この記事をかいた人
- 石橋悠
- 1989年福岡県生まれ。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者。
――お話を聞けば聞くほど、そういうふうに楽曲を作ってもいいんだ、と感心しました。
釘宮:そうですよね。驚きですよね。
――普段はあまり音楽を聴かないと仰っていましたが、なぜ自分名義の音楽を出そうと思われたのでしょうか? 前作の制作時もお話に出ているかもしれませんが。
釘宮:前回のときは、付いてくださったプロデューサーさんが熱烈に「やりましょう! 釘宮さんはどういう世界観が好きですか?」というふうに圧倒的熱量で擦り合わせにきてくれて、自分が知識がないままに出すワードを拾って、広げてくださいました。
「こういうことですか?」といろんな曲をふたりして聴かせてくれて、最初に40〜50曲入っている音源データをくださって、「この中だったらどれがピンときますか? どういう曲調や雰囲気が好きですか?」と聞いてくださったり、「なんでもいいので好きなことをノートに書いて資料としてください」と言ってくださったりして。とにかく働きかけの熱意がすごかったです。
音楽とは関係ないですけど、色だったらこの色、花ならこの花、季節、時間帯ならこういうの、お洋服はこういうブランドが好きで……といろんなことを書いたノートをお渡しして、それを基に音楽を作成してもらったり、作詞家さんにこういう傾向のある人です、と伝えてくださったりして。地盤の固め方がすごかったですね。
でも、期限とかはなにも気にしなくて大丈夫です! と言ってもらって、ゆっくりやらせてもらえました。
だから、逆にこういったやり方しか知らないんです(笑)。
一同:(笑)。
――そういったものがすべて重なって、うまくいった結果がこのミニアルバムなんですね。
釘宮:そうなんです。ありがたいことです。
――釘宮の中でのこういう音楽が好きだ、みたいなものの集大成になっているんでしょうか。
釘宮:あくまでも聴いてくれる人へのお手紙のような気持ちで取り組んでいるので、自分で聴くとしたら、pizzicato five(ピチカート・ファイヴ)とかになります(笑)。
一同:(笑)。
――今回のミニアルバム制作にあたり、一番楽しかったことはなんでしょうか?
釘宮:全体的な作業が好きなので、曲を選んで、それに歌詞が付いてきて、仮歌でキーを決めて、別日にしっかりレコーディングして……というひとつひとつを積み重ねていくこと、立方体に水を注いでいっぱいになっていくようなこの感覚が好きなんですかね。
なので、どの部分がと言われると難しいんですが、メロディを選ぶときが悩ましいですけど、楽しい時間でもあります。メロディを選ぶのって、曲を作る上でそのときしかできないんです。そのぶんすごく悩むし楽しいですね。
――ものづくりが好きということでもあるのかもしれませんね。
釘宮:そうかもしれません。普段はできない領域のお仕事って感じがします。
あと、コーラスとかハモリを自分で重ねていくのがすごく好きで。あらかじめ「コーラス、ハモ多めでお願いします!」と言うぐらい、重ねていく喜びというか、さっきの立方体の話と同じで、どんどん世界が広がっていく感じがして。
自分の主線に上が入って、下も入って、主線ももうひとり後ろにいて……というふうに世界が広がって、豊かに聞こえるようになっていく、というのがたまらなく好きです。
自ハモ、自コーラスに夢中になっているところがあって、ほかの人の音が被ると「あれ? なんで?」と感じてしまうというか。そこは自分の名義だからこそのワガママのひとつだと思います。
――自分の声が重なっていくとはどういう感覚なんでしょうか?
釘宮:私のもともとの声が太くないこともあって、それが重なることでパワーアップしていくような感覚が好きですね。また、どのメロディーラインをとっても私っていう、金太郎飴じゃないですけど(笑)、どこを切っても私だよ、みたいな感覚がファンサービスここに極まれりという感じですよね。
――まだまだ楽曲を作りたいという気持ちがあるんですね。
釘宮:そうなんです。今回のミニアルバムを全部改めて聴いてみて、カンカン照りの日にも聴けるくらいのもう少し生命力のあるものがあってもいいなと思いました(笑)。
全体的にしっとりしているので、落ち着きたいなというときにはものすごく聴きやすいんですけど、ちょっとお天気がよくて、周りもにぎやかな道や町中で聴くと少し埋もれてしまうかなと思いました。なにか主張をせぬまま、もうちょっと元気で躍動的な方向性があったらいいなと思いますね。
――(笑)。今回のアルバムが完成したときはどんな気持ちでしたか?
釘宮:(取材を受けた段階では)発売していないので、まだ終わりきってない感じがします。
今もちょうどMVを作っているところなので、まだ制作中という感じです(笑)。
一同:(笑)。
――最後に、このアルバムを聴くときのおススメのシチュエーションなどがあればお願いします。
釘宮:おススメはドライブ中以外ですかね(笑)。
一同:(笑)。
釘宮:前作のときもそう思っていたんですが、ずっと聴いていると脳がまったりしてくるんじゃないかと思っていて。リラックスしすぎるとドライブ中は危ないんじゃないかな、と思うので、それ以外のよきタイミングで。
聴きたくなったときにふと思い出して点けてみて、ゆったり聴いてもらえると嬉しいなと思います。
[インタビュー/石橋悠]
1989年(平成元年)生まれ、福岡県出身。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者兼ナイスガイ。アニメイトタイムズで連載中の『BL塾』の書籍版をライターの阿部裕華さんと執筆など、ジャンルを問わずに活躍中。座右の銘は「明日死ぬか、100年後に死ぬか」。好きな言葉は「俺の意見より嫁の機嫌」。
釘宮理恵 7年ぶりとなるオリジナルミニアルバムがリリース! ファン待望のニューアルバム!
前作、「kokohadoko」のリリースより、7年10ヶ月ぶりとなるミニアルバムをリリース! 釘宮理恵が持つ魅力を十二分に引き出せるように、こだわり抜いた楽曲たち。日常の中で、そっと寄り添いながらずっと聞き続けられるような…。そんな珠玉の楽曲の数々をご堪能下さい。
≪収録内容≫
1.premier
作詞:松井洋平(TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND)
作曲・編曲:石川智久(TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND)
2.jelly fish
作詞:lotta
作曲・編曲:長田直之
3.vilenmua
作詞:riya
作曲・編曲:長田直之
4.記憶メヌエット
作詞:rino
作曲・編曲:安瀬聖
5.空のアルカナ
作詞:riya
作曲・編曲:長田直之
6.月明かりのカノン
作詞:トモ子
作曲・編曲:安瀬聖