『ヒプノシスマイク』新シリーズ全曲レビュー:ヨコハマ・ディビジョン編|それぞれの道を歩むアウトローたちが集う交差点
不動の人気を獲得しながらも新たな挑戦で我々を楽しませてくれている『ヒプノシスマイク(以下、ヒプマイ)』。アプリゲームの配信もスタートするなど、まだまだ話題には事欠きません。
『ヒプマイ』がこれほどまでに人気となった理由のひとつが、ビジュアルやストーリーを含めたキャラクターの魅力だけでなく、“音楽のクオリティの高さ”が挙げられるでしょう。
Battle CDシリーズ以降の新シリーズでは、オオサカ・ディビジョン、ナゴヤ・ディビジョンを加えた6枚のCDがリリース。ストーリーが進むにつれてさらなるクオリティアップしていく楽曲群に驚かされた方も多いかと思います。
そこで今回は、2019年10月30日に発売された『どついたれ本舗「あゝオオサカdreamin’night」』から、2020年3月25日に発売された『麻天狼「麻天狼 -Before The 2nd D.R.B-」』までを全曲レビューしていきます。
連載第4回となる本稿では、『MAD TRIGGER CREW「MAD TRIGGER CREW -Before The 2nd D.R.B-」』をピックアップ! 独自の路線をさらに突き進み始めた“M.T.C”の男気とプライドに酔いしれろ!
連載記事一覧はこちら!
◆オオサカ・ディビジョン編
◆ナゴヤ・ディビジョン編
◆イケブクロ・ディビジョン編
◆ヨコハマ・ディビジョン編
◆シブヤ・ディビジョン編
◆シンジュク・ディビジョン編
I’m ヤクザが加速する「Gangsta's Paradise」
打倒中王区をかかげる「MAD TRIGGER CREW」のリーダー・碧棺左馬刻。新曲の「Gangsta's Paradise」では、その生き様がさらに洗練されているように感じます。
全体的に大人な雰囲気な曲調で、おしゃれな仕上がりになっていますが、リリックは相変わらずシノギに精を出すヤクザ的な一面が描かれています。前回の「G anthem of Y-CITY」が昼の顔としたら、今回の「Gangsta's Paradise」は夜の顔とでも言えばいいのでしょうか。
リリックに「肩で風切り歩く ヨコハマ・ディビジョン」とあるように、まさに碧棺左馬刻が夜風を浴びながらヨコハマの街を歩いているような情景が目に浮かびます。
この曲のおもしろいところが、エッセンスの少なさです。フックが曲中に3回、「そこら中に子供騙し」のくだりが2回、「夜の街にヤクザひとり」のくだりが2回、と同じリリックが頻発します。
さらに、韻もお尻に「蹴散らすだけ」「潜む影」「犯すハメ」「終わるまで」と(もちろんここだけじゃありませんが)、キチッキチッと埋め込まれており、まるで全てが予定調和というか、ルーティーンのような構成になっています。碧棺左馬刻がヨコハマでシノギをあげる毎日のルーティーンが描かれているような気がして、個人的にもかなりお気に入りの一曲です。
「MAD TRIGGER CREW」の全体曲を含め、碧棺左馬刻の曲は街中を闊歩しながら聴くと気持ちいい曲が多いので、ぜひタイミングが合えばみなさんにも体感してもらいたいものです。
その流れるようなリリックとフロウは、作詞したRAU DEFの得意とするところで、そのらしさは「Gangsta's Paradise」にも現れています。