声優
『朗読劇タチヨミ』松野太紀×岸尾だいすけ×佐藤聡美インタビュー

声優・松野太紀さん主催『朗読劇タチヨミ-第七巻-』キャストインタビュー|初出演の佐藤聡美さんが、常連キャストの岸尾だいすけさんに戦々恐々!? 新しい挑戦の公演を迎える『朗読劇タチヨミ』の魅力に迫る!

声優の松野太紀さんが主催し、自ら演出・出演も行う舞台『朗読劇タチヨミ-第七巻-』が、2020年9月17日(木)~22日(火・祝)に東京・草月ホールで開催。

麻生かほ里さん、伊藤かな恵さん、置鮎龍太郎さん、川島得愛さん、神田朱未さん、岸尾だいすけさん、新垣樽助さん、高乃麗さん、中井和哉さん、長浜満里子さん、名塚佳織さん、藤原珠恵さん、吉野裕行さん、野島健児さん、伊東健人さん、江口拓也さん、笠原留美さん、佐藤聡美さん、平川大輔さんら、実力派の豪華声優陣20名が出演します。

そこで、主催の松野さん『タチヨミ』常連キャストの岸尾さん、初出演の佐藤さんにインタビュー!

『タチヨミ』設立のきっかけ、朗読劇や『タチヨミ』の魅力、お互いについての印象などを伺いました。

 
 

「声優とはこうだ」という声優の技術や、素晴らしさを伝えるためにスタート!

――まだ『タチヨミ』をご存知ないという方もいらっしゃると思うので、どのような経緯で松野さんが全プロデュース・活動を始められたのか、今の形になったのかを教えてください。

松野太紀(以降、松野):もともと、ある大学の学生たちに「勉強の場を」と始めたのがきっかけですが、それだけでなく、声の仕事でなければやらない演技や型、いろいろなルールがたくさんあって、僕の中で声優業は、歌舞伎などに匹敵するくらいの古典芸能のように思っているので、声優さんの素晴らしさを伝えられたらなと思いました。

 

 
昨今、若い方たちがアイドル化しているところに関しても、それは素晴らしいし、今しかできないこともいっぱいあるだろうし、僕も応援していて、そんな風になりたいと思うんですけど。

岸尾だいすけ(以降、岸尾):(爆笑)。

松野:だいすけ、良いタイミングで笑った!

一同:(笑)。

松野:ありがとう! さすが、だいちゃん。

岸尾:(松野さんの)生徒ですから(笑)。

松野:……何話そうとしたのか忘れちゃった(笑)。

えっと、今の若手の活動も良いことだと思うんですけど、例えばグラビアを飾るような活動はしていなくても、素晴らしい先輩声優さんたちもいらしゃるので、おこがましいですが、そういう方もご紹介できればなと。

「声優とはこういうモノだ」というのを、これから声優を目指す人も含めて観ていただけたらなと思っています。

また、単に座って読んでいるのが朗読劇というだけではなく、声優さんがマイク前に立つだけで、いろいろな世界に連れて行ってくれる朗読劇の素晴らしさ、すごさを感じてもらえたらなと。

最初は1回の公演だけで終わると思っていたので「第0巻」とナンバリングしたものの、こんなに長く続いてしまっている感じです(笑)。

『タチヨミ』は、僕がキャスティングしているんですけど、第一に演技が上手であること……(隣の岸尾さんを意識して)笑うタイミングが上手な人とか。

一同:(笑)。

岸尾:コメントに困って僕を見たんですか!?

松野:ちょっと、笑ってくれないかなと思って(笑)。

岸尾:さすがに、今のは笑うタイミングなかったですよ(苦笑)。

松野:ごめん、ごめん。キャスティングについては、『タチヨミ』という世界観を一緒に作ってくれる人にお願いしたり、そういう人たちから推薦があった人にお願いする形ですね。大概は、僕が共演した方にお声掛けさせていただいている感じです。

朗読劇にもいろいろあって、その役に扮装したり、動きがあったり。うちも少しは動きますが、実は何度も稽古をするうちに、皆さんセリフを覚えてしまって、台本を持ったまま全然見ることなく、普通にお芝居をしているみたいになっちゃうんです。

