声優/アイドル・久保田未夢へ21個の質問をぶつけてみた|初のデジタル写真集「片道切符」発売記念独占ロングインタビュー【後編】
2020年12月25日。令和2度目のクリスマス。声優アイドルの久保田未夢さんが自身2冊目の写真集となる「片道切符」を発売した。
テーマは「2人だけの箱根旅行」。1枚一枚の写真から身近にいるはずなんだけど、決して手が届かない...。そんな久保田さんの魅力がたっぷりと詰まった初のデジタル写真集の発売を記念して、アニメイトタイムズは前後編にわたる独占インタビューを行った。
後半となる今回は、久保田さんと「ラブライブ!」についてや声優アイドルについてなどを訊いた。
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□久保田未夢 デジタル写真集「片道切符」発売記念インタビュー前編
久保田未夢とラブライブ!について
――顔は作っているのに(笑)。では、声優のお仕事についてもお伺いしたいと思います。『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』についてもお聞かせ下さい。久保田さんのラブライブ!シリーズへの参加はいろんな方がビックリしたと思います。
久保田:あたしが一番ビックリしました(笑)。「あたしでいいんですか!?」と。
――あれはオーディションだったのでしょうか?
久保田:オーディションです。
――なぜ受けようと思ったのでしょうか?
久保田:声優って基本的に自分から「この作品のオーディション受けたいです」と言ってやらせてもらえることって、ホントになかなかなくって。事務所からオーディションの連絡あって受けることがほとんどなんです。
今回の『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』もそうで、連絡があって「受けましょうね!」とスケジュールにでかでかと書かれ、「はわわわわ」となりながら受けました(笑)。
でも、仮に「受けますか?」という風に自分に選択肢があったとしても、受けたと思います。『ラブライブ!』という作品も知ってましたし、アニメやゲームが好きだったというよりかは、キャストの方とお仕事をご一緒させていただくことが多くて、μ'sの方とは、ほぼほぼ全員とお仕事させていただいてました。
そらまる(徳井青空さん)さんとは特に仲がよくて、μ'sとしてバリバリ活動されている時期に一緒にお仕事をさせていただく中で、キャストさんたちがすごく大事にされている作品ということを知って。尊敬している先輩方が大事にしている作品の世界に私も入りたいな、と思って、気合を入れてオーディションを受けましたね。
――並々ならぬ思いがあったんですね。受かったときはいかがでしたか?
久保田:「エエーーーー!」って思いました。
一同: (笑)
久保田:みんなも「ええーー!」って思っただろうけど、私が一番思いましたね(笑)。もともとこの作品って、私の中では新人で、フレッシュさが大事みたいなイメージがあったので。これ受かったときなんて、i☆Risも5、6年目でフレッシュさの欠片もないんですよ(笑)。
そんな状態なので「う、受かっちゃったよ」と。でも、本当に嬉しかったです。このチャンスを逃したら、もう『ラブライブ!』という作品に関わる機会はないだろうな、と個人的に思っていたので。
そのチャンスを掴めて嬉しいなって思いつつ「まあでもみんなビックリすんだろうな」と(笑)。
――そりゃあビックリしますよ。
久保田:誰にも言ってなかったんですよ。『i☆Ris』のメンバーにも先にわざわざ言うことないじゃないですか。まあビックリしただろうし、ファンもビックリしただろうし。私も一番ビックリしたという。
――活動してみていかがですか?
久保田:
応援してくださる方がいるからこそ活動が増えたと思うので、ありがたいですね。
活動の機会が増えれば増えるほど、自分が演じるメンバーをよりいろいろな方に知ってもらえる、好きになってもらえるのであれば、頑張りたいなと思ってます。
――久保田さん演じる朝香果林についても伺えればと思います。先ほど話された作品への思い入れの深さからも、特別な存在になっているのではないか、と思います。
久保田:そうですね。1クールで終わってしまうアニメだと、ホントに3か月のお付き合いになってしまうんですけど、ありがたいことにゲームとかアニメとかいろんな活動があって、実際にライブもやらせていただいて。
ラブライブ!シリーズはライブパフォーマンスで背負う映像とのリンクにすごくこだわっているので、演じる時もよりメンバーについて深く知ろうと思いながら収録したりしますね。ここ数年で、自分の中で思い出深い存在になってますし、これからも「愛してあげてください!」と思えるメンバーですね。
――『プリパラ』や『プリチャン』、『ニジガク』など、久保田さんのステージをいくつか拝見させていただいてますが、本当にキャラクターによって全然表情や歌い方、声質、立ち居振る舞いなどそれぞれのキャラクターで全く違う印象があって。
久保田:ありがたい。嬉しいです。
――久保田さんはどんな意識を持って演じ分けされているのですか?
