新世代のポップ・アイコン、ナナヲアカリ、TVアニメ『戦翼のシグルドリーヴァ』OPテーマはロックど真ん中で「君」を撃ち抜く

自分のなかでは新しい、決意の歌

──10月21日(水)に、TV アニメ『戦翼のシグルドリーヴァ』オープニングテーマ「Higherʼs High」をタイトルにした3rdシングルがリリースされます。OPが決まったときはどんなお気持ちでしたか？

ナナヲ：前回のインタビューのときにも「アニメが好き」というお話をさせていただきましたが、ナナヲはシリアスなものや、鬱展開が入っているような戦い系のアニメがものすっごく好物なんです。

『シグルリ』のオープニングが決まったときには、思わず「ドンぴしゃすぎ！」「これ、鬱展開不可避やん！」って(笑)。自分の好み全開のオープニングを飾れるということで、気合いがすごかったです。

──(笑)しかも冬アニメ『理系が恋に落ちたので証明してみた。』のエンディング「チューリングラブ feat.Sou」が異例のロングヒットを続けるなか、二作連続のアニメ主題歌に。

ナナヲ：本当にありがたいです。喜びすぎて“二作連続”ってことには言われるまで気が付かなくて(笑)。アニメのいち視聴者だった自分としては、今でも信じられないです。

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──ちなみに、ナナヲさんが好きなアニメをおうかがいしても？

ナナヲ：今聞かれてすぐ名前が出てくるのが『Fate/Zero』ですね。あと、リゼロ(『Re:ゼロから始める異世界生活』)も好きです。

──まさに『Fate/Zero』は舞台にも出演されていて、10月の公演を控えられている段階ですよね。

ナナヲ：そうなんです。まさに今稽古中なんです。

──まだまだ制限も多いとは思うのですが、久しぶりの舞台とあって「一緒に作る楽しさ」というものも、改めて感じる時間となりそうです。

ナナヲ：まさにその通りですね。昨日はナナヲの配信ライブのリハでスタジオに入ったところだったんですけど、みんなで集まって、ひとつの作品を作るという感覚はすごく久しぶりだから、本当に楽しくて。

──「Higherʼs High」の制作はどのタイミングで行われていたのでしょうか？

ナナヲ：『シグルリ』の放送がコロナの影響で遅れてしまったので、実は表題曲自体はかなり前にできていたんです。カップリング2曲はコロナ禍の最中に作っていきました。

夏アニメ『戦翼のシグルドリーヴァ』放送・配信が2020年10月へ延期。詳細な日時は、今後公式サイトで発表 https://t.co/5VZtKPA8L7 #シグルリ

— アニメイトタイムズ公式 (@animatetimes) May 22, 2020

──「Higherʼs High」はこれまでのポップでファンシーな印象を変えるような、疾走感あふれるロックナンバーです。どういったテーマの元で制作されていったのでしょうか。

ナナヲ：大前提として、観ているかたが「アニメとこの曲、すごくマッチしてるな」と思ってもらえることが大切だなと考えていました。

ナナヲ要素が多すぎてしまうと整合性が保たれないというか。自分もアニメが好きだからこそ、親和性がないのは絶対いやだなと思っていたんです。

アニメに寄り添うためにも、疾走感のある、カッコ良いナンバーにしたいなとナユタン(星人)さんと話していました。

主人公の女の子たちはこれから未知なる敵と戦っていくことになるだろうし、そのなかで大きな事件も起きるだろうし。そういった起承転結が、ナナヲアカリが歩んできた軌跡にも通じるところがあると思ったんです。ナナヲ自身もくじけやすい人間で、でもこの1、2年でポジティブな気持ちになることができるようになって。

だから今回は背中を押すというよりかは「私が連れていくよ、引っ張っていくよ」ってメッセージ性を込めたいなと思いました。

そしたら、ナユタンさんの新しい表情の曲があがってきて。「(ナユタンさんは)引き出しを一体いくつ持ってるんだろう？」と驚きました。

──冒頭から＜曖昧な まだ見えない明日にだって　君となら飛べるから。＞と高らかに宣言されていますね。＜痛みさえも強さにして　今日より遠い場所へ 羽ばたいていくよ＞という言葉が、ものすごく頼もしい。新しい景色を見せるから、という決意を感じることができます。