なので『タチヨミ』の時は、あくまでセリフを覚えないでくださいと。

佐藤聡美(以降、佐藤):なるほど。

松野:誰一人覚えてきたことないですけど、ね(岸尾さんを見る)。

一同:(笑)。

岸尾:覚えは……しないですね。

佐藤:(笑)。

松野:全然それで良くて。逆に、本番でも台本を見てもらって、お客さんにとってはアフレコしている現場を“生で観る”みたいな感覚にもなります。

声優さんは、画面を見ながら台本を見るクセが付いているので、自分がしゃべっていないシーンで台本を見ている時もあれば、正面を見据えることもできるので、皆さん目線の使い方が上手なんです。
 
舞台で活躍する役者さんに参加していただくこともあるんですけど、その人たちは正面を向けないこともあって、その差は演出をしていて面白いなと思います。

――舞台役者さんの方が慣れていそうですけど、そういう差があるんですね。

松野:横一列に並んだ状態で、縦横無尽の動きを声だけで表現するのは、声優さんのなせる技ですね。本来は跳んだりはねたりしている場面でも、全然真正面を向いたままでしゃべっていられます。

だから、手元の台本に視線がいって顔が下を向いてしまい、上からライトが当たって声優さんの顔が見えなくなるという苦情は、今まで聞いたことがないですね。

まあ、岸尾さんをはじめ、そうそうたる人たちは顔を売りたいタイプだから(笑)。

岸尾:ちゃんと照明の角度とかもわかっていて、「あ、ここ」という位置に付きますからね。

一同:(笑)。

松野:ときどき、開いた台本をレフ板にしていて、ハレーション起こしてたりするから(笑)。

岸尾:俺、天才だな(笑)。

――実は、リハーサルで確認していたりすることもあるんですか?(笑)

岸尾:いや、リハーサルでやるとつまらなくなっちゃうので、みんなを驚かせたくて、そういうことは本番でやります。

佐藤:えぇ!?

松野:本当にね……。岸尾さん次第なことがいっぱいあって、ゾッとする時があります。

一同:(笑)。

岸尾:いや、だいだいはフリがあって。僕はそのフリを100倍にしてやっちゃうから。

松野:100倍にしてやるなよ(笑)。古川登志夫さんがご出演された時は、本当にどうなることかとドキドキしていました。

キャスティングも配役も僕がしているので、ここでこうしたら「だいすけはイジリまくるだろうな」と自分であえてしておきながら、「やっちゃって良いんですか?」みたいに仕掛けてくるので、ドキドキしている自分もいます(笑)。

岸尾:ま、皆さんの了承を得ていますからね。松野さん側にも古川さんにも。

松野:でも、登志夫さんは想像以上に(岸尾さんに攻めて)こられて、ビックリしていたよね。

岸尾:終わった後、舞台から退場する時に台本で頭を叩かれました。もちろん顔はニコニコ笑いながら冗談で、「よくもやってくれたな」と(笑)。

 

 

――それは、松野さんのキャスティングの妙が楽しめるということですよね。

松野:そうなったら良いなと思っております。なので今回、(佐藤さんを見て)初参加してくれる聡美ちゃんは、どうしたら面白いかなと楽しみにしています。

佐藤:(ニコニコしながら)そうなんですね。

松野:普段からこういう(ふんわりした)感じなので、なんとか崩したいなと。

オファーの電話をした時も、本当は嫌なのに「(うれしそうに)えぇ、本当ですか?」と言っていたらどうしようと思って、「それ本心なの? 本当に思ってる!?」と何度も聞いてしまいました(笑)。

佐藤:何度も聞かれましたけど、本当に本心です!

一同:(笑)。

松野:キャリアのある方は、ある程度、同じような役柄を演じることが多いんじゃないかなと思います。

なので、その王道は裏切らない感じの演目をやってもらいつつ、別の演目では全く違う役にチャレンジしてもらい、変わった一面を皆様にお見せできたらなというのも楽しみであり、オムニバス形式にしている理由でもあります。

 

 
あと、1本の長編作品だと、僕が眠たくなっちゃうこともあるので、オムニバスでコロコロ変わる方が楽しいかなと(笑)。

岸尾:それ正解です(笑)。人間の集中力は、20分が限界とも言われていますからね。2時間とかの長尺物はツラい方もいると思いますよ。

松野:だって、キャストの皆さんの声が良くて、いい音楽が流れたら、どれだけ面白くても気持ち良くなっちゃいますよ。

佐藤:そうですよね。

オファーを受けた時の岸尾さんと佐藤さんの思いは、感動&念願

――そんなキャストの1人として、岸尾さんは2016年の「第二巻」公演から出演されていますが、初めて『タチヨミ』を知った時の感想や、出演オファーがあった時のお気持ちはいかがでしたか?

