代智一さん、黒須克彦さん、田淵智也さんがいます。みなさんにそれぞれ本当にお世話になっていて……。
Q-MHzさんは、私のことを長く知ってくださっている、育ててくださった親みたいな存在がたくさんいらっしゃるんです。だから「We are stars!」は、そのQ-MHzさんが私にプレゼントしてくれた15周年の曲でもあり、挑戦状みたいな感じです(笑)。「越えてやるぜ!」みたいな気持ちで挑戦しました。
――Q-MHzのみなさん的には、「15周年やってきたけど、まだ開けてない引き出しあるよね?」みたいな感じだったんでしょうね。
茅原:ね! すごいですよね。めっちゃかっこいいし。初披露でしたけど、バースデーライブもめちゃくちゃ盛り上がりました。
セリフとかラップとか口が回らないし覚えるのも至難の業でした(笑)。レコーディングのとき田淵さんが来てくださってディレクションしてくれたんですけど、セリフも本当はもうちょっと長かったりして、尺に収まらないから削ってもらったりもしたんですよ〜!(笑) これでも短くしたんです。
ライブの時もセリフを噛まずに止まらずに言えるかの勝負で、どこかでしくじったらもうどうにもなくなっちゃうんですよ。なんとか越えられたので良かったんですけどね(笑)。
掛け合いも多いですし、これからファンのみんなと育てがいのある曲だなと思っていて、次に歌うのがすごく楽しみですね。次に歌うのいつだろうな。河口湖かな?
しかもこんなにも色々な要素を持ち合わせていてかっこいいのに、サビが爽やかで感動する感じなんですよ。練習しながらうるうるしてました。うるうるしてたと思ったらセリフ来るみたいな。忙しない曲です(笑)。
――ジェットコースターみたいな曲ですよね。
茅原:そうなんですよ。自分の人生みたいだなって思いながら歌っていました(笑)。セリフがきたと思ったらラップきて、ラップがきたと思ったら歌が始まってみたいな。私も自由な人で、あんまり計画性がないところがあるので急なギアチェンも面白くて(笑)。
――(笑)。先ほど“誕生”がテーマと言っていましたが、タイトルは「We are stars!」なんですね。理由についてお聞かせいただけますか?
茅原:私もみんなもこの世にたったひとつの存在。一緒に人生を輝かせていこうよ! っていうメッセージを私は感じています。応援歌でもあるので、実は私自身が一番この曲に背中を押されてるのかもしれない!
――自分の歌で自分が背中を押されるっていうのもすごく素敵ですよね。
茅原:そうですね。作詞・作曲・編曲はQ-MHzさんなんですけど、普段から歌わせていただいている中で、畑さんの言葉って本当にそういうものが多いんです。詞に励まされるっていうのは常にありますね。お手紙みたいですからね……。毎回毎回。
本当に素敵なことをさせてもらっているなぁ……と思います。元々、歌手になる夢を追いかけて生きてきた何の取り柄もない一人の女が……(笑)。15年間もこんな風に歌ってこれるなんて。
遡ればまさか声優の仕事をするなんて思ってなかったですしね。出会いに恵まれてここまでやってこれたなと思いますね。