声優・麻倉もも 8thシングル「僕だけに見える星」インタビュー|2ndアルバムを振り返りつつ、ニューシングル、Live 2020 "Agapanthus"に向けての意気込みを語る
声優・麻倉ももさんが今年4月にリリースした2ndアルバム『Agapanthus(アガパンサス)』は、彼女の表現力の幅広さを見せた作品でもあったが、それを引っさげてのツアーは新型コロナウイルス感染拡大により残念ながら中止になってしまった。ただ、そのライブも、『LAWSON presents 麻倉もも Live 2020 "Agapanthus"』として11月14日(土) 15(日)に幕張メッセイベントホールで開催することが決定。そこでは、まだ聴けていなかったアルバムの楽曲を聴くことができるはずだ。
さらに、ライブの直前の11月11日には、ニューシングル「僕だけに見える星」をリリースする。インタビューでは2ndアルバムを振り返っていただきつつ、シングルの楽曲についてもたっぷり語ってもらった。
いろいろな人の背中をそっと押す、寄り添えるシングルにしたい
――最初からツアーのお話で申し訳ないのですが、中止になってしまったときは、やはり悔しさもありましたか?
麻倉ももさん(以下、麻倉):そうですね……というよりは、開催されるか分からない状況だったので、どうなるんだろうという、その先のことが不安になっていました。どう変わっていくんだろうって。少しずつですけど、衣装を作ったり、セットリストを決めたり、リハーサルをしたりと準備には取り掛かっていたので、あれ……? って。
もしかしたらできるかもしれないという状況でもあったので、ライブができないかもしれないけど練習はやるみたいな。本気なんだけど本気になれない変な状況が、自分の中では長かったのかなって思います。
――それが、11月14日、15日のワンマンライブで見せられることになったのは、うれしいことではありますね。
麻倉:2ndアルバム『Agapanthus』の曲を、まだ皆さんに届けられていなかったので、自分の中で、どこか一区切りついていない、ふわふわとした状況だったんです。リリースイベントもやれていなかったですし。だからここでやっと一区切り付けられるのかなと思いますし、聴きたいですという声もたくさんいただいているので、楽しみですね。
――『Agapanthus』は、すごく良いアルバムで、麻倉さんのいろんな魅力が感じられる作品だと思うんです。ライブ前に、アルバム曲について少し振り返っていただきたいのですが、絞れないと思うので、まずは個人的な感想として「今すぐに」と「Agapanthus」が、表現という面でハッとした曲でした。
麻倉:アルバム全部の曲に思い入れはありますが、確かにその2曲の存在は大きかったと思います。「Agapanthus」に関しては、私が渡辺翔さんの楽曲が大好きだったので、初めて自分から指名をさせていただいたんです。
私の曲は、分かりやすく元気でポップなかわいらしい世界観が多かったんですけど、この曲はかわいらしい雰囲気も残しつつ、不思議な感じもあって、歌い方もトリッキーだったので、こういう曲を歌うのは初めてだなという感覚はありました。ただ、トリッキーな中にも私が落とし込みやすいように作っていただきましたし、何度も聴いていいなと思うスルメ曲だな!って思いました。
――ウィスパー気味のところがあったり、麻倉さんの声の魅力、全部入りだなと思いました。「今すぐに」はそれとは別の大人な表現力があって、心にグッと来る感じでした。この曲の思い出というと?
麻倉:渡辺翔さんにお願いしたいと私が言ったときに、やろうやろうと良い方向に進んでいったので、これは私から言ったら行けるのかな?と思ったときがあって(笑)。私が大好きなシンガーソングライターの藤田麻衣子さんとご一緒できたりします?と、ちょっと聞いてみたんです。そうしたら動いてくださって、願いが叶ったんです!
直接藤田さんにお会いして、どういう曲が好きなのかとか、歌詞の方向性などをたくさん話す機会をいただけたんですけど、こんなにがっつり相談をして作ってもらったのは初めての経験だったので、私の中でも大きなことでした。ただ、大好きな方だったので、緊張して何を話したか細かく覚えていないんですけど(笑)。
この曲でMVも撮っているんですけど、それも「絶対にこの曲は、生のストリングスにしましょう!」とスタッフさんとお話したところからなんです。それだったらMVも撮ろうよと、トントンと話が広がっていきました。会いたいけど会えないというようなことを歌った曲なので、あの頃の状況とも重なって思い入れがすごくありますね。
――自身のボーカルについてはどうですか?
麻倉:低いし高いしで苦戦はしたんですけど、事前のお話で、どの音が出やすいのかなど、技術的なところも聞いてくださったので、私が入り込みやすい世界観だったというのはもちろんですけど、技術的なところも考えてくださったのかなと。だからそこは藤田さんの力も大きかったです。
――すごく切なくなる良い曲でした。その他に、ライブを意識した曲など、バラエティに富んだ作品だったので、振り幅のある曲を何曲か紹介していただけますか?
麻倉:「秘密のアフレイド」は、初めてと言っていいくらいのロックでカッコいい曲で、声質的にどうなのかな?と思ったんですけど、「意外とこういう曲も行けるね」と(スタッフさんに)言われたことが嬉しかったです。リリース後もファンの皆さんのリアクションがすごく多くて、こういう曲を私の声で聴きたかったんだ!って、一番驚いた曲でした。
「Twinkle Love」は、「Agapanthus」でささやく部分がありましたけど、がっつりウィスパーで歌うのはやったことがなかったので楽しかったです。レコーディングの仕方も違っていて、限界までマイクに近づいたり、マイクを3~4回替えて検証しながら録ったりしました。マイクで全然違うんだなぁということも学んだ曲でしたし、声を聴かせるというのも、声優ならではなのかなと思いました。
――アルバムは恋愛の曲が多いですし、ライブ前にまたたっぷり聴いてほしいですね。そして、シングル「僕だけに見える星」がライブ直前にリリースされます。これまでとは少し雰囲気が違う作品になりましたね。
麻倉:先ほどお話した通り、自分の中でアルバムに一区切りつけられていない、ふわふわした状況の中での「シングルを作りましょう」という話だったので、今歌いたいもの、やるべきものは何かというのはすごく考えました。
これまで恋の歌を多く歌ってきたんですけど、今回はいろいろな人の背中をそっと押してあげられるような、寄り添ってあげられる方向のほうがいいのかなと思ったんです。