角川ビーンズ文庫・ビーズログ文庫新人賞＆周年フェア開催を記念して、作家14名のインタビューをお届け【第2弾】

ビーンズ文庫・ビーズログ文庫の新人賞＆周年を記念して、2020年9月30日(水)～2020年11月24日(火)まで、全国のアニメイトにてフェアを開催！

期間中、対象商品をご購入ごとにお渡しするポイントレシートを集めていただくと、24P書き下ろしSS小冊子(全2種)を1冊ゲットできます。

そんな注目フェアの開催を記念して、アニメイトタイムズでは作家14名のメールインタビューを実施！

第2弾となる今回は、『魔王の右腕になったので原作改悪します』木村先生、『なんちゃってシンデレラ』と『身代わり聖女は、皇帝陛下の求婚にうなづかない』汐邑雛先生、『王太子殿下は後宮に占い師をご所望です』夢見るライオン先生のインタビューをお届けします♩

『魔王の右腕になったので原作改悪します』／木村先生

◆異世界転移して、大好きな魔王様をデッドエンドから救い（幸せにし）ます！
著：木村　イラスト：じろあるば

あらすじ

社畜OLの刈谷透が見つけた唯一のオアシス――漫画『ラピスラズリ・ワールド』の最推し《魔王》が死んだ。

絶望の中、ビルから落ちていく透。しかし次に目を覚ますと、そこは魔王城の前だった!?

異世界転移した透はまさかの魔王に保護され、“トール”として仕えることに。

それならやることはひとつ！　

「私が絶対魔王さんを幸せにしてみせます！」
　

木村先生メールインタビュー！

――先生の印象に残っているエピソードを理由とあわせて教えてください。

木村：書籍化の話を頂いた時に、正直「これを書籍にするのか!?」と衝撃を受けました。そもそもがいじめられている中学生に向けて書いた小説だったので、抽象的な散文が多く「これを書籍レベルの小説にするのかー、大変だなー……え、私が!? 私が直すの!?　これを!?」と泣きそうでした。

編集の人がおだててくれなかったら確実に途中で諦めていたと思います。文章力を強制的に向上させられる有意義な半年間でした。本当にありがとうございました。編集はこんな人間までおだてなきゃならないのだから大変なお仕事だと思います。

もしやエピソードってこういうことじゃないですか……？
作中で最も書くのに手間取ったのは一巻プロローグです。ここだけで二週間以上かかっています。ここでは主人公のトールが過去に住んでいた古い団地の描写があるのですが、私は団地に暮らした経験がありません。

そこで間取りを書き、団地に住んでいる人の話を聞き、昭和の団地の写真を見ながらひとつひとつ丁寧に描写しました。その甲斐あって団地に住んだことがある人から『目に浮かぶよう』という感想をいただく描写になり、自分としては大満足です。

編集の人には『なんで異世界転移ものなのに団地の描写がこんなに長いんだ』と注意されましたが、聞こえなかったことにしました。編集はこんな人間まで（以下略）。

――上記でお答え頂いたエピソードを執筆する際に意識・工夫した点はありますか。

木村：ビーズログ文庫という女性向けレーベルから出していただけることになったので、『読みやすさ』と『ラブ』を意識しています。結果、ヒーローがヒロインの首を絞めるシーンが二か所も追加され、ヒロインがヒーローの首を絞めるシーンもできました。

わあ、ファンタスティックラブ……そろそろ編集の人に怒られる気がしてきましたので真面目に答えます。

この作品のテーマは『死のうと思っている人間を止めるには自分の人生を全部賭けなくちゃならないし、その対話には痛みが伴う。痛みのない癒しはない』でした。

そのためかなり暗い描写が多い作品だったのですが、書籍化に際して女性向けであることを強く意識し、ラブ要素を要所要所にたくさん盛り込みました。

たしかに首も絞めますが、ハグもするし、キスもあるし、砂糖菓子みたいな甘い台詞も多々あります！

これはひとえに編集の人が『ラブを……』『もっと胸キュンを……』『ここでもう一回ラブを……』等と指摘し続けてくれた結果なので、ラブを感じたら編集の人の熱意を感じていただければ幸いです。

またこの作品は原作の書籍化よりもコミカライズが先だったので、コミックスの内容に合わせることも意識していました。

コミックスではじろあるば先生の超絶美麗可愛いヒロインとヒーローが出ていましたので、彼らのイメージを損なわないように小説の方も若干可愛くなっています。

結果的にテーマから逸れることなく、様々な愛に溢れた作品にできたと思います。

さっきから私は質問に正しく答えられているのでしょうか……。

――先生が影響を受けた小説・漫画作品、またはバイブルとなる作品はありますか。

木村：小学生の時はファンタジー小説が大好きでした。ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの作品が全部大好きで……亡くなったことが未だに受け止め切れていません。「クレストマンシー」は今現在もこの世界やこの世界ではない世界で様々な冒険をしてくれていると信じています。

彼女の作品はすべて子どものために描かれているファンタジーであり、子どもが痛めつけられることはありません。お子さんを読書好きにしたいのであれば、まずは彼女の作品から提供してはいかがでしょうか。

もう少し大人向けになりますと「バーティミアス（ジョナサン・ストラウド）」シリーズがお勧めです。バーティミアス以上に素敵な悪魔を私は知りません。

この作品は金原先生の訳、そして原文ともに最高に面白く、読み終えた後に映像化しない謎に顔を掻きむしりたくなることでしょう。

何度映像化の話が出てきては立ち消え、立ち消えては出てきて……令和の間に頼むから映像化してくれ頼むからと思っています。

最も好きなキャラクターは「サソリの神（キャサリン・フィッシャー）」シリーズに出てくるジャッカルという男性です。作品自体が最高に面白い上に、このジャッカルというキャラクターが、あまりにも魅力的すぎます。

こんなに色気と闇のある墓荒らしが許されるのか、しかも頭も顔もいいし、性格はちょっと悪い！　彼と結婚したいだけの人生でした。とりあえずジャッカルは一度履修していただけると幸いです。彼は確実に初恋を泥棒していきます。

あ、でもこれ全部レーベル違うどころか全部カドカワじゃな……ファミ通！　ファミ通はいいぞ！　

――アニメイトのお客様に一言お願いいたします。

木村：アニメイトにご来店もしくは通販サイトをご覧のお客様の皆さま、いかがお過ごしでしょうか。こんなはずではなかったのに、いつまでこんなことが続くんだろうと思うことも多々ある日々かと思います。

でも死んじゃ駄目だぞ。死ぬのは駄目だぞ。死ぬなよー。私が言いたいことはそれだけです。

あ、だめだめ。忘れてました。『魔王の右腕になったので原作改悪します』を買ってください！ そうすると編集の人が大変喜んでくれます。布教してください。よろしくお願いします。