『Re:ゼロから始める異世界生活』2nd season:nonocさんが歌声で表現したEDテーマ、映像と歌詞でさらに考察が捗る!?|インタビュー
衝撃的だったペトラの左手のみ。「Memento」が流れるタイミングに自分でも「ぞわ」っと
――2nd seasonで印象に残っているシーンを挙げてください。
nonoc:31話(「少女の福音」)でスバルとペトラが手を繋いで逃げていた時、エルザに襲われ、ペトラの左手のみが残ったシーンは衝撃的でした。スバルと2人でしゃべっている時から嫌な予感がしてました。私の曲がかかった瞬間、「一番私の曲怖いな」と思いました(笑)。
――以前、小林さんと高橋李依さんの対談で、2nd seasonで印象的なシーンを尋ねた時、お二人ともnonocさんのEDの入り方にぞくっとした答えていて。小林さんが挙げたのがまさに31話で、腕を見て叫んだところで曲が流れますが、エルザに斬られる直前に曲が止まり、間一髪で助けたベアトリスに対し……。
nonoc:「どうして助けた、ベアトリス!」のところですね。
――高橋さんが挙げたのが初めて「Memento」が流れた27話のラストでエミリアが聖域に入る時に「Memento」が流れたところで。
nonoc:私も曲が流れるタイミングや状況で、印象が変わる曲だなと思うし、流れるたびに一番ぞわっとしているのは私かもしれません(笑)。
――高橋さんに至っては、27話の収録前に見たリハーサル用のDVDに「Memento」が入っていて、イントロから劇中歌のような勢いでお芝居を盛り上げてくれたともおっしゃっていました。
nonoc:もし演技の背中を押すことができているならすごく嬉しいです。『リゼロラジオ』でご一緒した時もお2人から「『Memento』いいよね」と言っていただきました。
意味深なED映像。「Memento」の歌詞はエミリアをイメージ、そしてテーマは記憶
――「Memento」が流れるED映像は女性キャラクターが悲し気な表情で光を手にし、周りには蝶が漂って、意味深ですよね。
nonoc:ベアトリスには蝶がとまらないとか、ライトが水色に変わるところとか気になる部分がたくさんあって、考察がはかどります(笑)。あと幻想的でちょっと怖いエキドナは、彼女の2面性が表現されているのかなと思いました。今はスバルに対して優しいところしか見えないけど、まだ見せていない怖い部分も、この先、明かされるんじゃないかなと思いました。
――歌詞は「弱いままの自分 逃げ場はもうないの」や「閉じた記憶を叩いて 叩いて」などエミリアの心情を描いたようなフレーズも多い気がします。
nonoc:作詞のhotaruさんがエミリアを思って書いた部分が大きいとおっしゃっていました。そういう見方はできるけど、記憶がテーマであり、「覚えていて。忘れないで」が曲名の意味なのでエミリアだけではなく、誰にでも当てはまる部分があるのかなと思いました。ここまでアニメを見てきて最近、俯瞰して見ている聖域のことを歌った歌詞なのかとも考えるようになりました。
――「いつかこの雪も止むなら」は雪に埋もれた村が思い浮かぶし、1st seasonや劇場版でも雪のシーンがあって、欠かせない情景と言ってもいいような。
nonoc: 2nd seasonの本来の放送予定時期は1クール手前だったので雪の情感と合っていたんですけど、夏に雪の歌というのも新鮮でいいなと思います。
Tom-H@ckさん作のサウンドはギミックがいっぱい。フェイドアウトはバッドエンドみたい!?
――異国情緒を感じさせると女性コーラスが何とも不気味で怪しい雰囲気を漂わせています。
nonoc:『リゼロ』のちょっと怖い雰囲気や世界観が現れています。またリリース後に改めて、歌とインストを聴いてみたら全然印象が違うんですよね。インストだとダンサブルな部分もあり、軽快でノレる音楽で、Tom-H@ckさんの工夫やギミックも詰め込まれていて、聴き応えがある曲だなと思っていますが、そこに私の声が入ることで印象が変わるのがおもしろいなと。ぜひインストも聴いていただきたいです。
――フェイドアウトで終わるところもまた意味ありげで。
nonoc:私も思いました。バッドエンドっぽいですよね(笑)。hotaruさんは最後の「繰り返す 繰り返す」のところで、自分を鼓舞しているような感じがするとおっしゃっていたので、そういう考え方もあるのかと思いました。優しさを感じられる部分もあれば、儚さを感じる部分もあって。「Tomさんの狙いなのかな。すごいな」と。楽曲をどういう意図で作られているのか、じっくり伺ってみたいです。
初めてのウイスパーボイスに挑戦! コーラスが厚みと不思議な世界観を構築
――レコーディングで意識したことはありますか?
nonoc:プリプロとレコーディング当日ではアレンジなどかなり変わっていて、メロディラインや歌詞も当日、私の歌声と合わせて調整していく形でした。まずは好きなように歌ってみてねと言われてテストテイクを歌ったら、「いいんだけど、『リゼロ』の世界観に合わせるなら、もうちょっと幼さが消えたほうがいいからウイスパーボイスで録ってみようか」と。初めてウイスパーボイスに挑戦してみました。また感情をあまり出さないようにトツトツと歌うことも意識しました。歌詞の意図や想いが伝わってくれたら嬉しいです。
――ミステリアスさやせつなさなど雰囲気がある歌声だなと思いました。
nonoc:ありがとうございます。すごく難しくて、今までで一番マイクに近づいて歌いました。またコーラスもたくさん録っているので、厚みが出て、より不思議な世界観が構築されたかなと。でも歌うのは難しいなと今でも思っています。
ライブでの歌唱は芯の強さを試されている気が。最後のフレーズが意味を持っているかも?
――7月28日の配信ライブの『KADOKAWA ARTIST LIVE vol.7』で披露されていますが、ステージで実際に歌ってみた感想はいかがでしたか?
nonoc:やっぱり難しかったです(笑)。今まで私が歌ってきた楽曲とは真逆のアプローチをしなければいけなかったし、1曲目に歌った『リゼロス(スマホゲーム『Re:ゼロから始める異世界生活 Lost in Memories』)』主題歌の「Reloaded」ともまったくタイプの違う曲で。
またレコーディングでは感情を出さずに歌っていました……特にTVサイズは。でもライブとなるとテンションが上がりそうになる気持ちを落ち着かせて、起伏をつけず、ひょうひょうと歌わなくてはいけないので、自分の芯の強さを試されている気がしました。
――お気に入りのフレーズを挙げるとすれば?
nonoc:以前、別の媒体でインタビューを受けた時はサビの「何度でもドアを 閉じた記憶を」が印象的であり、アニメの展開的にも重要なキーワードだと思って、好きなフレーズとして挙げさせていただきました。リリース後にフルバージョンで何度もじっくり聴いていると、最後の「繰り返す 繰り返す」と「探してる 探してる」のリフレインのフレーズが意味を持ってくるんじゃないかなと思っています。