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劇場版「Fate/stay night [HF]」第三章 下屋則子&浅川悠インタビュー【連載第4回後編】

劇場版「Fate/stay night[Heaven’s Feel]」III.spring song下屋則子さん&浅川悠さんインタビュー後編|2人の関係性は桜とライダーそのもの!?【連載第4回後編】

[HF]を見終わったら『衛宮ごはん』に

――[HF]での士郎と桜の恋愛について、浅川さんはどんな風にご覧になりましたか。

浅川:これは半分冗談なんですけど、(士郎と桜の場面で)そこにライダーが出ていっていたら桜はそこまでの状態にはならなかったんじゃないかと思うところがあって(笑)。ライダーとしては、もちろん理由があって出てきていないんですけど。

ちょっとギャグ的な見方にもなっちゃうんですけど、ライダーってあんな格好してますし、士郎も思春期の少年ですからね。桜としてはあまり会わせたくなくて、2人きりのシーンくらいでしか出してくれなかったのかなって(笑)。けど結局ライダーは、2人の関係を見かねて士郎の真意を確かめに行くわけですが、きっとあれはライダー的には命がけの行動だったと思います。もし2人で夜に会っているところを桜に見られたら、もう大変なので。

一同:(爆笑)。

下屋:あのシーンの裏にそんな設定が……!(笑)

浅川:(ライダーは)でも割と良い意味で仲間外れというか。あえて輪の中から離れたところで、全てを見守っている立ち位置なのかなとも感じましたね。それは彼女の持って生まれたスタンスが影響しているのかもしれないですし、彼女自身は納得してやっていると思うのですが。

ただ私自身としては、[HF]ではことのほか士郎が桜のために動いてくれるから、それに対するヤキモチは少なからずありました。だって、一応桜のサーヴァントはライダーなわけじゃないですか。「そこはさ、士郎じゃなくてライダーの方を呼んでくれてもよくない?」って(笑)。

下屋さん:(申し訳なさそうに)そこは……すみません(笑)。

――(笑)。では、コンビとして桜とライダーというキャラクターを見た時、好きなところはどこでしょうか?

浅川:ライダーって、過去に姉妹のこととかで、かなり苦労してるじゃないですか。サーヴァントになっても最初は慎二がマスターで、結局ワガママに振り回される苦労性は変わらなくて。マスターが桜になって解き放たれるかなと思ったら、なんやかんやで結局面倒見ていたり……まぁ、私を苦しめてきた歴代のあの人たちとは全然違いますけどね(笑)。個人的には、[HF]で一旦時間軸を終えるとするなら、ライダーにはあのままずっと生きていて欲しいなって。

半分ギャグのネタだけど、ライダーも背が高いことをコンプレックスに思っていて、そこをお姉ちゃん達にいじめられたりもしていたので。自分よりずっと小さい桜が懐いてくれて、ライダーと同じ目線で物事を見て、ご飯を一緒に食べられるというのは、なんだかほっこりした気持ちになります。

他のコンビと違って、桜とライダーは女性同士なんだけど百合っぽい感じでもなく、肩の力が抜けた関係というか。決して直接的なことを言っているわけじゃないけど、なんとなくライダーは桜に振り回されていて、「お願いライダー」って言われると断れない(笑)。

――確かに、力関係でいえば桜が上なんですよね(笑)。

浅川:あれはもう則ちゃんそのまんまだし(笑)、私も一人っ子なのにお願いされると、しどろもどろになって断れないタイプで。でもそういうのって、私自身と同じでライダーも一緒にいてすごく居心地は良いんじゃないかと思います。ただ、きっと何世紀経っても桜には敵わないんだろうなぁ(笑)。

下屋:そうですね、まずは唯一の女性同士のコンビっていう強み、良さもあると思うんですけど。

浅川:絵面が綺麗よね。

下屋:そう!(食い気味に) そうなんですよ! グッズやイラストとかでも桜とライダーのセットは色合いや見た目も綺麗なんです。後は、きっと女性同士だからお互いを上手く思いやっていける優しさとか、浅川さんがおっしゃった居心地の良さのようなものもあると思いますし。プライベートでも、洋服を一緒に買いに行ったりしてそうですよね。

