音楽
絶賛公開中の劇場版『夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者』主題歌飾るAnlyにインタビュー

「星瞬~Star Wink~」のきらめきに、目には見えない、あなただけの大切な思い出を重ねて――シンガー・Anly、劇場アニメ『夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者』主題歌が生まれた軌跡を語る

空から降ってきた「星瞬~Star Wink~」

――(現時点では)もうすぐ上映というタイミングです。タイトルの「星瞬~Star Wink~」読み方は「せいしゅん」で合っていますか。すごくステキなタイトルです。

Anly:ありがとうございます。読み方は「せいしゅんスター・ウィンク」です。

――ずっと温めてこられた曲なんですよね?

Anly:そうです。弾き語りライブのときに、1、2回歌ったことがあるくらいで。自分のなかですごく大切にしていた曲です。「これ、絶対いつかリリースする!」っていう気持ちはそこまで強くなくて、「大事な曲だから、いいキッカケがあったら(発表できたら)良いな」と思っていたものです。

 

 

――どういう経緯で生まれた曲だったんですか?

Anly:一昨年、沖縄に帰ったときに散歩をしていたんです。その日は晴天で、沖縄の空って高くて綺麗なんですよね。「ああ、良いなぁ」と思って空を見ていたら、突然<空には君の足跡>という冒頭のワードが頭のなかに浮かんできて。「これ、曲になるかもしれない」と思って帰り道に続きの歌詞を考えて、帰宅後にメロディをつけて。本当に、自分のなかから自然に生まれてきた曲だったんです。

――流れ星のように生まれた曲だったんですね。歌詞は『夏目友人帳』の自然豊かな景色を思い出させます。

Anly:歌詞に、海、山、川……という言葉が出てくるんですけど、いろいろな風景をめぐっていく曲なので、その風景のなかに大切な人たちとの思い出と重ね合わせて聴いてくれたらうれしいなという思いで書いていきました。

実は最初は「星瞬」って言葉はなかったんです。「Star Wink」という言葉だけだったんですけど、『夏目友人帳』の主題歌に選んでいただけたので、タイトルに日本語を入れたいなと。

――星瞬という言葉にした理由は、どういったところから?

Anly:『夏目友人帳』は以前から見ていたんですが、ゆったりとした空気の中に、夏目くんたちの青春があるなