TVアニメ『グレイプニル』のOPを彩るH-el-ical//(ヘリカル) ヴォーカリスト・Hikaru//の新章がここからはじまる/インタビュー
H-el-ical//(ヘリカル)のメジャーデビューシングル「Altern-ate-」(オルタネイト)がリリースされた。
H-el-ical//は、梶浦由記氏のプロデュースによるヴォーカルユニット・KalafinaのメンバーであるHikaruさんが発足したソロプロジェクト。
昨年5月から正体不明のアーティスト・H-el-ical//としてYouTube上で活動をスタート。自身初となるソロライブを控えた11月に“H-el-ical//=Hikaruのソロプロジェクト”であることを公表した。
今回リリースされる「Altern-ate-」は、現在TOKYO MX他にて放送中のTVアニメ『グレイプニル』のOPテーマ。アニメとマンガを愛するHikaru//さんにとって、アニメ作品のオープニングナンバーを歌えることは「これ以上ない喜び」だったという。
シングル発売を目前に控えたHikaru//さんにオンラインでコンタクトをとって、心境を語ってもらった。
無限に上昇していく その志を大切に
──久しぶりにお話できるのを楽しみにしていました。
Hikaru//さん(以下Hikaru//):ふふっ。ありがとうございます。
──YouTube上でのソロ活動がスタートして約1年が経つわけですが、率直な感想はいかがでしょうか。
Hikaru//:これまでやったことのない、様々なことに挑戦させてもらっていますが……でも、まだ分からないことだらけなんですよ(笑)。いまはゼロスタートといった感覚です。たくさんのかたのお力を借りながら活動しています。
──H-el-ical//の成り立ちについてもうかがいたいんですが、ソロ活動をはじめるにあたって、Hikaru//さんのなかではどういった気持ちだったんでしょうか。
Hikaru//:自分にとってKalafinaは、3人でしかできないことを学び構築する唯一無二の場所。
ただ、歌い手を夢見ていた頃はソロアーティストを目指してオーディションを受けていて、その気持ちもずっと持ち続けてきました。
今はソロでしかできないことを模索する時間。その場所をH-el-ical//にしようと思って始めました。
──ソロでしかできないことというなかには作詞も含まれていると思うんですが、作詞にはいつぐらいから興味を持たれていたのでしょうか。
Hikaru//:昔から作詞に挑戦してみたいなとは思っていたんです。その気持ちも変わらず持ち続けていたこともあって、H-el-ical//は今まで発表した曲も含めて、全部Hikaru//が作詞をさせてもらっています。
あと“ソロでしかできない”こととしては、一曲をひとりの声で表現していくということですね。大変ではあるんですが、やりがいもあって、考える時間を含めてすごく楽しんでいます。
──H-el-ical//という言葉はどこから生まれたんでしょうか。
Hikaru//:KalafinaのHikaruではなく、Hikaru//個人として音楽を発信したとき、皆さんどんな反応をするのかなって思ったんです。
だからまったく別の名前にしようと思って、いろいろな言葉を検索していました。そんなときに、「螺旋」という意味を持つ「H-el-ical//」に出会って。
螺旋という言葉を辞書で調べたら、「基本的には同じことの繰り返しだけど、無限に上昇していく線」といった意味が書かれていて。自分自身も、音楽をするという意味ではこれまでと同じだけど、ずっと進み続けたいと思っているので、このワードを選んだんです。
「-」を入れたのは「-el-」を抜くと「ヒカル (Hikaru//)」と読めるということと……「el」ってエレベーション(高く上がることの意)の略で、つまり、自分以外の上がる・上げる要素を含んでいるという意味を表しています。
この部分には応援してくださる皆さんやスタッフのかた、作品などの力を借りて、上昇していくという意味を込めました。
──なるほど……! では最後にスラッシュ(「//」)がつくのはなぜなんでしょうか?
Hikaru//:証明終了の「~である」という意味でつけました。「H-el-ical//である」「皆さんの力を借りて上昇するソロプロジェクトである」という意味ですね。
──Hikaru//さんのお名前にもついてますよね。
Hikaru//:そうですね。H-el-ical//として活動する上でダブルスラッシュをつけようかなと。それ以外の例えば……今度出演させていただくYuki Kajiura LIVEの際はHikaru名義で歌わせていただきます。
──最初はH-el-ical//がHikaru//さんのソロプロジェクトであるということは公表されていない状態で。そうしたなかで、Hikaru//さんとしてソロライブ(12月1日、神奈川県民大ホール)が発表となって、すぐにソールドアウトとなりました。
Hikaru//:そういった状態だったにも関わらず、皆さんがHikaru//のライブに行こうと思って申し込みをしてくださったのはすごく嬉しかったです。
とりあえず、皆さんとライブをしたいという気持ちから日時と場所だけ決めたんですが……2000人キャパのホールだったので、「本当にこんなに広い会場で大丈夫かな?」って(笑)
──(笑)確かに初ライブとしてはドキッとするような広さですが、でもHikaru//さんのこれまでのご活躍を考えたら……。
Hikaru//:いやいや……。最初は本当に不安だったんです(苦笑)。でもキャパを大幅に超える応募があり、皆さんの気持ちのおかげでソールドアウトになりました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
──あの日のバックバンドのメンバーが物凄く豪華で。Hikaru//さんからお願いされたんです?
Hikaru//:Kalafinaのときにもお世話になっていたピアノの櫻田泰啓さんと、ドラムの野崎真助さんは事務所のかた経由でHikaru//からお願いしました。
真助さんにはバンマスをお願いしていて、作曲もしてくれているギターのグシミヤギ(ヒデユキ)さん以外のメンバーは、真助さんがオファーしてくれたんです。
だからもう最強メンバーといった状態(笑)。本当に凄いかたたちに伴奏していただいたので、サウンドのクオリティはすごく高かったと思います。
──そんな心強いメンバーと共にステージに立ったライブ。いかがでしたか。
Hikaru//:今まで応援してくださったかたに対しての“ありがとう”と、これから自分がH-el-ical//としてどう歩んでいくのか、その指針を伝えるようなライブにしたいと思っていました。
いろいろ詰め込んでスタッフの方々には苦労をかけたと思うんですが……。あのライブで挑戦させていただいたことが、次に繋がっていくんだろうなと感じられたライブでした。
ただ、初ライブだったこともあって、まだ手探りなところもあって。会場に足を運んでくださる皆さんとその時だけの音楽や空間を通してもっと近くなっていきたいなと思っています。
──お互い初めてなわけですもんね。当然ですけど、初ライブって後にも先にもその日しかないわけで……。
Hikaru//:そうなんですよね。だからついつい「これもやりたい、あれもやりたい」となってしまって(笑)。「ここまではできる」という限界をスタッフの皆さんに調整していただきました。