浅川:桜がそれまで女の子同士や、お姉ちゃんとできなかったことを埋めてあげるっていう意味では、女性のサーヴァントで良かったのかな。友達であり、同時にお姉さんでもある。

下屋:そうそう。だから桜も心を開いたのかなって思いますよね。「お願いライダー」っていうのも、桜の性格を考えると、サーヴァントが男の人だったらあんまり言えないかもしれない。「お願いしてもいいですか?」みたいな遠慮がちな感じになりそう。

浅川:桜から「お願いライダー」って言われると「みんなに言ってんだろ」ってちょっと思いながらも、結局は「しょうがねえ、行くか」みたいになるというか(笑)、謎の魔力がありますよね。流石はあの家の子だなって。

一同:(爆笑)。

下屋:でも本当それも、ライダーだからこそなのかなって思いますね。桜がああいう風にいられるのも。

――お互いに依存し合ってる部分もあるんでしょうか。

浅川:依存しあうというよりは、お互いの無いものを埋められる唯一の存在なんでしょうね。ライダーとしては大事なものを失わないまま、平和に暮らすというのは夢だったし、桜が過ごせなかった時間を、友達や姉、サーヴァントといういろいろな立場から与えてあげることができる。死ぬこともないから、極端な話ずっと一緒にいてあげられるんですよね。

下屋:確かに。

浅川:貴方次第よ、(ライダーが)死ぬかどうかは(笑)。

下屋:(笑)。きっと、そういう日常もこれからあるのかなって想像できますしね。なんなら、そういうのが見たい方には『衛宮さんちの今日のごはん』(以下、衛宮ごはん)っていう作品もありますから。[HF]の後に、あったかい日常を見たくなった方はね、『衛宮ごはん』を見ていただいて(笑)。

浅川:その話に繋げるのはさすがだわ(笑)。BD&DVDも好評発売中なのでね!

下屋:私の野望は、[HF]が終わったら『衛宮ごはん』の第2期をやることなんですよ。またあの平和な世界に戻りたくて。

――[HF]を見終わったら、今度は『衛宮ごはん』をみんなで見ようと(笑)。

下屋:そうですね、また刺激が欲しくなったら、[HF]に戻っていただいて(笑)。

――では最後に、[HF]第3部作で演じ終えて、下屋さんはどういった感情を抱かれたのか、お聞かせ願えるでしょうか。

下屋:『Fate/Zero』では幼少期も演じて、ある意味本当に桜の半生を生きたような気持ちがありましたし、アフレコの時にちょっと桜に入りすぎてしまった感覚があって。アフレコ終わった時、今日はご飯に行きたいなって思ったんです。というのも、ここで桜を一度降ろして帰りたいなという想いが沸いてきて。それで浅川さんにもご飯行きましょうとお誘いしましたね。

浅川:いや、あれは「行きましょうよ」じゃなくて「行かないんですか? 行きますよね?」だったよね。もう行くことが決まってたみたいな(笑)。

下屋:確かに、「え、行かないんですか?」って言ってご飯に行きましたね(笑)。でも本当に、[HF]までを演じきって、桜の半生を生きられたんだなって感覚があって。その上であの終わり方だったので、士郎と桜、そしてみんなの人生がこれからもどんな風に続いていくのかを思い描く楽しみもありますし、やっぱり桜を演じられてよかったという想いが一番大きいですね。

ufotableさんとしても、今だからこそあのクオリティのアニメーションが作れたという話をされていましたし、私にとっても今の自分だからこそ演じられた部分というのがきっとあったと思うんです。凄く長い期間『Fate』に携わってこられたからこそ、桜への理解も、最初の頃に比べてずっと深くなっていると思いますから。

――今回の[HF]3部作は、まさに15年が経ったからこそ作れた作品だったと。

下屋:はい。その記念すべき『Fate/stay night』の15周年というタイミングで、[HF]の最終章を迎えられたというのもまた凄いことだなと。、最初から(最終章を)そこに持ってこようとしていたわけではないのかもしれませんが、せっかくなら最後は春にしたいという希望通りの時期に公開も迎えられて。

きっと上映が始まる頃には、日本各地で桜が咲いているんでしょうか。そういうタイミングも含めて、全て通して本当に幸せな、奇跡的な作品だったなと思います。

[取材・文/米澤崇史]

第二章インタビューアーカイブはこちら!

