劇場アニメ『WAVE!!~サーフィンやっぺ!!~』公開記念企画!秋月ショウ役 小笠原 仁さん×プロサーファー 大橋海人さん対談|それぞれの立場から見たお互いの世界とサーフィンの魅力
大橋さんが語るサーフィンへの想い
――大橋さんのインタビュー記事で「自然に委ねる部分が大きいスポーツ」とおっしゃっていましたね。
大橋:自然相手なので、ベストと思う自分のやり方がいつもフィットするとは限らないので、常に今、来た波にどうアプローチするかが重要で。いかに波に合わせたり、見極められるかが大切なのかなと思います。
――あと「勝つよりも観客を楽しませたい」という発言も。
大橋:サーフィンの歴史の中にはたくさんの勝者がいるけど、その中でどれだけ印象や記憶に残せる人っているんだろうって。
だから勝っても負けても印象に残る競技や技を見せられたらいいなと思って、小さい頃から追い求めてやってきました。だから映像を撮影して、YouTubeなど世界中のたくさんの人に見てもらおうという活動もしています。
▼大橋さんのYouTubeチャンネル
小笠原さんのサーフィン初挑戦の感想は?
――小笠原さんは実際にサーフィンをしてみてどう思われましたか?
小笠原:難しかったですね。最初にやってみて、普段、海で遊んだり、泳いだりする時には意識していなかったけど、成人男性をのせたボードをこんなに力強く押すエネルギーが波打ち際でもあるのかと感じた時は衝撃的でした。
最初は鵠沼海岸で、あまり波が立っていない日でタイミングが悪かったねという話をしていたけど、それでもボードに立った時に後ろから押される力がすごくて。
やる前はスイ~と動く歩道みたいに行けるのかなと思っていたら、自分でしっかり体幹を保っていないとつんのめって落ちてしまうくらいのエネルギーを感じて、こういう世界でサーフィーの人は戦っているんだなと。
更にプロの人たちは小さなボードで、いろいろな技を決めたりするわけじゃないですか?
大橋:一緒にやりたいですね。
小笠原:それはヤバいです!(笑)
大橋:サーフィンって自然を相手にするスポーツなので、奥が深いんですよね。自分でもまだ見られない世界がいっぱいあるし、奥に行けば行くほどハマっていくので、小笠原さんにもぜひ奥まで行ってほしいですね。
小笠原:僕ももっと、より深く知りたいなと思いました。あと波待ちで沖を見ていると、そんなに遠くから波が起こるんだとわかった時の驚きも大きかったです。
それまでは砂浜際くらいに波が起きている感覚だったので、インストラクターの方に「もっと遠くを見てください」と言われて、「そんな遠くを見ても……あっ、あんな遠くから波が!」って。
これも楽しみやロマンの1つなんだろうなと思いました。例え波にのれなくても、波待ちしている時間は楽しかったです。
大橋:自分も波がなくても海の中にいるほうが好きです。陸のほうが苦手です。
小笠原:もう人間ではなく、両生類みたいですね (笑)
大橋:彼女と一緒に海に行った時、波がなくて入れないと自分の様子もどんどんおかしくなってきて、イラついてきて。そうすると彼女から「1回海に入ってきなよ」と言われて、海に入ってくると心がおおらかになって戻ってくるという。
一同:(爆笑)
大橋:禁断症状みたいなものかもしれません。「水が欲しい」って(笑)。
大橋さんが一番印象に残っているライディングやトリックは?
――せっかくなので小笠原さんから大橋さんにお聞きしたいことはありますか?
小笠原:何千回、何万回と波にのってきた中で、一番あの時のライディングはよかったなと印象に残っていることはありますか?
大橋:ありますね。常に更新されていますが、直近だと去年、インドネシアでやった技が印象に残っていて。玄人受けしそうな技の中でいいクオリティの技を映像に残すことができたのが嬉しかったです。
それができたから今度はその上を行けるようにと考えて、チャレンジするし、限界がないんですよね。自然相手なので、波のクオリティと自分の技のクオリティがマッチすることはなかなか難しいけど、マッチした時にすごいことができると思って、どんどん追い求めるんです。
小笠原:カッコいいですね。
大橋:実際、インドネシアでのライディングは全部がうまくハマった気がして。
小笠原:波のコンディションや自分のコンディションとかいろんな要素があるんですね。
いい場所を求めて未開の地も散策。ドキュメンタリー映像は小笠原さんのアテレコを希望!?
――自然は一定のコンディションではないからこそ、すべてがかみ合うことは奇跡なんですね。
大橋:それだけではなく、映像に映る時のアングルとかも大切で。自分をフィーチャーするのではなく、アートの中に自分がいるという映像を目指しているので、後ろにある波をどう映すかとか、どんなアングルで撮影するのがベストなのか、常に試行錯誤しています。
カメラマンも崖の上からの撮影で、森の中にカメラマンを降ろしてから、30分くらいパドルでシークレットと呼ばれる場所に行って。カメラマンの位置を確認してから波にのります。その時、カメラマンの後ろを猿の大群に通って怖かったと言ってました(笑)。
小笠原:ファンタジーみたいな世界じゃないですか? すごいですね!
大橋:誰もまだやっていない場所を地図アプリで探して、地形を見て波が立ちそうだなと思ったところに車で行ったり。
小笠原:現地の人に聞いたりするんですか?
大橋:いれば聞きますけど、例えば日本でも未開の地を探して、変な場所に車を停めて、茂みをくぐって海を見つけて、「ここ、できるじゃん!」と。
そういうのが好きだし、サーファーの人もそうなんじゃないかな。波があるところを求めて、茂みをかき分けて見つけたところがポイントになっていることも多いし。僕もその原点に戻りたいなって。
小笠原:ドキュメンタリーにしたらおもしろそう。
大橋:じゃあ、そのドキュメンタリーの声を小笠原さんにやっていただいて。
小笠原:(いい声で)「ここはサーフィンできないね。次のポイントに行こう」とか。でも何で大橋さんだけアテレコするんだって(笑)。
大橋:でもおもしろそうですね。ぜひお願いできたら(笑)。