冬アニメ『地縛少年花子くん』緒方恵美さん&安済知佳さん&水島大宙さんインタビュー|つかさ、桜、夏彦の関係は謎のままだからこそ魅力がある!
つかさは“猫”のような存在(緒方さん)
――緒方さんは花子くん、あまね、つかさを演じられていますが、それぞれどのようなキャラクターだと思われますか?
緒方:あくまであまねは花子くんの昔の姿なので、「花子くん・あまね」と「つかさ」の2キャラクターだと認識しています。
花子くんは1枚挟んで感情を出している部分があって、自分の本音では喋らない人。その壁が取っ払われたのがあまねだと思っています。
つかさに関しては、双子ということで“声帯自体は同じ感じにしてほしい”と最初に伺いました。ただ、2人とも違う性格をしていますが体つきは同じだし、同じ声帯だと似てしまう……それはそうだ!と(笑)。
一同:(笑)。
緒方:年齢が違えば声の色自体を変えられますが、最初に同じ声帯の双子としてやってほしいというオーダーをいただいたので。
精神年齢的な部分の差でつかさのほうが幼くなっていったような気がします。それこそ猫のような感じで。
安済:すごく無邪気でかわいいですよね。第9話の「お茶会」では桜が“猫みたいな子よね”と最初の印象をそのまま分かりやすく皆さんに伝えることができたのかな、と思います。
――キャラクターとご自身が似ている部分はありますか?
緒方:つかさはあまり……(自分と似ていない)。でも、夏彦は(水島さんと)割と似ていると思います。
水島:そうですね!
緒方:あはははは(笑)。
水島:夏彦を演じることが決まって原作を読ませていただいたときに、何も考えなくて演じられる!と思いました。
安済:(笑)。
緒方:水島大宙のためにあるような役だよね(笑)。
水島:そうですね。水島が17歳の頃じゃなくて、今の水島が17歳になったらと考えて演じればいいかな、と。役を落とし込む以前に、最初から地に足がついていたような感じでした。
緒方:第一声から素晴らしいマッチングでした。桜は第1話から登場していましたよね?
安済:ラジオの声としては第1話から出させてもらっていました。しっかり姿が映ったのは第5話からですが、実は、頭の部分だけぼんやりと何話か登場していたんです。
緒方:最初はシリアスな雰囲気で、敵なのかな?と思わせるニュアンスでしたが……(水島さんを見て)夏彦がちゃんと喋り始めるようになってから全く違う雰囲気になりました。
水島:僕は緊張感をゼロにしよう、作品の緊迫感もゼロにしようという役割だと思っています。
安済:「お茶会」のBパートも楽しかったですね。
緒方:安済さんは変な化け物の声もやっていました。
安済:そうです!「ギャース!」って言いました(笑)。
水島:最終回のアフレコの後に監督も安済さんの演技を褒めていて。
安済:そうなんです。“素晴らしいギャースでした”と言われて、“あっ桜じゃないんだ”と(笑)。
一同:(笑)。
第9話のシーンは桜がわざと夏彦を残した!?
――不思議と気になる存在の夏彦ですが、水島さん自身、どのような立ち位置だと思われますか?
水島:3人のバランスを考えると、夏彦は本当につかさと相容れない違う生き物のような感じがしますが、桜が中心にいるから2人も一緒にいるんです。でも、夏彦とつかさはふざけるという感覚としては近いところがあります。
緒方:つかさのほうはやや残虐ですが。
水島:はい。つかさが猟奇的な空気をふわぁ~っと出すところに関しては、(夏彦は)「あ~あ」と思っていて。
別にそれをやめてほしかったり、進んでやってほしかったりするわけではなく、あくまで一歩引いているんです。自分はきっと自分の役割があると思っているからこそ、そこに飄々と居続けるんだと思います。
もしかしたら、彼は彼なりにいざという時はこう動こうと思っているのかもしれませんし、思慮深い一面があるのかもしれません。
緒方:ん? 思慮深い……?
水島:そういうことにしておきましょう!
安済:あはははは(笑)。
緒方:だって、思慮深い人はあんなにドアをバンバン開けたりしないと思いますよ?
水島:あれは寧々ちゃんを楽しませようとしていたんです。
安済:そのシーンの第9話は、夏彦が寧々ちゃんと一緒に残った意味を含めていろいろと考えさせられました。桜に残らされましたが、本当は桜がわざと残したんじゃないかな、と。
緒方:あぁ~! なるほど。
安済:夏彦がいたからこそ、寧々ちゃんもああいう行動ができたんじゃないかな、と思うので面白い展開になっていると思います。
緒方:夏彦なら大丈夫だと、桜も寧々ちゃんもそう思っていたんですね。
安済:何となく、そのような感じがします。
水島:“寧々ちゃんが誤った扉を開かないように、あなた(夏彦)が見ていなさいね”というのが暗黙の中にあったんだと。
緒方:(水島さんを見て)でも、それは桜ちゃんがそう思っていただけであって、夏彦は思っていないですよね?
水島:じゃあ思慮深くなかったのかもしれません。
一同:(笑)。
水島:(夏彦は)ここにこういう風に解き放てば勝手に行動してくれる、と読まれていたのかな。
緒方:うん、そうだね。
水島:そうですね! じゃあ夏彦の中身はありませんでした(笑)。
安済:(笑)。
緒方:愛だよ、愛。
水島:そう! 愛はとても深いです!
――つかさ、桜、夏彦という3人の関係性についてもお聞かせください。
水島:夏彦は良い意味で空気なんです。僕の見立てとしては、回数が進むたびに見えてくるものだと思うので、今は3人の関係性が分からないままのほうがいいんじゃないかな、と思っています。
それまでいくらでも想像できますし、そこが楽しめる要素の1つになっているんじゃないかな、と。
夏彦自身、“関係はこうだ!”と位置付けをして、桜やつかさと関わるということをしていないと思います。なので、お嬢(桜)のことも自分がナイトになろうとしているのか、お兄ちゃんになろうとしているのか、恋人になろうとしているのか分からないんです。
ただ、自分の中では“とにかく可愛いから大事にしよう”という気持ちがあって、それが分かりやすい行動に出て、そして桜から殴られる。そこに終始しているのかなぁと。純粋に、夏彦はそれを楽しんじゃっているような気がします。
緒方:どちらかというと、夏彦と桜は葵ちゃんと茜くんの関係に似ているような気がします。
安済:確かに! 3人の関係はまだ分からない部分に魅力があると思いますし、桜が中心にいると見せかけて、やっぱりつかさだなという部分があります。
緒方:結局のところ、「桜」というつかさの一言でやってもらっていますからね。
安済:はい。それもまたフェイクのようになっているかもしれませんし、いろいろな見方ができて考えさせられるのも魅力です。