ナナヲ：この状況でも止まってないよって気持ちが顕著に表れたのが、「Higher's High」だと思います。自分が連れていく……というのは、自分のなかでは新しい、決意の歌だなと思っています。だからこそ、ポエトリー部分でも自分を奮い立たせるような言葉を選びました。

──その決意のなかに＜"ダメかも知れない"なんて見えない痛み抱える前に 前へ前へ君と＞という言葉がありますが、これは今のナナヲさんのなかの心にあるものですか？

ナナヲ：そうですね。というか、普段は"ダメかも知れない"って思いしかないですが(笑)。それしかない自分だからこその、奮い立たせるための言葉で。「いけるかもしれない！」って思えるほうが圧倒的に少ないんですよね。でもナナヲアカリのときはそう思ってちゃいけないなって。

──＜君がいてくれるから＞こそ、そう思いたくはないと。

ナナヲ：そうですね。聴いてくれる人にとっての＜君＞は、多種多様な方を思い浮かべていただければいいなと思っているんですが、ナナヲにとっての＜君＞は、ナナヲのことを信じてくれているファンのかたのことなので。

──＜君＞に決意を誓うようなこの曲を歌ったことで、ご自身のなかで変化はありました？

ナナヲ：自分とファンのかたの立ち位置を再認識することができたなと思っていて。

＜君＞がいたから＜私＞はいまここにいるけど、この現状で満足するのではなくて、もっともっと高くて、もっとステキな場所に連れて行く……使命というんですかね。

そういうものを再認識して。そして、とにかく早くライブがしたいなという気持ちにもなりました。

──表現者としての使命感というのは、前回お話を聞いたときよりもずっと強くなっているように感じます。ナナヲさんとしては、年々強くなっていってるのでしょうか。

ナナヲ：そうですね。信じてもらっていることで、生かされているような気持ちがあるんです。時間が経てば経つほど強くなっています。もう「裏切れないな」という気持ちですね。もちろん裏切る気持ちなんて全然ないんですが。ナナヲアカリのファンであることを自信を持って言えるようになってほしいなって。

──皆さん、“自信”を超えて、誇りを持ってると思いますよ。

ナナヲ：そうかなぁ(笑)。もしそうなら嬉しいです。

──レコーディングはいかがでしたか？

ナナヲ：ナユタンさんとはレコーディングを一緒にやって長いので、いつも通りスムーズな感じでした。歌は順調だったんですけど、楽器のレコーディングが大変でした。

手数も多いし、本来人力でやるような曲じゃないなって(笑)。でもいつも通り、えんじぇるズ(香取真人 (Gt)、かのーつよし (Ba)、タイヘイ (Dr))のみんなと一緒に作っていきました。

──ピコピコした音があるじゃないですか。あれもバンドで録ってるんです？

ナナヲ：そうなんです、だからみんな大変そうで(笑)。サイレンみたいな音でめっちゃカッコいいですよね。もともとはナユタンさんの打ち込みっぽい音色のものだったんです。

「でも、ギターで弾いちゃったらカッコいいよね」という話になって、「これだ！」という音色を見つけ当てて、ギターのカトリーヌ(香取)が見つけてくれました。

──すごい……！　歌は順調だったとのことですが、あのラストの転調部分はいかがでしたか？　あれを聴くと、すっごいライブに行きたくなるんですよねぇ……。

ナナヲ：そうなんですよね。あの部分は何回聴いても「これライブでやりたいなぁ！」って。そもそもサビが高いのに、ラストでまさかの転調するという展開で(笑)。

タイトル通り高く高くなっていき、どんだけ「Higher」なんだ！っていう(笑)。でも年々音域が上に伸びっているので、無事に歌えました。楽しかったですね。

──音域が「Higher」になってるという話もすごい。ところで(インタビューの段階では)アニメ放送はこれからなので、どういう映像がつくのか楽しみですね。

ナナヲ：私も楽しみにしているんです。戦いのシーンは特に疾走感のあるものになるんじゃないかなと想像しています。もう想像だけで感動できちゃう(笑)。多分、実際の映像を見たら感極まってしまうと思います。