『デジモン』が大好きという気持ちは出し切れたと思うし、演じ終わった今も大好きでよかった――映画『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』連続インタビュー第3回│メノア役・松岡茉優さん
好きだったアグモンと会話している不思議さ。映画はあふれる『デジモン』愛とファンにはたまらないオマージュがいっぱい!
――自分が当時、好きで見ていたアグモンたちと映像で掛け合っているシーンを見てどう思われましたか?
松岡:(アフレコをするための)コンテ撮を見た時にメノアとアグモンが会話しているシーンがあって、「私、ここでアグモンとしゃべるんだ!」って。ブースに入って収録している時はただ必死で、うれしさを感じている余裕もなかったけど。でも完成した作品を見て、太一や光子郎と話しているのは不思議な気分でした。
――今作の設定やストーリー、絵などについての印象をお聞かせください。
松岡:晴らしい映画ができ上がったなと思いました。『デジモン』ファンによる、ファンのための映画になっているなと。田口(智久)監督をはじめ、『デジモン』を見ていた若いクリエイターさんや、スーパーバイザーの関(弘美)さんなど当時、『デジモン』を作ってくれていた人たちがタッグを組んで制作しているという熱さもあるし、『デジモン』を大好きな人たちが作ったからこその小ネタだったり、「これはあのシーンのオマージュでは?」と気付くような仕掛けがたくさんあって、ファンにはたまらない映画になっていて。チケット代を支払うだけでは足りないのではないかと思うくらいです(笑)。
――冒頭で現代の東京でデジモン同士のバトルが繰り広げられるのも新鮮でした。
松岡:20年の時の流れを感じますよね。みんな、スマートフォンを使っているし。でも東京に現れたデジモンが、一番最初のアニメーションに登場していた敵キャラで。
出てきた瞬間は気付かなくて、「どこかで見たことあるなあ? 何だっけ?」と思い出せなかったけど、正体がわかったら「監督、『デジモン』好きすぎでしょ!」と思いました(笑)。
――今作での印象的なシーンを挙げていただけますか?
松岡:終盤、太一とアグモンが一緒に座っているシーンです。昔はアグモンと肩を組めるくらいの背の高さだった太一が、今ではアグモンが見上げないと顔が見えないくらい大きくなって。その背中がたくましいし、未来を感じました。
そして、そこでアグモンが発したセリフは、私がこの映画で一番胸が熱くなったポイントでした。「アグモンの瞳ってこんなにきれいだったっけ?」と思える、素敵なまなざしで太一を見つめながら、坂本(千夏)さんが命を吹き込んだひと言は、それを聴くだけでチケット代を払う価値があると思います。
メノアのパートナーデジモンだったモルフォモンの未来が見たかった
――今回、メノアの他にも新キャラが登場しますが、井村京太郎はメノアの助手としていつも一緒ですが、クールでミステリアスな印象があります。
松岡:井村さんはすごくカッコいいなという印象と、ちょっとしたエピソードもあって。今回の映画への出演のお話をいただいて、台本も読ませていただいた時は、まだキャストさんの名前も書いていない状態で。更に演じる役名もいつも聞かずに1回目は読むんです。
そこで今回初めて見る役名を発見して、「もしかしてこの井村京太郎が私の役なのかな?」と。でもセリフを読んでみても大人の男性だし。まさか外国人の役を演じると思っていなかったからメノアを見落としていたんです。だから井村さんは私が演じると勘違いしていた役です。そして自分が演じるのが女性キャラでよかったです(笑)。
――新デジモンのエオスモンも強いですよね。ラスボス感もあって。
松岡:太一とヤマトの前に立ち塞がる敵で、映画を見ると誰でもきっと「もうダメだ」と絶望してしまうシーンがあって。
『デジモン』シリーズはクライマックスに差し掛かるといつだって「もうダメだ」とか「あきらめよう」と思う場面があるけど、今回は最大級の絶望感が押し寄せてきて、「あきらめたほうが楽になれる」と思いそうになります。
それでもあきらめない太一たちの姿は見ていて胸が熱くなりました。
あとエオスモンのデザインは現代のデジタルっぽいなと思いました。この20年でCGやインターネットなど技術が進化した中で、デジモンもより未来的になったのかなと思うし、今後の『デジモン』シリーズもこんなデジモンたちが登場するのかなと想像が膨らみました。
――メノアは過去にモルフォモンというパートナーデジモンがいたことも明らかになりましたが、かわいいがゆえに余計せつなく感じました。
松岡:かわいいですよね。女の子なら誰でも好きそうなディテールだし、この子単体でアニメやグッズになっていてもおかしくないし、お人形として持っていたいくらい。願わくば、この子の成熟期、そして完全体を見てみたかったです。
私、ミミちゃんが大好きで、彼女のパートナーデジモンのパルモンも好きでした。でも進化するとトゲモンというサボテンみたいな姿になってしまうのがどうしても受け入れられなくて(笑)。
その後、ティンカーベルみたいなリリモンに進化してくれたので結果的には大満足なんですけど、自分の好みに成長しなかった想いも経験しているので、モルフォモンの成長する姿を見てみたかったです。
ディテール的にはテイルモン寄りかなと思うので、エンジェモンとかエンジェウーモンみたいな人間っぽい感じになってくれたらいいですね。