少女時代の亜咲花さんと『ひぐらしのなく頃に』の出会い、そして──秋アニメ『ひぐらしのなく頃に 業』オープニングテーマ「I believe what you said」インタビュー/自身が手掛ける2曲に込めたエールとは?
“ありがとう”に込められた女の子ならではの感情
──3曲目「Last Friday Night」もメッセージ性の強い曲ですね。
亜咲花:こちらは「SCREEEAM!!!」とはまた違った別れを歌った曲になっています。ズバリ言ってしまうと“恋人と別れてしまった女の子”がテーマです。
この詞を書く時は、わりと誰にでも当てはまる詞の「SCREEEAM!!!」より、もっとターゲットを絞った“女の子を応援する曲”にしたいと思って。
今回作詞した2曲自体、自分のためというより、誰かのための歌詞なので、「Last Friday Night」では失恋した女の子に向けて「大丈夫だよ! 新しい将来が待っているからね!」と背中を押すような励ましソングになっています。
──歌詞は金曜の仕事終わりを思わせる内容になっていました。
亜咲花:そうなんです、この曲は花金(※)を舞台とした歌なんです。花金の素敵な夜に彼にフラレてしまい、その現実を受け止めきれない女の子がなんとか自尊心を保つために、相手を蔑み、その愚痴を友達に相談したら「じゃあ飲みに行こうか!」という展開になるのが2番の歌詞なんです。
※花金……土日休みの社会人にとってのその週の仕事終わりである金曜日のこと。仕事終わりに次の日のことを気にせず遊ぶことができる特別な日である。
──お気に入りの歌詞はありますか?
亜咲花:歌詞の締めくくりの<どうもありがとう!>です。1番では別れてしまった彼に「こんないい女を逃すなんてもったいない」「こんなに可愛くしてくれてむしろありがとう」みたいに彼に皮肉を込めて開き直った心境を。2番では一緒に騒いでくれた友達に対する「こんなに楽しくしてくれてありがとう」という感謝の気持ちを。
そして最後は、休みが明けた月曜の夜に「やっぱり寂しい」と素に戻ってしまった自分の心にけじめをつけるように「これまで愛してくれてありがとう」と、無理やり言い聞かせて次のステップに歩みだす様子を表しています。ちょっと切ないけれどいろいろな“ありがとう”を込めているんです。
でもこの感情を歌声で表現することがすごく難しくて。わざと息が詰まったように歌ったり、楽しそうに口角を上げて歌ったりもしました。その結果、一つひとつの表情で音の響き方、聞こえ方が変わるんだと勉強にもなって。同じ<どうもありがとう!>だけど、それぞれ意味が異なるという挑戦的な歌詞なので、ぜひ注目してほしいです。
──“ありがとう”で様々な感情を表現する上に、各サビ終わりをその一言で締めるのもまた大胆な試みですね。
亜咲花:だいぶ攻めました! “ありがとう”って、歌うととにかく伸ばし棒が多く、“う”を発さない“ありがとー”もありますし、あえて“う”を残す場合もありますし。いただいたデモと歌い方をわざと変えたり、“ありがとう”にものすごくこだわりを詰め込みました。
最初はこういった失恋ソングの歌詞を書こうと思ったとき、女の子ならではのちょっと嫌味っぽかったり、見栄を張りがちな心の内や行動を歌詞に詰め込みたいと思って。そこで<どうもありがとう!>を嫌味っぽく言ったら「強がってる女の子って可愛いな」と思ってもらえると感じて。
そこから3箇所に<どうもありがとう!>を入れたら「この曲、かなり攻めてるんじゃない?」と感じ、そこからどんどん歌詞が思いつきました。そんな一番最初に決まったセンテンスという意味でも<どうもありがとう!>は印象深いです。
──サビの最後だけ決めて、そこから歌詞を考えられたんですね。作詞する上では珍しいパターンなのでしょうか?
