劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」三石琴乃さんインタビュー|セーラームーンの強さは、誰でも分け隔てなく愛する気持ち
松岡さん演じるエリオスの印象
——先ほど、三石さんがおっしゃっていたように、本作はちびうさとエリオスのお話が軸になっています。個人的に昔からエリオスが大好きでして……松岡さん演じるエリオスについての印象をお聞かせください。
三石:とてもナイーブに、とてもやさしく演じていらっしゃいました。アフレコスタジオとは別に控え室がありまして、松岡くんはその控え室にいらっしゃったんです。スタジオの扉が開いた瞬間、控え室のほうから「乙女よ……乙女よ……」と一生懸命練習している声が聞こえてきました。
なので、この「乙女よ」という短いセンテンスの中にも、どういうニュアンスが良いのか研究に研究を重ねて演じてくれたんじゃないかな、と思います。
——ちびうさとエリオスの関係性は、またうさぎちゃんと衛さんとは違う良さがあると思います。三石さん自身、ちびうさとエリオスの関係性についてどのように思われますか?
三石:そうですね、まだちびうさの一方的な片想いなのかもしれません。ただやっぱり、助けを求めているにも関わらず、いきなりうちの娘にキスをしてしまうので「ちょっと、ちょっと……!」と思いました(笑)。
一同:(笑)。
三石:2人だけの世界の中での出来事なのでうさぎちゃんとしては知りませんし、空想の中でのキスかもしれませんが、うちの娘のファーストキスはペガサスさんだったという衝撃の展開が……(笑)。でも、すごく素敵に描かれるので、そこがまた「美少女戦士セーラームーン」の不思議な魅力かな、と思います。
——私もそのうちの1人ですが、90年代のアニメを観ている方の多くは、美しいエリオスからキスされているちびうさちゃんを羨ましく感じたのではないでしょうか。キスされたちびうさちゃんの表情も可愛いです。
三石:あの頰を赤らめている表情は本当に可愛いな、と思います。
——やはり親目線になりますか?
三石:なっちゃいましたね(笑)。娘は誰が好きなのかしら?と(笑)。
人間愛にあふれているセーラームーンの強さ
——前編でも後編でも、うさぎちゃんと衛さんの絆や愛がすごく強まっていると感じました。前編では、うさぎちゃんと衛さんのやり取りで辛いところはありますが……。
三石:相手を思いやるが上のすれ違いがあって、衛自身も心配しているからこそ、うさぎちゃんに冷たい言葉をかけてしまいます。
その時にうさぎちゃんは「わかった」「ごめんね」と、衛の言葉を聞き入れるんです。普通だったら「何で?」「一緒にいたい!」と言ってしまうのが、中学生の頃のうさぎちゃん。
なので、今回はうさぎちゃんの恋愛スキルが上がったなぁ、と思いました。
——本当に恋愛スキルが上がっていると思います!
三石:衛の心配はしつつも、ちびうさに様子を見に行ってもらったり、マンションの前までは行くけど外で待っている、とてもいじらしいところもあって。でも、ちゃんと衛ちゃんには「そばにいたい」と言葉で伝えるので、そこは本当に勇気ある行動で、私は尊敬しました。
——うさぎちゃんはもちろん、衛さんもすごく大人な一面があって素敵でした。今回の映画で衛さんの新しい発見や魅力を感じたところはありましたか?
三石:うさぎちゃんとちびうさは衛の家に外泊してしまうんですけど、そのときに“父親になったら娘をそんなに甘やかさないから”という衛のセリフがとても微笑ましくて。
ちゃんと父親になる自覚があるというか、ちびうさのことを娘として見ているんだな、と。未来が入り混じる不思議な感覚ですね。結局二人のお泊まりは許しちゃって、衛の優しさが印象に残っています。
——では改めて、セーラー戦士としてのうさぎちゃんの魅力を教えてください。
三石:お友達や大事な家族が苦しんでいたり悲しんでいると、共感する力がものすごく強くて、何とか助けたい!と思うと壮大なパワーを発揮するんです。
たとえそれが敵であっても、救いたい!と思ってしまう。一般的な正義とはズレていても、そこに彼女の普遍の愛と正義があるんです。戦士たちに止められても自分の信じた正義を貫き通す強さが、彼女の魅力だと感じます。
“人間愛”といいますか、敵でも味方でも、分け隔てなく愛する気持ちが湧き上がってくるのが、“強さ”なのかな、と思います。
——人間愛という言葉、すごく胸に響きました。最後になりますが、前編・後編を楽しみにされている方へメッセージをお願いします。
三石:今回の「デッド・ムーン」編は、“夢”というものが1つの大きなテーマになっています。
将来の夢、憧れるもの、自分の中に潜む悪夢……いろいろなものが出てきますが、この映画を観ていただき、自分が今持っている夢や昔描いていた夢を思い出していただきたいです。
そして、夢の途中の人には頑張れるパワーやエネルギーがもらえる映画になっておりますので、ぜひ前編・後編を通して、劇場でご覧になってほしいと思います。
特に、後編はスーパーセーラームーンが活躍して盛り上がるシーンがありますので、ぜひお楽しみに!
——ありがとうございました!
[インタビュー・写真 / 福室美綺]
作品情報
劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』《前編》/劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』《後編》
【公開日】
前編 2021年1月8日(金)/後編 2021年2月11日(木・祝)
【キャスト】
三石琴乃、金元寿子、佐藤利奈、小清水亜美、伊藤静、福圓美里、野島健児
皆川純子、大原さやか、前田愛、藤井ゆきよ、広橋涼、村田太志、中川翔子、松岡禎丞
渡辺直美、菜々
【スタッフ】
原作・総監修:武内直子
監督:今千秋
脚本:筆安一幸
キャラクターデザイン:只野和子
アニメーション制作:東映アニメーション、スタジオディーン
配給:東映
【主題歌】
「月色Chainon(シェノン)」
作詞:白薔薇sumire
作曲:小坂明子
編曲:月蝕會議
ももいろクローバーZ with セーラームーン(CV:三石琴乃)&セーラーマーキュリー(CV:金元寿子)&セーラーマーズ(CV:佐藤利奈)&セーラージュピター(CV:小清水亜美)&セーラーヴィーナス(CV:伊藤 静)