この記事をかいた人
- 石橋悠
- 1989年福岡県生まれ。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者。
――ベストアルバムなどで楽曲を通して聴いていると気づくのですが、茅原さんは年々表現力が豊かになっているように感じます。日々の努力はもちろんあると思いますが、歌い続けると何か発見などがあるのでしょうか?
茅原:発見はありますね。生きながら、新しい経験が増えていくわけですから。そこで出会った人とか、見たもの、感じたものが自分の表現力にも繋がっていくのかもしれません。そういう心の引き出しみたいなものが、気づかないうちに増えていたりするんでしょうね。
特に「エイミー」は自分にとっては大きな曲です。歌を歌うことに対して改めて向き合いながら歌ってます。
デビュー前やデビュー当時は、とにかく歌が歌いたくて、歌うのが好きで、自分にベクトルが向いていました。
それが活動を続けていくうちに、ファンのみんなのためになっていって、今はどちらのためとかっていうお話ではなくなってきていて、歌いながらみんなの安らぎや幸せを願ったり、歌って祈ったりするものになっています。それは特に「エイミー」から変化していきました。
――作品は世に出すと自分のものだけじゃなくなってしまいますが、そこでの葛藤もあると思います。しかし、茅原さんはそこを乗り越えた先に行っているのかなとお話を聞いていて思いました。
茅原:海外にも足を運ばせていただく機会が増えたからっていうのもあるかもしれませんね。視野が広がったのはあるかもしれない。
昔は海外なんて興味なかったですし、日本だけでもこんなに大きいのに海外なんて行かなくたっていいんじゃないかと思っていたんです。でも、仕事でこんなに海外に行くことになるなんて……。自分の世界を広げてもらって感謝ですよね。本当に。
海外には、日本のアニメが好きな人や私の曲を聴いてくれている人たちがこんなにもたくさんいて、こんなに日本から遠く離れた所に住んでいる人たちともちゃんと繋がってるんだって気づいたんです。
なんだか自分が思っていた以上にものすごく壮大なことをしているんだなと、実際に足を運んで感じてわかったんです。作品から人へ、人から人へと繋がりが続いていて、ここで終わりっていうのがないんだなって。だからこそ可能性には終わりはないし頑張らなきゃって。
――それはすごく思ってました。向上心が高い人だなと。
茅原:本当ですか!
――「私、まだまだ行ける!」みたいなのは常に感じます。できないことがあったら悔しがる姿も見せてくれますし、前に前に行こうという推進力がすごいと思います。ご自身で意識したことはないかもしれませんが、それはなぜなんでしょうか?
茅原:それこそ、10周年のときは「私はやりたいこと色々やったから、これから先はおまけみたいなものだ」って語っているインタビューを読んで、「……はぁ?私は何言ってるんだろう……?」って思いました(笑)。信じられない、あのときの私はなんだったんだろうって。
そこから5〜6年でいろんな変化があって、それを経て今の私は前を向いているので、余計に当時の自分の発言が恥ずかしくなりました。今が一番未来に向かっているというか、前のめりの姿勢で仕事をしていますね。『SANCTUARY II』を作りながら、『SANCTUARY III』がまた5年後に来るから……なんてことも考えていましたし。
あの時は「10周年か……」ってなってたんですかね。
――誕生というか、それこそ生まれ変わったんでしょうか? 歌手人生の第1ターンが終わって、第2ターン入りましたみたいな。
茅原:もしかしたらそうなのかもしれません。マネージャーも含め、デビューしてから一番側で仕事をしてきた人たちとの別れもあったりしたので。プロデューサーの斎藤滋さんも、サウンドプロデューサーとしては今でも一緒にお仕事してるけど、プロデューサーをしてくれていたときと比べると距離ができましたし、自分も個人事務所を経てホリプロインターナショナルさんでお世話になっているというところも大きいですしね。まるで環境が変わりましたから。
最近気づいたのは、やっぱり歌っていたい、演じていたい、表現し続けたいっていう、それしか自分にはないんだなっていうところですね。それを理解した気がします。それ以外何もできない(笑)。
10周年迎えてから「どうしよう」っていう葛藤が正直あったんですよね。どこに向かったら良いんだろう、何したら良いんだろうみたいな。焦りみたいなものがあって、でも抜け出す方法が上手く見つからなくて。
前にあることを一つ一つ大事にやっていくしかないって進んでいく中、新しいご縁と環境に身を置いたら、新しいエネルギーで「一緒にあそこ行こうぜ!」って言ってくれる人たちがいたんです。だから今は、とっても良い状況な気がします。
結局わかったのが、一人なんだけど、一人じゃ生きれないということなんですよね。
――確かに。
茅原:私は、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』に携わらせていただいている身として、一つ自分の使命として作品の楽曲を歌っています。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』や京アニさんの作品を未来に届けて行くのは、巡り合った使命だなと思っているんです。その想いはとても強いかもしれません。
何もできないから、それしかできないから。でもできることはある。歌うことができる。それってありがたいことだなって思います。
――いろいろわかりました。今が一番?
茅原:最高っていうことです!(笑)
――2020年もリリースイベント、オーケストラコンサート、SUMMER CHAMPIONと盛りだくさんですから。イベントで楽しみにしていることは?
茅原:全部楽しみです。オーケストラコンサートは、やりたくてもなかなできないものだし、タイミングだったり、巡り合わせが重要になってくるものなので、自分がやらせてもらえるっていうのは奇跡的なことで、心の底から嬉しいです。
10周年のときにシンフォニックコンサートをやったんですけど、あの時はバンドも一緒だったんですが、今回はオーケストラコンサートということで、10周年の時とはまた違った形でオーケストラの演奏や歌を楽しんでいただけると思います。緊張しちゃうけどすごく楽しみ〜♪
――これまでオーケストラで歌ったことは?