久保田:(少し考えて)なんだろう...?
最近は全然出演してないんですけど、一時期、舞台にたくさん出させていただいた期間があって、1年で3〜4本やっていたんですけど、それがたぶん反映されているのかなって思います。
舞台はアニメのアフレコとかとは違って、体全身、動きからその役になるじゃないですか。それがキャラクターとしてステージで歌うこととけっこうリンクしているな、と思っていて。
「自分は声優で、声だけそのキャラクターになればいい」というスタンスも私は別にすごくありだと思っているんですけど、私が実際にお客さんとしてライブに行ったら、その子がそこに“いる”って見えたほうが嬉しいじゃないですか。オタクとして。
なので、2年くらい舞台をやらせていただいた中で、いろんな舞台役者の方を見て「ああやって動きを大きく見せるんだ」という風に勉強させていただきました。それを自分がキャラクターとしてライブするときに落とし込んでるって感じですかね。
――舞台で学んだことがパフォーマンスに表れているんですね。
久保田:そうですね。自分の中では、キャラクターライブに出るときはライブステージというより舞台をやってる感じです。
舞台では自分の素を出さずに一切を消して演じているので、それをキャラソンライブでやってる感覚ですね。
――ステージで見せる、まったく別人のような巧みな演じ分けにはそういう背景があったんですね。
久保田:2年ぐらいの期間で、舞台で活躍する方や、TVに出演されてる方だったり、ホントにいろんな役者さんにお会いできました。いろんな人の役作りというか、数か月の期間でその役に“持っていく”という過程を見て勉強できる期間だったので、すごく役立ってるなって思います。
――ちなみに...久保田さんにとって、「役を演じる」とはどんなことでしょうか?
久保田:「役を演じる」とは? 深いですね……。「別の人の人生になる」ですかね。私が演じている子って全然私とは違うタイプの子が多くて。『プリパラ』のそふぃや『ニジガク』の果林ちゃんみたく、お姉ちゃんで、クールで、というように、誰かの憧れの対象になるような子だったりするんですよね。
自分の人生でそうなるのって、今からじゃめちゃめちゃ難しいというか、何年かかるんだろうと。性格変えなきゃみたいな感じなんですけど(笑)。
でも、役になればその子の人生を短い時間とはいえ味わえるじゃないですか。それがすごく楽しいなって思いますし、自分の考え方と違って、「あ、こういう考え方もあるんだ」と発見させてくれることでもありますね。
やっぱりポジティブな役をやれば、自分の考え方もポジティブなほうに引っ張られるだろうし、「自分の人生の幅を広げてくれるなあ」といろんな子を演じるごとに思います。
――この役をやったから、それ以降こういう気持ちになれた、みたいなことはあったりしますか?
