【BLのことさらに知ってみませんか?】「BL成長期」の2020年を総まとめしてみた!の巻 【アニメイト編集部BL塾・応用編】
寒気厳しい毎日を過ごすうち、いよいよ年の瀬も押し迫ってきました。2020年最後のBL塾開校です。引き続きフリーライターの阿部が先生役、編集部員・石橋さんが生徒役となり、BLの世界をご案内します。
前回は、商業BL作品の中で近年増加傾向にある「オメガバース」についてお話しました。これまでの講義から二、三歩ほど進んだ内容でしたが、石橋さんはオメガバース作品の面白さを感じてくれたようでホッとひと安心。読者のみなさんからの「オメガバースのことが何となく理解できた」というコメントにも思わずニッコリでございます。
徐々にみなさんのBLレベルがアップしてきたこと、年末ということを踏まえ、今回は2020年のBL界の動向を振り返っていきましょう。黎明期から一歩進み「成長期」を迎えた言っても過言ではない、2020年のBLトレンドとそこから見えてきた気づきについてお話していきます。
では、早速講義スタート!
※BL事情は諸説あるため、本企画には個人的見解も含まれています。
●阿部裕華
フリーのライター。本企画の助っ人。石橋さんの飲み友達。BL愛好歴15年。『好きなものは好きだからしょうがない‼』に衝撃を受け、BLへ沼落ち。黒髪メガネ受けが登場する商業BLマンガは一通りチェックする。今回の先生役。
●石橋悠
アニメイトタイムズの編集部員。HIPHOPと百合と某王国を愛する。アニメ化したBL作品などを少し見てはいるが、ズブの素人と言っていいレベル。今回の生徒役。
連載:BL塾
アニメイトタイムズで連載中の「BL塾」が書籍化決定! 表紙イラストは森下suu先生! 書き下ろしを含めた決定版です! アニメイト特典は表紙イラストのカラーペーパー!連載バックナンバー
画像をクリックすると、関連記事にとびます。前回のおさらい
阿部:早いもので2020年残すところ数日となりました……。今回もよろしくお願いします!
石橋:センセイ!本日もよろしくお願いします!
阿部:前回の講義「オメガバースについて」はいかがでしたか? なかなか難しい内容だったと思いますが……。
石橋:やっぱり作品を読まないと、ちゃんとした理解は難しいなと思いました。でも、読んでみると全く違和感なく楽しめる作品ばかり。第二の性のカップリングの組み合わせ次第で無限の楽しみ方がありますね。
オメガバースという設定を用いた上でストーリーがつくられているから、基本設定を理解すると作品がより楽しめるようになるかなと。設定に萌えるためのジャンルだなと感じました。
阿部:うんうん。
石橋:日本の歌舞伎で見得(みえ)を切ったときに放つ「よ! 〇〇屋! 〇代目!」という掛け声と同じように、オメガが発情したとき「よ! オメガ! 発情期!」と声を掛けたくなる(笑)。
それくらい登場人物たちがやたらと第二の性を気にしているんですよ。「あの人、アルファだから強そう……」とか「俺はアルファだから強くいないと!」とか。
阿部:たしかに。設定を浮き上がらせるために、登場人物たちが過剰なほど第二の性に意識しているのはありそう。さすが石橋さん。読書感想文でもかなり熱弁していただいていましたね。
石橋:どれも面白かったです!
石橋:一番安心して読めたのは『先生のせんせい(※1)』。普通のBL作品にオメガバース要素を入れたような感じで。差別的な要素は皆無であたたかくて優しい世界だから、読んでいるとほっこり。だけど、しっかりオメガバースの説明が作中に入ってくるから、理解も深まります。オメガバース世界の優しさだけを抽出した作品で、こういう楽しみ方もあっていいんだなと思いました。
※1:先生のせんせい
ふゅーじょんぷろだくとにて刊行されたnojiさんの漫画作品。小学校教師でαの大路。学生時代に自身の性に悩んでいた大路を救ったスクールカウンセラーでβの保美と偶然再会を果たす。保美に失恋した過去を持つ大路の恋心が再び目覚めていく。
阿部:まさに! オメガバース初心者の方にも楽しんで読んでもらえる作品ですよね。お気に召していただけて良かったです。オメガバースの魅力にも理解をしてきた石橋さん、相当BLに慣れてきたのではないでしょうか。