劇場版「Fate/stay night[Heaven’s Feel]」III.spring song下屋則子さん&浅川悠さんインタビュー後編|2人の関係性は桜とライダーそのもの!?【連載第4回後編】
2020年3月28日より全国で公開された劇場版「Fate/stay night[Heaven’s Feel]」III.spring song。『Fate/stay night』の最終ルート[Heaven's Feel](以下、HF)を劇場3部作で映像化し、大ヒットを記録しています。
今回アニメイトタイムズでは、その[HF]第3章に出演するメインキャスト陣に、全6回に渡るインタビューを実施。今回はその連載6回目(最終回)となる、下屋則子さん、浅川悠さんへのインタビューの後半をお届けします。
なお今回のインタビューは、第3章や[HF]に関するネタバレをふんだんに含んだ内容となっていますので、是非映画を見終わった後にご一読ください。
第二章インタビューアーカイブはこちら!
●下屋則子インタビュー【連載第1回・前編】●下屋則子インタビュー【連載第1回・後編】
●下屋則子&杉山紀彰インタビュー【連載第2回】
●下屋則子&伊藤美紀インタビュー【連載第3回】
●下屋則子&Aimerインタビュー【連載第4回・前編】
●下屋則子&Aimerインタビュー【連載第4回・後編】
●下屋則子&川澄綾子&植田佳奈インタビュー【連載第5回】
●下屋則子&浅川悠インタビュー【連載第6回】
第三章インタビューアーカイブはこちら!
●杉山紀彰インタビュー【連載第1回】●杉山紀彰&川澄綾子インタビュー【連載第2回】
●植田佳奈&諏訪部順一インタビュー【連載第3回・前編】
●植田佳奈&諏訪部順一インタビュー【連載第3回・後編】
●下屋則子&浅川悠インタビュー【連載第4回・前編】
●下屋則子&浅川悠インタビュー【連載第4回・後編】
●下屋則子インタビュー【連載第5回】
こちらもチェック!
●『Fate/stay night [UBW]』川澄綾子さん&下屋則子さんの溢れるセイバーと間桐桜への愛。声優インタビュー
セイバーオルタへのトドメを刺したかった!?
――浅川さんは第三章の台本を読まれて、どう感じられましたか。
浅川悠さん(以下、浅川):台本を貰った時は、真っ先に後ろの方のページから見ましたね。(ライダーが)生きているのか確かめたくて。
下屋則子さん(以下、下屋):ああー、そうなんですね。
浅川:うん、セイバーオルタと戦わなきゃいけないことは分かっていていたから、どうやって終わらすのかなって。あのアーチャーの腕もあるから、もしかしたらまた途中で死んで士郎が行くのかなとか(笑)。とりあえず生存確認のために後ろから見て、生きていたので安心したんですけど、個人的には(セイバーオルタへの)トドメを自分で刺したかったですね。15年間の恨みがあるので。
一同:(爆笑)。
――今までのルートで、何度もセイバーに倒されて来ましたからね(笑)。
浅川:欲を言うとね(笑)。ただ、あそこを士郎に任せるというのは、もしかしたらライダーだとトドメを刺せなかったという技術的な事情もあったのかもしれないですけど、(ライダーが士郎を)信頼してんだなぁと。だって、士郎にセイバーを殺させるって、土壇場で(士郎が)裏切るかもとか考えるじゃないですか。
――そうですよね。あの2人の元の関係性を考えれば。
浅川:にも関わらず、(勝負を)預けたっていうところと、よくあんなボロボロになりながら頑張ったなっていう。感無量、とまではいかないですけど、あのシーンはただただ良かったですね。結果的に最後まで一歩引いているというか、間接的に(桜や士郎を)守るような立場だったのも、ライダーらしさが通っていて好きでした。
あとは、そこからの後日談的なシーンも凄く素敵だなぁと印象に残りました。幸せな終わり方なんだけどどこか物悲しさもあって……桜って、美しいだけじゃなくて卒業の時期の寂しさとか、見ていていろいろな感情が浮かぶじゃないですか。侘び寂びというか、これは日本人にしか描けない雰囲気だろうなと。
――確かに……! 下屋さんはいかかでしたか?
下屋:そうですね、私もシナリオは少し早めにいただいていたんですけど、最後をどの言葉で終わらせるか悩んでいると(須藤監督から)伺っていたので、どうやって終わらせるのか気になっていて。実際に完成した台本を読むと、桜の葛藤、士郎の葛藤、桜や士郎以外のキャラクターたちの想いっていうのが、凄くしっかりと描かれている印象を受けました。
桜は第二章での兄さんの死が最後のピースになって、「マキリの杯」としての姿になりましたが、その「マキリの杯」としての桜を演じるにあたっては、どういう風に演じるべきなのか凄く葛藤もあって。テストの時には、思いっきり「マキリの杯」側に振ってみようと演じたのですが、「そこまでやってしまうと、もう助けようと思えません」と言われてしまって(笑)。
――ちょっと悪側に寄りすぎてしまったと(笑)。
下屋:そうですね。ただ、そこから引いていくことはできると思って。桜は自分を失ったとか見失ったとか、ただ闇落ちしたっていうわけではなくて、士郎を助けたい、傷つけたくないが故に、自分を作って演じている部分も大きいと思うんです。口ではああいう風には言ってはいるけれど、本当はこれ以上(士郎を)私に関わらせないためという想いがあってのセリフだということを、1つ1つ確認しながら演じさせていただきました。
それでも士郎は、本当にもうボロボロになりながら桜の元に来て桜を助けようとしてくれて。もうやめてください、私死にますから、私が消えますからっていう桜の心の叫びは、本当に素直な思いで演じられました。本当に、自然と私の心の中からも出た言葉だったと感じています。
――桜の感情が、下屋さん自身の心境ともシンクロしたと。
下屋:あとはやっぱり、最後に凛と対峙するところとかも印象的で、あの凛とのシーンは肝になってくると収録の前から思っていました。桜としては、幼少期から遠坂邸から間桐邸に養子で貰われて、その間も姉さんがいつか助けに来てくれるって信じていたけど、結局は来てくれなくて。格好いい姉さんへの憧れもあるけど、ずっと言えずに抱いていた恨みや妬みを、初めて凛に対してぶつけるわけじゃないですか。
まだ出来上がりを観られていないのであそこの姉妹のシーンは、どういう映像になっているのかが楽しみなシーンの一つですね。
――ラストシーンについてはいかがでしたか?
下屋:最後のシーンは、たしかに士郎は戻ってきたけど、色んな複雑な想いがあるじゃないですか。でも、今までの桜のことを思えば、どんな姿、どんな形であっても、大好きで大切な士郎に、ライダーや姉さん、藤村先生もいてくれて、幸せなのは間違いないですよね。これからの二人の人生もきっとハッピーなことだけじゃなく、色々乗り越えなきゃいけないことがいっぱいあるけど、でもこの先も2人の物語、みんなの物語はまだ続くよっていう、見た側に皆のこれからを想像させてもらえるような終わり方だったなと。
私の中ではハッピーエンドと言ってもいいのかなと思っています。今までずっと1人で我慢し続けて抱えてきた桜に、共に歩んでくれる大切な仲間が沢山できたわけですから。ただ、あのラストシーンについてどんな風に感じられるかは、皆さんそれぞれなので。