【そろそろBLのこと知ってみませんか?】いまさら聞けない商業BLの世界! 「アニメイト編集部BL塾」開校【後編】
BL初心者に教える、BL作品への5つの触れ方
阿部:BLについて何となくご理解いただけてきたところだと思うので、BL初心者がBL作品にどう触れるかについてお話していきます。
石橋:ありがたい。
阿部:5つ挙げてみました。
阿部:最近、BLも小説やマンガだけではなく、アニメや実写映像などのコンテンツが増えてきているので、好みや興味のあるコンテンツから触れてみてはいかがでしょうか。
例えば、好きな声優さんがいるなら、ドラマCDを聞いてみる、アニメを見てみる。好きな俳優さんが出ている実写ドラマや映画から手を出してみるのは有だと思います。
特に映像系コンテンツは性描写のない作品も多いので、「最初から性描写のある作品はハードルが高いかも……」と思う人はアニメやドラマ、映画から入るのがオススメです。
石橋:たしかにTVで放送される映像は放送コードに引っかからない作りになっているので安心して見れるかも。
阿部:次はジャケ買いというやつですね。小説やマンガは本屋さんなどの店舗で購入が可能なので、好みの絵柄とか好きなキャラクターとかで選んでみる。
石橋:黒髪メガネとかね!
阿部:あはは(笑)。最近は、帯の部分に攻め受けの表記が記載されている作品も多いので、自分はどんなタイプの攻め受けが好きそうかを考えながら選ぶのも、一つの楽しみ方だと思います。
ちなみに私は、BL作品を買うなら専らアニメイトさんです。コンテンツの充実度が群を抜いていると思うので。
石橋:ありがとうございます!(笑)
阿部:ただね、本屋やアニメイトなどの店舗で直接買うのはハードルが高いと思う人もいるかもしれません。
そんな方たちは、通販や電子書籍から選んでみてください。最近は、BL特集コーナーを設けている電子書籍サイトが多いですし、数ページ試し読みができます。一目惚れした作品を数ページ読んでみて、続きが気になったら購入するのも有です!
石橋:アニメイトオンラインやアニメイトブックストアというのもありますからね。みなさん、ぜひ。いやー便利な時代になったものだ!
阿部:唐突な宣伝(笑)。
石橋:これは分かりやすいですよね。
阿部:電子書籍サイト、BL情報サイトさんが出している人気ランキングの上位作品から読んでみる。
あとは、年に一度『このBLがやばい!』『BLアワード』というBL作品受賞企画があるので、受賞作品から触れてみてもいいと思います。
石橋:個人的にはこの触れ方、めっちゃいいなと思いました。ランキングに入る作品って、さまざまな人から多くの票を集めた作品なので、平均的におもしろい作品が多いですよね。
阿部:上と少し被りますが、レビューを見てみるのもオススメです。BL情報サイト『ちるちる』は熱量の高いBL好きな方たちが感想を書いています。
あと、みなさんご存知の『Amazon』も『ちるちる』とは少し違った層の方がレビューが書いてあるので、どちらも見て参考にしてみるといいかも。
ただ、レビューに左右され過ぎないで! とだけは言いたい。BL初心者の方たちは好みがまだ確立されていない、いわば“原石”なんですよ。
石橋:たしかに原石です。きらきら。
阿部:レビューを書く方たちは、今までBLを読んできている方がほとんどです。自分の好みが確立されていることも多いため、そこに左右されて自分の好みを決めないでほしいなと。
いろんな作品に触れた上で、自分の好みを磨いていってほしいと思います。
石橋:レビューを書くくらい熱量のある方は知識もある。歴戦の猛者でもありますからね。
阿部:「参考にする」くらいの気持ちで。ほかの人が良くないと思っていても、自分にとって良いと思える作品もありますから。
阿部:近くにBL好きな方がいたら聞いてみてください。お願いすれば教えてくれるはず!
石橋:一番屈託のない意見が聞けますからね。
阿部:熱量も伝わってきますし。
石橋:近くにコンシェルジュがいるといいなぁ。
初心者にオススメの商業BLマンガ作品4選
阿部:とはいえ、「調べてみたはいいけど何を買えばいいのか分からん!」「近くにBLを聞ける人がいないよ~」という方もいるでしょう。そんな方たちのために、初心者にオススメの商業BLマンガ4冊をピックアップしてきました!
