【BLのことさらに知ってみませんか?】オメガバースの基本知識からBLの時流に乗ろう!の巻 【アニメイト編集部BL塾・応用編】
「オメガバース」の基本知識
石橋:今回は前回と比べるとかなり踏み込んでいるので、ちょっとドキドキしています。
阿部:石橋さんは「オメガバース」をご存知ですか?
石橋:仕事でちょっとお試し読みを読んだことがあるくらいなので、足も踏み入れていない感じです。
阿部:かしこまりました! まず「オメガバース」とは、BL作品における特殊設定の一つです。後で詳しくお話しますが、海外の二次創作BLから設定が誕生しているため、作品によって特徴が微妙に異なります。本講義では、どの作品にも比較的共通している特徴をもとにお話を進めていきます。
石橋:お願いします!
阿部:「オメガバース」作品で必ず共通している“第二の性”について。ここで石橋さんに問題です!「オメガバース」の世界観には、男と女の性別以外に“第二の性”として3種類の性別が存在します。なんという名称でしょうか?
石橋:おっと、きた!(油断してた……)「オメガ」がいるのは知っています! あとは数学の問題みたいな文字だった気が……。
阿部:ヒントは、数学の教科にもある文字ですね。
石橋:あ、そうそうそう! 一つは「アルファ」だ。ときたら、「ベータ」ですか?
阿部:正解です! さすが! 「オメガバース」世界の登場人物は「男性」「女性」に加えて、“第二の性別”として「アルファ(α)」「ベータ(β)」「オメガ(Ω)」どれかの性別を持ちます。
阿部:作品によって異なりますが、アルファは性器に特徴があります。性交時に抜けにくくする機能を果たすため、陰茎の根元にノット(亀頭球)と呼ばれる部位が描かれることも。
続いてベータはとにかく全てにおいて普通の人間です。
阿部:最後にオメガ。生まれ持った体質の影響で不憫な性別として描かれることが多いです。
石橋:男性のオメガは女性器があるわけではない?
阿部:お尻の穴(直腸)に子宮が繋がっているという特殊な設定です。“第二の性”における身体的な特徴を表にまとめてみたのでご覧ください!
阿部:そして、“第二の性”は人口の割合が決まっていて、その中で社会階級が存在します。
阿部:アルファは生まれ持ったカリスマ的な資質から社会的地位の高い人間が多い一方、オメガは特殊な体質の影響から社会的地位が最も低く描かれます。こういった社会的地位の背景により、人口の最も多くの割合を占めるベータは、アルファに対して憧れを抱き、オメガに対して偏見を持つことが多い印象です。
石橋:なるほどね。複雑な設定だな……。
オメガさんの「発情期」って具体的にどんな症状が出るんですか?
阿部:作品によりますが、比較的多い設定はこんな感じです。
石橋:オメガさん、めちゃめちゃ生きづらいじゃないですか……!
阿部:なので、一応社会的な救済措置として「抑制剤」がオメガバース世界には存在します。
石橋:なんかちょっと怖いですね。結局生きづらいまま……。
阿部:ところがですね、これまたオメガバース世界で共通の特徴である「番(つがい)」がオメガを幸せに導いてくれることも。
石橋:はいはいはい。聞いたことがあります!
阿部:アルファとオメガにのみ発生する特別な関係「番」になると、オメガの発情時には番関係となったアルファにのみフェロモンが効くようになります。
石橋:どうやったら「番」になれるんですか?
阿部:多くの場合は、オメガの発情時に「アルファがオメガのうなじを噛む」ことで番になります。作品によっては「発情時+性行為(射精の瞬間)」の場合もありますが、タイミングが難しそうだなと個人的に思っているところです。
また、運命の赤い糸のようなもので出会った瞬間に惹かれ合うアルファとオメガを「運命の番」または「魂の番」と呼びます。瞬時に運命の番だと理解し、相思相愛になります。
石橋:なんだか、急にすごくロマンチックですね!
実際にいろんなオメガバース作品の表紙から獣人要素が強そうと感じていたのですが、特徴を聞くとより動物的だなと思いました。一方で、トレンディドラマのような展開もある。おもしろいですね。