夏アニメ『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』茉希 尾瀬役 上條沙恵子さんインタビュー|「消える火が繊細に描かれていることにも感動したんです」
『ソウルイーター』『ソウルイーターノット!』の大久保篤先生原作、『週刊少年マガジン』(講談社)にて連載中の『炎炎ノ消防隊』。2019年に2クールでアニメ化され、アクションやユーモアなど、原作の魅力を余すことなく表現し、好評を博しました。その第2期にあたる『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』がいよいよ2020年7月3日(金)からスタートします。
今回は、作品の中心となる第8特殊消防隊で活躍する5人(※一人無期限で研修配属)にリレー形式でインタビュー。壱ノ章の魅力を振り返っていただきつつ、『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』に期待してほしいことを語ってもらいました。
記念すべき第弐回は、第8特殊消防隊の一等消防官、茉希 尾瀬(マキオゼ)を演じる上條沙恵子さんが登場です。
今考えると、周りをヒヤッとさせるようなことを最初からしてたんだなって思いました(笑)
――壱ノ章での思い出を挙げるとしたら、どんなことがありますか?
上條沙恵子さん(以下、上條):この作品が私のデビュー作になるんですけど、初めましての第壱話のときに初歩の初歩な質問を大御所の先輩方にたくさんしてしまったんです。
――大御所もたくさんいますが、誰に質問したのですか?
上條:中井(和哉)さんや鈴村(健一)さんなんですけど、まずは上の先輩にまずは聞きに行こうと決めていて、台本のめくり方とか、マイクの立ち位置、立ち回り方とかを聞いてしまったんです。
――質問するのだったらまず一番先輩からだろうと。でも、優しいお二人ですからね。
上條:そのときも本当に優しく教えてくださって。それに「僕はこうやってめくっているよ」とおっしゃったとき、他の先輩方も自分のめくり方を言ってくれたりして、みんなを巻き込んで盛り上がってくださったんですよね。
ただ、時間が経って、みんなと普通にお話ができるようになったとき、年齢の近い先輩方から、よくあれをあの人たちに聞きに行ったよね、めちゃめちゃ肝が据わってる女の子が来たと思ったって言われて、そうですよね!と(笑)。
新人だから何でも聞いて大丈夫と思っていたんですけど、今考えると、周りをヒヤッとさせるようなことをしてたんだなって思いました(笑)。
――でも、聞かれて嬉しかったと思いますよ。
上條:確かに、いっぱい聞きに来てくれて嬉しかった、というようなことをおっしゃってくださいました。
――他に、新人というところで、言われて印象的だった言葉はありますか?
上條:マキちゃんがドラム缶みたいなものを持ち上げるシーン(第拾弐話)があったんですけど、そのとき無意識にだったんですけど、それを実際に持ち上げるような動作をしながらアフレコをしてしまったんです。
やったあとにノイズとかが入っていないかが気になったんですけど、それを見た宮野真守さんが、アフレコブースのなかで、こんなに動きながらやっている子はいないし、いつもものすごい顔をしてアフレコをしているよねとおっしゃってくれて。
「これから有名になったとしても、そういうことを大事にして、マイクの前で誰よりも動いている声優であってほしい」みたいなことを言ってくださったことがすごく嬉しかったです。
自分自身も初めてのアフレコだったのであがいている状態ではあったんですけど、そうやって認めてくださる方がたくさんいる、本当に温かい現場でした。
――いい感じで年齢がバラけているのも良かったかもしれないですね。
上條:そうですね。年齢は梶原(岳人)さんと同じで、たぶん最年少くらいだったので、私はド新人として現場にいました。
――ちなみに、スタッフからはどんなことを言われました?
上條:何も考えずにやってほしいということを第参話~第四話くらいのときに言われました。新人はものすごくいろいろ言われるだろうというのは覚悟して行ったんですけど、最初から何もディレクションがされなくて、すごく不安だったんです。そしたら、それを聞ける機会を中井さんが作ってくれて。
聞いてみたら「何も考えず、うまくやろうとか馴染もうとか考えずに、今のままやってくれたらそれでいいから」と。「これからの声優人生を意識すれば、らしいお芝居をできるようにならなければいけないけど、君の場合はそのまま、あまりうまくなってほしくない」みたいなことをおっしゃってくれて(笑)。
――なかなか複雑ですね(笑)。でも、マキが、そのまま上條さんだったのかもしれないですね。何か共通する部分とかはありました?
上條:マキちゃんって、結構表情が変わるんですよ。急にキレるし、急にかわいくなるし(笑)。なんか目が点になるときもある。私も結構コロコロ表情が変わったりリアクションが大きかったりするので、そこは近いのかなと思いました。
マキという枠というか、マキちゃんだったらこういう反応をするだろうなとか、最初はそういうことも考えていたんですけど、そこはあまり考える必要がないのかなと思いました。
もちろん、自分が感じた感情に、“マキちゃんだったら”というフィルターは通すんですけど、マキの枠から外れないようにっていうのは、意識しなくていいんだろうなって。
――結構、何でもありなキャラクターというか。
上條:でもそれは誰から言われたとかでもないんですけど、いろいろ出してみたら、何も言われなかったし、むしろもっと強調してほしいと言われたので、じゃあ枠に縛られなくていいんだなって、自分で思いました。
――確かに、乙女だと思ったら、「誰がゴリラサイクロプスですって!」とか、誰も言ってないのにいきなりキレるところとか、振り幅がありますもんね。
上條:そうですよね(笑)。あれも感じたままに言ってます。あと第拾八話で「プスメラウィッチ、完成ですね」って言うところは、ト書きに乙女にかわいくと書いてあったんですよ。
そこはかわいくやればいいのかな?と思ってやったんですけど、もっとあざとく! もっとかわいくていいとディレクションがあって、マキちゃんという枠を気にしなくていいんだなと確信したシーンでもありました。声色とかも気にせずにやったので。
――あそこはものすごくかわいかったですよね! まぁ武器名は“鉄梟”なんですけど。
上條:ここって原作だとすごく小さいカットだったんですけど、アニメだと完全にドアップになっていたんです。私のお芝居で絵を描いたとおっしゃってくださって。そういう裏話が聞けたときは嬉しかったです。