亜咲花:かなり珍しいです。いつもだったら頭からだったり、サビの頭からつくることが多く、それがポピュラーな作詞の方法でもあるんじゃないかなと。サビの最後から決まることは自分にとって初めてだったので、新たな発見にもなりました。
──歌詞には、女の子ならではの嫌味っぽさなどが表現されていますが、男性が読み解くには少し難しいかもしれませんね。
亜咲花:ちょっと難しいかもしれないです(笑)。でも、私自身よく女の子の相談にのるんですけど、決まって1番の歌詞のように彼氏の愚痴から始まり、結局最後は「やっぱり別れたくなかった」というオチになるんですよ(笑)。この曲ではその流れが上手く表現できていると思います。
失恋したことの実感って、友だちと遊んで一旦は忘れるけど、ひとりになって自分と向き合う瞬間にやってくるんですよ。大体、3日後くらいにくるみたいです。
──3日なんですね。
亜咲花:人によるとは思いますが、すぐに実感が湧かないみたいです(笑)。友達も最初は元気だけど、後々「やっぱり無理……」と連絡がきたり。そういう周りの人の経験からインスピレーションを得て、そこから想像で歌詞に落とし込みました。
──よく相談されるからこその歌詞ということですね。
亜咲花:今までは自分のプライベートや想像から歌詞を書いていたんですけど、今回は人の経験を元に、ターゲットも絞っていて。初めてのことでしたが、こんなに楽しいんだと気づくことができました。誰かに向けて書いた歌詞が誰かの心に刺さって救えることができたら嬉しいです。
──最後にCDの発売を楽しみにしている方、『ひぐらしのなく頃に業』を楽しんでいる方へメッセージをお願いします。
亜咲花:ビッグサプライズという形で私がオープニングテーマを担当することが発表されたかと思います(インタビューは第2話放送前に実施)。視聴者がどんな反応をしてくれるのか、そしてアニメがどんな展開になっていくのか、いちファンとしてもとても楽しみです。
CDはコテコテの1枚に仕上がっていますので、ぜひ何度も繰り返して、歌詞の意味を読み取ってもらえればと。今回のインタビューではあえてお話していない部分もあるので、曲を何度も聴いたり、歌詞カードを見たりして発見してもらえれば思います。私が意図していない発見もあるかもしれないので、ぜひ発売を楽しみにしてください。
──ありがとうございました。
[取材・文/MoA]
リリース情報
「I believe what you said」
10月14日発売
※初回封入特典(DVD盤付、アニメ盤共通)
亜咲花オリジナル生写真(プリントサイン入り)※全5種類のうち1枚をランダム封入
【DVD付盤(CD+DVD)】
品番:USSW-0270
価格:¥2,200+税
※初回生産分限定ランダム封入:亜咲花直筆サイン入りCD(盤面に本人サイン)
※亜咲花撮り下ろしジャケット
※DVDにはMusic Video、メイキングを収録
【アニメ盤(CD)】
品番:USSW-0271
価格:¥1,600+税
※TVアニメ「ひぐらしのなく頃に 業」キャラクターデザインを手がける渡辺明夫による描き下ろしジャケット
<CD>
1.「I believe what you said」(TVアニメ『ひぐらしのなく頃に 業』オープニングテーマ)
作詞・作曲:志倉千代丸 編曲:悠木真一
2.SCREEEAM!!!
作詞:亜咲花 作曲/編曲:Yocke
3.Last Friday Night
作詞:亜咲花 作曲/編曲:Johnny.k
4.I believe what you said -off vocal-
5.SCREEEAM!!! -off vocal-
6.Last Friday Night -off vocal-
<DVD>
「I believe what you said」Music Video、メイキング
作品情報
TVアニメ『ひぐらしのなく頃に 業』
スタッフ
原作:竜騎士07/07th Expansion
監督:川口敬一郎
シリーズ構成:ハヤシナオキ
キャラクターデザイン:渡辺明夫
音楽:川井憲次
プロデュース:インフィニット
アニメーション制作:パッショーネ
製作著作:ひぐらしのなく頃に製作委員会
キャスト
前原圭一:保志総一朗
竜宮 レナ:中原麻衣
園崎魅音:ゆきのさつき
北条沙都子:かないみか
古手梨花:田村ゆかり
他
テレビ放送
2020年10月1日(木)より TVアニメ放送開始:
TOKYO MX:10月1日より毎週木曜23:30~
BS11:10月1日より毎週木曜23:30~
サンテレビ:10月1日より毎週木曜24:30~
AT-X:10月2日より毎週金曜24:00~
リピート放送:毎週(日)26:30/毎週(月)16:00/毎週(木)8:00