茅原:自分のシンフォニックコンサート以外だと、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のオーケストラコンサートと、『涼宮ハルヒの弦奏』っていうオーケストラで昔「雪、無音、窓辺にて。」を歌ったことはあるくらいで、そこまでの経験はないんです。
玉置浩二さんが大好きなので、玉置浩二さんのシンフォニックコンサートはめちゃくちゃ行ってるんですけど、「まさにあんな感じなんだろうな……」って思っています(笑)。
茅原実里の楽曲は、もともとストリングスを多く取り入れていて、本当にメロディが美しい楽曲が多い。オーケストラアレンジが似合う楽曲だらけなので、これは是非たくさんの人に聴きに来てもらえたら嬉しいですね。
――茅原さんが仰ったように、オーケストラコンサートはなかなか実現が難しいので、今回を逃したら……。
茅原:そうです! 最後かもしれないですよ!
――最後とは言わないでください(笑)。
茅原:(笑)。贅沢なひとときを。感謝の想いを込めて歌いたいと思います。
――では最後に今年の抱負を教えて下さい!
茅原:えーなんだろう……。今年は一人旅をいっぱいする、かな!
――行きたいところは? 国内ですか、国外ですか?
茅原:どっちも! 海外の一人旅もしてみたくて。でも私はおバカなので、危険地帯のないような場所に行かないといけないなって思って……。どこが良いですかね〜? 温泉は行きたいし、屋久島も行きたい。あと、バスで旅行したい。
憧れているのは夜行バス。私は車が運転できないので、電車もいいんですけど、バスもいいなと。起きたらもう目的地みたいな。
この前の年越しは一人で山梨だったんですけど、それがすごく楽しくて。今年は時間ができたらいろんな所を行こうかなと思っています。
――目標は何か所ぐらいですか?
茅原:15周年だから15箇所!?
――それは多いかもしれません(笑)。
茅原:多いわ。行けないわ、そんなに(笑)。
――でもそのくらいの意気込みが大事ですね!
茅原:大事ですよね〜! 15周年のパワーで思いっきり楽しみます! あ、あと、オリジナルのお酒も作ってみたいんです〜! まだまだやりたいことが盛りだくさんですね(笑)。
[インタビュー/石橋悠]
1989年(平成元年)生まれ、福岡県出身。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者兼ナイスガイ。アニメイトタイムズで連載中の『BL塾』の書籍版をライターの阿部裕華さんと執筆など、ジャンルを問わずに活躍中。座右の銘は「明日死ぬか、100年後に死ぬか」。好きな言葉は「俺の意見より嫁の機嫌」。
茅原実里15周年記念ベストアルバム、豪華2枚組でリリース!
今年で声優活動15周年を迎える茅原実里のベストアルバム。
DISC1には10周年ベストアルバム「SANCTUARY~Minori Chihara Best Album~」以降にリリースした「会いたかった空」から「エイミー」までのシングルカット曲に加え、Q-MHz制作による新曲1曲を含む、茅原実里名義の楽曲を収録!
DISC2にはキャラクターソングをセレクトして収録!
≪収録内容≫
【DISC-1】
01. 純白サンクチュアリィ
02. Paradise Lost
03. TERMINATED
04. SELF PRODUCER
05. 境界の彼方
06. FOOL THE WORLD
07. 会いたかった空
08. ありがとう、だいすき
09. 恋
10. LOVE BLOSSOM
11. みちしるべ
12. Remained dream
13. 夢幻SPIRAL
14. エイミー
15. We are stars!
【DISC-2】
01. 負けない
★OVA『天上天下 ULTIMATE FIGHT』エンディングテーマ/棗亜夜
02. 雪、無音、窓辺にて。
★TVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』キャラクターソング/長門有希
03. Only Lonely Rain
★TVアニメ『ヴィーナス・ヴァーサス・ヴァイアラス』キャラクターソング/鷹花スミレ
04. 桜舞うこの約束の地で
★TVアニメ『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』挿入歌/軽音楽部の生徒
05. 覚悟決めや!
★TVアニメ『一騎当千 Dragon Destiny』キャラクターソング/張飛益徳
06. 黙っと休み時間
★TVアニメ『らき☆すた』キャラクターソング/岩崎みなみ
07. 桜笑み君想う
★TVアニメ『D.C.II ~ダ・カーポII~』挿入歌/白河ななか
08. 過度の期待にご用心。 (もしもチアキが歌ったらVer.)
★TVアニメ『みなみけ』キャラクターソング/南千秋
09. 逃しません...ですわ!
★TVアニメ『咲-Saki-』キャラクターソング/龍門渕透華
10. Be Together
★TVアニメ『世紀末オカルト学院』挿入歌/中川美風
11. 通し道歌
★TVアニメ『境界線上のホライゾン』挿入歌/ホライゾン・アリアダスト
12. Because of "S"adness
★TVアニメ『境界の彼方』キャラクターソング/名瀬美月
13. NAME OF FLOWER
★TVアニメ『ノブナガ・ザ・フール』キャラクターソング/イチヒメ
14. My Treasure
★TVアニメ『デート・ア・ライブII 』キャラクターソング/誘宵美九
15. Borderless journey
★TVアニメ『RAIL WARS!』挿入歌/キャラクターソング/鹿島乃亜