岸尾:僕が代アニ(代々木アニメーション学院の略称)の名古屋校の生徒で、講師で松野さんがいらっしゃっていたので、初めてお会いしてからもう26年ですよ。

松野:本当に!?

佐藤:長いお付き合いなんですね。

岸尾:そこからずっと先生と生徒という関係でございまして、松野さんは本当に怖い先生だったんですよ……あまり言えませんが(笑)。愛のある厳しさで、役者としてだけでなく人間としてもいろいろ教えていただいたのがずっと心に残っています。

 

 
デビューしてからも現場でお会いする度に、何度もダメ出ししていただいたり、調子に乗っていた時期に叱ってくれたり。パブリック的には三ツ矢雄二さんが師匠ではあるんですけど、現場でお会いするのは松野さんの方が多くて。なので2人の師匠がいる感じですね。

そんな師匠から、青二(青二プロダクションの通称)に入ったタイミングで仕事をご一緒した時に声を掛けてもらって、すごく認めてもらった感が自分の中でありました。

上手い人しかキャスティングしていない、ちゃんと自分が自信を持ってお客様の前に出せる、頼れる役者しか選んでいないというお話を、実際に何度も聞いているので、「そこに入れるようになれたんだ」と、先生からオファーいただいて感動したのが、一番最初の思いです。

その感動のまま出演して、千秋楽では号泣してしまいました。『タチヨミ』に出る度、だいたい泣いてるんですけどね(笑)。

松野:こんなに涙腺弱かったっけというくらいなんですけど、僕ももらい泣きしちゃって。いつも2人で「うわぁ~(泣)」って、どちらかが泣くとどちらかが泣くし、大変なことになってしまって「あの2人どうしたんだ?」みたいな(笑)。

一同:(笑)。

岸尾:『タチヨミ』の最後の演目は普通に観ても泣いちゃうんですけど、泣きまくった後に、千秋楽だとさらに僕は感動して、なんで泣いているのかわからない感情で泣いているんです(笑)。
 
泣き虫だと思われているかもしれないですけど、いろいろな感情が渦巻くんです。それくらい感動する舞台だから、26年分の思いが出ちゃいました。

――お2人は師弟関係ということですが、岸尾さんはオファーを受けた前後とかに『タチヨミ』をご覧になったんですか?

岸尾:松野さんから聞いて、初めてこういうことやってるんだと知って、映像も残ってなかったので、観ることも叶わず。ただ、すごいキャスティングで、絶対自分の勉強にもなるし、楽しそうだなと思って、すぐに快諾させていただきました。

――では、今回が初参加になる佐藤さんにも、初めて『タチヨミ』を知った時の感想や、出演オファーがあった時のお気持ちをお伺いしたいです。

佐藤:実は『タチヨミ』のことはずっと知っていたんです。同期の伊藤かな恵ちゃんも出演していたので。

松野:同期なんだ!?

佐藤:そうなんです。かな恵ちゃんや他の役者さんもたくさん出演しているのを知っていて、実はこっそり「うらやましいな」と思っていたところに、松野さんからお声掛けいただいて。だから本当に、うれしかったんです。

(佐藤さんの方を伺う、松野さんと岸尾さんに向かって)ウソじゃないです。

一同:(笑)。

佐藤:私達や下の世代の子たちは、松野さんもおっしゃっていたように、アニメの派生でイベントで歌を歌ったり、自身のパーソナルな部分を生かした映像番組にでたり、アイドルのような活動を求められる機会もたくさんあるんです。

有り難いことですが、やはり本業は声優なので、私は、音声表現をもっと突き詰められる場所に立つチャンスがもっと欲しいなと、ここ数年強く思っていたんです。

 

 
もちろん、アニメのアフレコやイベントで皆さんと会えるのもうれしくて好きですけど、例えばドラマCDや朗読劇だったり、「声」が主軸になるお仕事が大好きなので、『タチヨミ』オファーは本当にうれしくて。

念願の『タチヨミ』に出演できるという思いもあり、今からすごくワクワクしています。

岸尾:……本心だと思いますか?

松野:何も疑ってないよ! 僕、そこまで人が悪くないです。

一同:(笑)。

岸尾:ちょっと、リアクションした方が面白いかなと思って。

松野:あ、そうか。(仕切り直して)「えぇ~!?」

岸尾:ヘタクソかっ!(笑)

一同:(笑)。

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