石橋:やったぜ! センセイ、教えてください!
阿部:完全に私の趣味で恐れ多いのですが……。初心者向けということで性描写のない作品を選んでいます。
阿部:「このBLがやばい! 2020年度」3位、「BLアワード 2020年度」1位を獲得した作品です。BLのLoveが“恋愛”と呼べるかと言うと違うかもしれない。だけど、“愛”と呼ぶには相応しい作品だと思います。
石橋:これは一冊完結ですか?
阿部:そうです。BLマンガは一冊完結の作品が多いんですよ。もちろんシリーズ物もありますけどね。
石橋:へぇー。絵がめっちゃ綺麗ですね。
阿部:BL作品ってイケメンしか出てこないことが多いのですが、『ワンルームエンジェル』の主人公はイケメンとは少し違います。
石橋:たしかにイケメンではない。やさぐれている感じ……。意外です、こんな作品もあるんですね。
阿部:はらだ先生のほかの作品も読んでいるのですが、人間の醜さ・汚さの描き方がとても魅力的なんですよ。そんな先生が優しさに振り切った作品を描いた。泣かせに来たなと思いましたね。
最後の数ページで号泣。BLが気になる人ではなくても読んでもらいたい作品です。
阿部:こちらはご存知の方も多いかもしれません。「このBLがやばい! 2009年度」1位、2016年にはアニメ映画化されています。王道な青春ラブストーリーです。
石橋:(表紙を見て)はっ! 黒髪メガネ!
阿部:(にやり)。絵の繊細さが、心理描写の繊細さを際立たせています。
石橋:本当に繊細。線がめちゃめちゃ細い。
阿部:シリーズ化されている作品ですが、この一冊だけでも楽しめます。続きの『卒業生』では、心の繋がりだけでなく体の繋がりも描かれているので、ここから性描写のある作品に足を踏み入れるのもいいかなと。
中村先生の性描写は色気はあるけど、エロいというより美しいので。読みやすいと思います。
アニメの映画もとても美しかった。そこから入ってもいいかも。Netflixで配信されたのでぜひ。
石橋:一人でこっそり見ます。
阿部:「BLアワード 2018-2020年度シリーズ部門」TOP20に入賞。競技ダンスが主軸の作品です。
恋愛の要素は入っているけど、スポーツマンガとして非常に読み応えがあります。競技ダンスの説明もかなり細かく書かれているので、詳しくない人でも入りやすい作品です。
あと、ダンスシーンがとにかくエロい。
石橋:ダンスシーンがエロい……? どういうことですか。
阿部:ダンスを教え合うシーンの体の動かし方、密着度……なんでしょうね、とにかくエロいんですよ(語彙力)。
石橋:ニヤニヤしちゃうやつだ。パラパラと見ているだけで、ダンスシーンがエロいというのが何となく分かる。脱がないエロさというか……不思議だなぁ。
阿部:『10DANCE』は現在も連載中のシリーズ作品です。当初はBLレーベル『バンブーコミックス 麗人』で連載されていたのですが、2016年からは一般誌である『ヤンマガサード』で連載。恋愛にとどまらない、いろいろな角度から2人の関係性が楽しめます。
※申し訳ありません。こちらアニメイトでのお取り扱いありません。
阿部:個人的にとても推している作品です。読者から見たら「恋」だとしても、彼らが気づかないうちは「恋」じゃないんだよな……と思わされる。
友達とは? この関係って何? と人間関係の難しさを立ち返って考えられるような作品です。基本ほのぼのであるものの、奥深い作品でもある。
石橋:そういうのもあるのか。
阿部:タイトルと表紙から漂うドラマが作中にもしっかり反映されています。意味を読み取って、読み込んでほしいです。
……あとはね、黒髪メガネなんですよ。
石橋:あーー! すぐ忍ばせてくる(笑)。
でも、おもしろそう。「これってどういう関係?」と悩みながら読むのは、BL入門書としていいかも。いやぁ、帰りに全部買おうかな……。みなさんも買ってください!
阿部:ぜひアニメイトさんでね!(笑)
あと、BLに少しでも興味を持ってくださった方には『BL進化論』『ボクたちのBL論』という書籍もオススメです。
阿部:「これを機にBLについて学びたい!」と思っている方は読んでみてはいかがでしょうか。