久保田:ありがたいなって思ったのはやっぱり、『プリパラ』の北条そふぃでしたね。声優としての分岐点にもなりましたし。
『プリパラ』が始まったのって、たぶん『i☆Ris』が活動し始めて2年目くらいだったんですけど、それまで私はグループでのライブしかしたことがなくって。小さいステージでもなんでも、ひとりで立って、歌って踊るということをしたことがなかったんです。
他のメンバーは定期ライブの企画とかで、ソロでアニソンカバーなどやってたんですけど、私は一切ひとりでライブパフォーマンスをしたことがなくて。なので、初めてひとりで歌って踊る、ということをしたのがそふぃのキャラソンだったんです。
『i☆Ris』全員が作品に出ていたんですけど、ありがたいことに最初にソロ曲があったのってそふぃで。デュオやユニット曲はあったんですけど、ソロ曲があるのはひとりだけで、それが私になっちゃったので「どうしよう!?」みたいな(笑)。
でも、「やれないです」なんて言えないし。最初に披露したのはリリースイベントで、簡易ステージみたいなところで数曲やった中で、初めてひとりでライブパフォーマンスをしたんですけど、「ひとりで歌って踊るのってこんなに楽しいんだ!」って思わせてくれたのはそふぃだったんです。
――キャラクターから楽しさを教えてもらったんですね。
久保田:そこで自分の考え方が変わったというか、「ひとりもこんなに楽しいんだ」と思わせてくれました。
――もしその経験がなかったら、いろいろなことが変わってしまいそうなほどの、転換点だったんですね。
久保田:状況が違っていたかもだし、そふぃじゃなかったら最初の一年くらいはチーム曲しかなかっただろうしで、この感情をいち早く経験させてくれたそふぃにはホントに感謝です。
――では、続いての質問なのですが、「声優アイドル・久保田未夢」の強みはどんなところだと思いますか?
久保田:私の強み、え~、なんだろう? 自分で言うの恥ずかしいですね(笑)。
(じっくり考えて)いや、いいのかは分かんないんですけど、半分ファンと友だちみたいになっちゃうところですかね。
――なるほど(笑)。
久保田:自分自身もオタクですし、高校、大学の計7年間理工学系に通ってたのもあって、、ライブに来るようなファンの方が身近にいる期間が長かったというか(笑)。
ライブだとアイドルアイドルしてますけど、握手会とかは全然そういうタイプじゃなくて「おう!」みたいな感じで(笑)。そういうくだけた感じで喋れるからこそ、ファンも気楽に接してくれるのかな、と。
ファンの方も、初めは「みゆたん」って呼んでくれたんですけど、歴が長くなってくるとだんだん「みゆたん」って呼ばれなくなって、最終的にみんな「久保田」って呼びだすんですよ。
――名字で呼び捨てですか(笑)。
久保田:そうなんです。「今日の久保田さー」みたいな(笑)。でも仲良くなった子って結局あだ名じゃなくて名字で呼びあったりするじゃないですか。そういう絶妙な距離感が自分の魅力なのかなって思います。
――面白いですね。
久保田:(私に会う時は)気張らずに来てほしいんですよね。私と喋るのに緊張してほしくなくて。もっと肩の力を抜いて喋れるようになるにはどうしたらいいかな、というのは常日頃思ってますね。ライブとかも同じで。握手会で緊張して「伝えたいこと言えなかったな……」ってなるより、「あー、今日もくだらないこと喋っちゃったなー」って思って帰ってほしいんですよ。気持ち的に(笑)。
――ファンの方って久保田さんのそういうギャップに惹かれるんでしょうね。ステージでのパフォーマンスや写真集で見るときは綺麗なお姉さんの雰囲気だったり、可愛さがあるのに、実際に会ってみたら「おいっす」と気楽な感じで。
久保田:「おいーっす」みたいな。でも、初めてお話する人にはしないですよ(笑)? 徐々に「お、いけるかな?」って思ったらですから。
――そうすると「お、久保田さん」となるわけですね。
久保田:「久保田さん、今日もよかったよ」みたいな(笑)。ライブの最中もオタクと遊んでいることが多いので。
――遊んでいる?
久保田:はい。ステージ上から(笑)。もともと「アイドルになりたい!」というタイプではなかったので、ライブでなにが楽しいかって言われると、ファンのみんなと遊んでる感じが好きなんですよ。
逆に、実際に目の前にいないからオンラインライブとかはすごく苦手。
――オンラインライブは苦手ですか?
久保田:そうなんです。(目の前に)伝える対象がいないと自分の中のアイドルのスイッチがなかなか入らなくて。自分が伝えるものに対して、お客さんが反応をくれる。そういうのが「ライブで遊ぶ」って感覚なんだろうなって。
私がライブで一番楽しいなって思う時は、お客さんと目があった時にパッて嬉しそうな顔をしてくれた時。これが、私がステージに立つ醍醐味なのかも。