声優
工藤晴香2ndミニアルバムインタビュー 表現者としての新たなる挑戦

勝ち負けは書きたくない。生きてる限りはいつだってスタートラインに立てる――工藤晴香さん2ndミニアルバム『POWER CHORD』に込めたメッセージ

今年3月に発表した1stミニアルバム『KDHR(読み:くどはる)』でソロデビュー。キャラクターとライブがリンクする次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』氷川紗夜役で、Roseliaのギター担当としても活躍する“くどはる”こと声優・工藤晴香さんが、10月7日に2ndミニアルバム『POWER CHORD』をリリースする。

前作に引き続き、全曲の作詞を工藤さん、作曲・編曲を平地孝次氏が担当。さらに、「KEEP THE FAITH」では初めてのラップを、「Magic Love」では共作で作曲に挑戦。きらびやかでヘヴィなロックサウンドのなかに、この半年で感じた想いと、表現者としての進化が閉じ込められている。制作の経緯などについて工藤さんに教えてもらった。

「未来は明るいはずなんだけど……言葉が出てこない!」

――前作から短いスパンで2ndミニアルバムがリリースされます。コロナ禍での制作と、いつもとは違う時間だったと思いますが、どのようなことを考えながら進んでいったのでしょうか。

工藤晴香さん(以下、工藤):ステイホーム期間だったので考えることは多かったです。今までは当たり前のようにライブやイベントがあって、ファンのみんなにも会う機会がたくさんあったんですけど、それが全て絶たれた状態だったので、自分の想い、ファンのみんなに向けての感謝を伝えたいという使命感のようなものがありました。

この時代を表現者としてどう進んでいくかという決意表明を、前作とは違った雰囲気で出すことができたかなと思います。

――表現者としての自覚は、この制作期間でより強くなったのでしょうか?

工藤:強くなりましたね。ただ、最初はなかなか言葉が出てこなかったんです。基本はずっとステイホームしながら曲を書いていたので、誰かと会って話をすることがなくて、ずっと部屋のテーブルのそばにいて、まわりはずっと同じ景色で。

楽しい人たちの表情、心の底から喜んでいる人たちの声が何も見えない上、外の世界で自由に羽ばたいている自分を想像できなかったんです。「未来は明るいはずなんだけど……言葉が出てこない! 困った!」って(笑)。

――そんななかで、どうやってインスピレーションを?

工藤:もともと映画、小説が好きなので、ひたすら映画を観て、小説を読んでいました。あと考え方を切り替えて。“今目の前で起きていること”も大事だけど、過去の楽しかったことを今起きていることのように書くこともできるなと思って。

ステイホーム中に、外で遊ぶ子どもたちの声が部屋に聞こえてきてたんですよね。「自分もそういう時代があったな」「自分が今小学生だったらどう遊んでるかな」って思い返して、子どものころの毎日が冒険だった気持ちを歌詞に書いたら面白いものができるんじゃないかなと。

――子どものころって外にいるだけで楽しいものですよね。何もなくても、自然と笑顔になってしまう。

工藤:本当にそうなんですよね! 何もない公園なのに無限に遊べて、わちゃわちゃしてるだけで楽しかったんですよね。落ちてる空き缶すら遊び道具になってしまう。そういった感覚を思い出しました。

――今作には、“テープ”や“ラジオ”、“影送り”など童心に返るような言葉が散らばっていますが、初心に戻るっていうのはひとつのテーマだったのでしょうか。

工藤:はい。“初めて”が全体を通してのテーマでした。

――そういったコンセプトは、平地さんともお話をされたのでしょうか?

工藤:歌詞に関しては特にディスカッションはしていないんです。サウンド面はめちゃくちゃ信頼しているので「お任せします!」という感じでした。

ひとつだけ、「ベースのスラップ」を入れてほしい!というのはお願いしていて。今回かなり入っているのでめちゃくちゃ満足です(笑)。

――工藤さんはベースの奏法にも興味があるそうですね。

工藤:そうなんです。前作も「スラップを入れて音をハッキリ聴こえるようにしてほしい」とお願いしていたんですが、1stミニアルバムはシンセを強めに押し出していたので。

今回はシンセもありつつ、よりバンドサウンドに近づいてます。楽器の音が一つひとつ聴こえるのが新鮮でした。

――前半はカッコいい曲が並んでいますが、特に2曲目の「ROCK STAR」はベースの重々しい音がバリバリ際立っていますね。バリバリって言い方も変ですけども(笑)。

工藤:いや、ほんとにバリバリです!(笑) 「ROCK STAR」は最初にデモをいただいたときはもっとゴリゴリだったんです。これは先に曲とメロがあったので後から歌詞を入れていきました。

――それぞれの曲にフックがあって、歌うのは一筋縄ではいかない印象があります。レコーディングはいかがでしたか?

工藤:難しかったです。平地さんの楽曲は、テンポチェンジも激しいですし、裏で歌っているところも多いですし、ノリも洋楽的ですし……平地さんご本人もおっしゃっていましたが難しいです(笑)。でも楽しいし、やりがいはありますね。

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