●下屋則子インタビュー【連載第1回・前編】
●下屋則子インタビュー【連載第1回・後編】
●下屋則子&杉山紀彰インタビュー【連載第2回】
●下屋則子&伊藤美紀インタビュー【連載第3回】
●下屋則子&Aimerインタビュー【連載第4回・前編】
●下屋則子&Aimerインタビュー【連載第4回・後編】
●下屋則子&川澄綾子&植田佳奈インタビュー【連載第5回】
●下屋則子&浅川悠インタビュー【連載第6回】

 

第三章インタビューアーカイブはこちら!

●杉山紀彰インタビュー【連載第1回】
●杉山紀彰&川澄綾子インタビュー【連載第2回】
●植田佳奈&諏訪部順一インタビュー【連載第3回・前編】
●植田佳奈&諏訪部順一インタビュー【連載第3回・後編】
●下屋則子&浅川悠インタビュー【連載第4回・前編】
●下屋則子&浅川悠インタビュー【連載第4回・後編】
●下屋則子インタビュー【連載第5回】

 

こちらもチェック!

●『Fate/stay night [UBW]』川澄綾子さん&下屋則子さんの溢れるセイバーと間桐桜への愛。声優インタビュー

劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」III.spring song 作品情報

2020年8月15日(土)公開

イントロダクション

手にした者の願いを叶えるという万能の願望機「聖杯」をめぐる物語を描いた、ヴィジュアルノベルゲーム『Fate/stay night』。劇場版アニメ三部作として紡がれる最終ルート[Heaven’s Feel](通称・桜ルート)が、ついに完結する。

アニメーション制作を担当するのは、2014年にTVアニメ版[Unlimited Blade Works]を手掛けたufotable。キャラクターデザイン・作画監督として数々のTYPE-MOON作品のアニメ化を手掛けてきた須藤友徳が第一章、第二章に続いて監督を務める。

2019年に公開された第二章[lost butterfly]は109万人を動員、興行収入は16.7億円を記録。2017年に公開された第一章[presage flower]を上回る成績を収めた。

第三章は「聖杯戦争」の真実と、少年と少女の物語の結末が語られるエピソード。全三章で贈る[Heaven's feel]がたどり着く場所とは──第三章[spring song]は咲き誇り、奏でられる。

ストーリー

「俺は、桜にとっての正義の味方になるって決めたから」

少年は、真実からもう目を逸らさない。少女を救うために。自分の選んだ正義を貫くために。

魔術師〈マスター〉と英霊〈サーヴァント〉が万能の願望機「聖杯」をめぐり戦う――「聖杯戦争」。その戦いは歪んでいた。

ひとりの少女――間桐 桜は犯した罪と共に、昏い闇に溺れてしまった。桜を守ると誓った少年・衛宮士郎は遠坂 凛と共闘し、「聖杯戦争」を終わらせるため、過酷な戦いに身を投じる。

イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは闘争の真実を知る者として、その運命と向き合い、間桐臓硯は桜を利用して己が悲願を叶えようとする。

「だから──歯をくいしばれ、桜」

激しい風に抗い、運命に挑む少年の願いは、少女に届くのか。終局を迎える「聖杯戦争」──。最後の戦いが、遂に幕を上げる。

メインスタッフ

原作:奈須きのこ/TYPE-MOON
キャラクター原案:武内崇
監督:須藤友徳
キャラクターデザイン:須藤友徳・碇谷敦・田畑壽之
脚本:桧山彬(ufotable)
美術監督:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:松岡美佳
編集:神野学
音楽:梶浦由記
制作プロデューサー:近藤光
アニメーション制作:ufotable
配給:アニプレックス

メインキャスト

衛宮士郎:杉山紀彰
間桐 桜:下屋則子
セイバーオルタ:川澄綾子
遠坂 凛:植田佳奈
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン:門脇舞以
藤村大河:伊藤美紀
言峰綺礼:中田譲治
間桐臓硯:津嘉山正種
ライダー:浅川悠
真アサシン:稲田徹

公式サイト
公式ツイッター

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