あなたの心、無視します――TVアニメ『無能なナナ』柊ナナ役・大久保瑠美さん&中島ナナオ役・下野紘さんインタビュー
アフレコで感じたのはキャラクターの「振り幅」の大きさ
――アフレコはこういう状況になる前に全部終わっていたとのことですが、現場で印象深かったエピソードがあればお聞かせください。
大久保:中盤のある話数に「10時」というキーワードが出てくるんですけど、それを収録している時に私の腕時計が10時で止まっていたんですよ。収録が終わって時計を見たら「あ、10時で止まってる!」って。これは結構驚きましたね。
――いや、普通に怖いエピソードじゃないですか。いわくつきのスタジオとかじゃないですよね?
大久保:全然。みんながいつも収録しているスタジオです。でも、「10時」が深く関わってくる話数だったので、ミラクルだなと思いました。
――下野さんはいかがですか?
下野:ナナオは内向的なんですけど、人に絡まれたり、それこそナナに押され気味な時とかはギャグチックな顔になったりするんです。かたや自分の過去の話で、ちょっと切羽詰まった時にはまた違ったすごい顔をしていて。キャラクターの表情や性格の振り幅がとにかく激しいんだなと感じました。面白いと思いつつ、演じていてドキドキするポイントでしたね。
――アフレコの時点ですでに絵がかなりできていたとお聞きしました。
下野:そうなんですよ。(絵を見て)感情をここまで持っていくのか! と思って。
大久保:それは私も思いました。
下野:公式サイトなどでキャラクタービジュアルを見られますけど、この一面だけじゃない顔が全キャラクターにあって。そういう表情や感情のギャップも個人的には印象的でした。
大久保:(飯島)モグオ、(郡)セイヤ以外は、みんな腹に一物を抱えていますので。
――謳い文句に「学園×知略×サスペンス」とあるぐらいですから、そういう部分も期待されますね。ちなみに、知略戦やサスペンスといった作品はお好きですか?
下野:好きですね。「この人はこうだろう」「こっちの人はこうなのかな」といろいろ考えて考えて、でも実は違っていたとか。なんでそんな嫌な方向に行っちゃうんだと思う知略戦もあれば、素敵な知略戦もあるけど、全部含めて楽しいので好きです。
大久保:私、小説はミステリーかサスペンスが好きなんです。謎を解いていくのも好きだし、どんでん返しが大好きで。(普通の小説だと)読んでいる途中に結末の予想が当たることってありますよね。それより、後味が良くても悪くても予想を裏切ってくれるものが好きなので、ミステリーやサスペンスばかり読むんです。そういう意味では、『無能なナナは』は“良い裏切り”をくれる作品だなと思っています。