「fripSideに寄り添ってくれた『超電磁砲』に恩返ししたい」──7年振り『とある科学の超電磁砲』とのコラボレーション! OP曲「final phase」を八木沼悟志、南條愛乃が語る
現在放送中のTVアニメ『とある科学の超電磁砲T』の幕開けを担っているのは、昨年10周年を迎え、ますます勢いを増しているfripSide。躍動感あふれるオープニングナンバー「final phase」、久しぶりのラブバラードとなった「promenade」をパッケージしたシングルが、2月26日(水)にリリースされた。
fripSideは第二期デビュー曲「only my railgun」から『超電磁砲』シリーズのオープニングをすべて飾ってきた、『超電磁砲』にとって欠かせない存在である。
7年振りとなる『超電磁砲』とのコラボレーションには、どんな姿勢で向かったのだろうか。八木沼悟志さん、南條愛乃さんにシングルにまつわる話をうかがった。
超電磁砲とfripSideの関係性
──唐突ですけど、ものすっごい名曲が誕生しましたね……!
隣にいたDJ KAWASAKI&レーベルスタッフ:(拍手)
八木沼:(笑)ありがとうございます!
──やはり『とある科学の超電磁砲』(以下『超電磁砲』)のオープニング曲といえばfripSideという印象が強いです。
八木沼:実はfripSideに南條さんが加入する以前から『超電磁砲』(初代/2009年放映)のオープニングのお話をいただいていたんです。
そのオープニングをやるために彼女に加入してもらっているので、『超電磁砲』のやるためのユニットと捉えることもできます。
そういう出自があるので、僕と南條さんで『超電磁砲』をやるにあたっては割と自然体で取り組ませていただいております。
──そこからはじまったfripSideは独自のオリジナリティで進化していますが、7年振りとなる『超電磁砲』に挑むスタンスはどういうものだったんでしょうか。
八木沼:いろいろな作品のタイアップをやらせていただくたび、僕たちは幅を広げ進化をしてきました。僕らが培った経験や進化を踏まえたうえで、もう一度原点に立ち返って『超電磁砲』をやらせていただく。そういった気持ちでしたね。
南條:「only my railgun」の時やそれからしばらくは、右も左もわからないなか必死についていくことで精一杯だったのですが、今回は7年ぶり。
私もfripSideのボーカルをつとめさせてもらって10周年ということで、今できるものを素直に真摯に表現して、この10年間ずっとfripSideに寄り添ってくれた『超電磁砲』に恩返ししたいという気持ちでした。
──じゃあお二人としても確かな手ごたえがありますか。
八木沼:聴いてくれたかたの判断がいちばんというか。アニメの主題歌はアーティストの独りよがりになってはいけないと思うし、作品を好きなひとがいちばん納得する形を示せてこそのアニソンのクリエイターだと思っています。『超電磁砲』が好きな皆さんがこの曲を聴いて何か共感してもらえるものがあれば一番嬉しいかなと。
南條:やはり「only my railgun」の時とはfripSideの音の作り方や私の歌い方も変わっているので、(受け取りかたは)聴いてもらった方の感性に委ねたいですね。
ずっとfripSideを応援してくれているファンの方たちなら、『超電磁砲』らしさ、「今のfripSide」らしさの融合点を見つけられると思うんですけど、“『超電磁砲』の曲だから聴く”という人にとっては7年ぶりのfripSideだと思うので、どう感じるんでしょうね。
──私としては「final phase」は進化したfripSideと同時に、原点である「only my railgun」「sister’s noise」も感じました。そのバランス感はどう考えられているんですか。
八木沼:やっぱり大きな作品タイトルなので、そこで僕たちが奇をてらって小洒落れたことをすると、今までの経験上あんまりよくないんですよ。『超電磁砲』、fripSide、じゃあこれだろうと。
──その“ど真ん中”具合って言葉にするとどんな音になるんでしょうか。
八木沼:TV版の『超電磁砲』だけでもオープニングを4曲やらせていただいて、今回が5曲目になるんです。
過去を紐解いていただければ分かるかとは思いますが、疾走感、ビリビリ感、近未来感、そういうSFっぽいものを担保にしながらも根っこの部分は友情、絆を大切にしているというか。
というのも『超電磁砲』そのものが簡単な善悪の問題ではない描写が多いんですよね。人間ドラマに主観を置いていたりもするので、心情のやりとり、背景、そういったものも含ませないといけないと思っています。
ある意味、僕らは「only my railgun」で一発目にして正解を出してしまっているんです。そこから離れるようなことは好ましくないとは思っているんですが、同じものを作るわけにもいかなくて……。
──そこが難しいところであり、挑戦でもあるんでしょうか。
八木沼:そう、僕の腕の見せどころですね。だから“同じだけど同じじゃない”、“ホッとできるけど新しい”ってところを狙って作っています。そこに挑戦してるときって楽しくて仕方ないんですよ。
普段の活動のなかで『超電磁砲』を愛してやまない皆さんがfripSideを信頼してくれていることを実感しているので、裏切るわけにはいかないんです。
──では、楽曲を作っているときはファンのかたの顔が浮かんでいる状態なのでしょうか。
八木沼:浮かぶというより、もう完全に“いる”という状態ですね(笑)。聴き手不在のクリエーションが僕は物凄く嫌いなんです。だから曲を作るときは必ず聴き手のことを考えて作っています。
幸いなのが自分のやりたいことと聴き手が納得できる音楽がそんなに離れていないと感じるんですよ。だから良いバランスでやれてるんじゃないかなと思っています。