アニメ映画『羅小黒戦記（ロシャオヘイセンキ） ぼくが選ぶ未来』ムゲン役・宮野真守さんインタビュー｜シャオヘイが近づいてきてくれたときに見せるムゲンの笑う顔が大好き

精神力の強さを感じる“ムゲン”

――ご自身が演じるムゲンについて、どのような印象を受けましたか？

宮野：映画を観ていただけると、皆さんに自分の存在意義や使命を全うしている男だと感じてもらえると思います。

人間と自然（妖精）との共存が難しい中で、“なぜ彼のその立場で自分の為すべきことをまっすぐ追求できるのか”という部分に彼の人間性が表れていますし、自己犠牲を感じる部分もあって。

共存という意味での平穏を求めているので、そこを全うできる彼の精神力の強さを感じていただけると思います。

そして、この映画の中で特徴的なのはシャオヘイという存在です。ポリシーだけじゃないムゲンの本質的な感情みたいなものはシャオヘイによって垣間見ることができると思います。

――シャオヘイとのやり取りはクスッとするシーンもあり、ムゲンもいつもより素が見えているような気がします。

宮野：シャオヘイ自身が純粋無垢なので、ただ単純に間違ってほしくないという親心というか。純粋無垢であると同時に、非常に稀有な素質を持ってしまっている子なので、今後、いろいろな矢面に立たされる存在になり兼ねません。

そんなシャオヘイをどうしてあげたらいいのかをムゲンは考えますし、その先にある平穏も大事にしている。無口で考えが外に見えないムゲンの中でも、シャオヘイに会うことによって、いろいろな想いが巡る部分は、映画を通して皆さんにも感じてもらえると思います。

――また、本作ではシャオヘイとムゲンの関係性も見どころの1つでもあります。

宮野：シャオヘイの存在は日本語版の副題である“ぼくが選ぶ未来”が非常に物語っていると思います。シャオヘイは本当に幼いですし、まだ経験が少ない、いろいろなことを知らない何者でもない中、ただ素質や資質は持ってしまっているんです。

いずれはきっと矢面に立たされる存在であることは、ムゲンも一緒にいる中でだんだん気づいていきます。

資質があると、きっといろいろな運命に翻弄されることになってしまうので、ムゲンとしては彼に道を間違えてほしくないと強く願いました。

シャオヘイは本当にまっすぐで純粋で、でも寂しさも抱えていて、自然と人間が持つ普遍的なテーマの中で自分の居場所を追われてしまって……。

そこで人間に対してちょっと嫌な感情を持ってしまっている中、彼が何を選んでいくべきなのかということをムゲンは導いてあげたい、善悪を間違えないでほしいと強く思うようになるんです。

――ムゲンは人間でもあり、妖精側に近い存在でもあるという意味で、人間と妖精のどちらの気持ちもわかる難しい役所だったのではないでしょうか。

宮野：特殊な世界設定ではあるので難しく感じるかもしれませんが、「立場」を意識したときに彼が目指す道はハッキリしているので、そこがブレることはありませんでした。

むしろ、シャオヘイという存在に対して周りが動かされる物語なので、難しさというよりもこの映画の中での運命に身を任せたというところがあります。