アニメ映画『泣きたい私は猫をかぶる』佐藤順一監督&柴山智隆監督インタビュー|ダブル監督によって受け継がれるアニメ業界を担うためのバトン
太郎はモフモフ感に注目!
――本作の特徴のひとつとして猫の可愛さが挙げられると思うのですが、猫をどう描いていくか、またどんな研究をされたか教えてください。
柴山:クレジットにもあるんですが、“猫モーション”として横田匡史さんにお願いしています。猫の歩きや走りは全部アニメーションが違うのでそれを設定化していただきました。
あと、僕は飼ったことがないので、猫カフェに行きました(笑)。
一同:(笑)。
柴山:そこで戯れて。作業中は猫の動画を見たり、岩合光昭さん(※2)の猫のDVDを見たりと、どっぷりと猫を見ながら作業していました。
※2:岩合光昭
世界的にも有名な動物写真家。猫の写真を多く撮ることで有名。TVや様々なメディアでも取り上げられており、招き猫が名産の常滑でも撮影を行っている。
――猫を描くときに大変なところは?
柴山:猫は……4足歩行なので(笑)。
一同:(笑)。
柴山:動きまわったりと、たたずまいも難しいんです。佐藤監督は猫を飼われているので、それっぽい「猫ってこうだよね」と思える動きを付けるのがお上手だなと思っていました。
佐藤:実際に家にいる猫をよく観察したりはしましたね。肩甲骨こんな感じなのか、こんなに曲がるのか、みたいな。
――飼っている身ならではのこだわりなどもあったりするのでしょうか?
佐藤:アニメはパターンで作られているので、動きをすごくちゃんと追っかけようとすると、パターンではすまないところがいっぱいあるんです。基本的には猫っぽいポーズを入れていくという方針でしたね。
あと、今回こだわったのは毛並み感ですかね。リアルな毛並みにしていくとなると、3Dを使ったりするハードルの高いものになるんですけど、2Dの延長上でモフモフした感じがどう出せるかというところは何度もトライしました。
撮影さんにもご苦労をかけて、ギリギリのところまで、モフっと感を入れるのか、それともなくすのかを考えて今の形に落ち着いています。
絵的な部分の処理として気持ちのいいモフっと感を出せればなと思っていて。猫を描く上で、デザイン的にいろいろ可愛い見せ方があるんですけど、そこをきちんと押さえていくのが重要なことだと、勝手に自分の中では考えて進めていました。作業を含めて大変は大変でしたね(笑)。
――途中からは二足歩行の猫のキャラクターも登場しますが、描き方は人間寄りに?
佐藤:どちらかというとやっていることは人間ですね。ただ、急ぐときは四つ足で走るとかは意識しています。
柴山:あの猫たちは二足歩行なので、メンタル的には猫世界の生活をエンジョイしている、という感じで作りました。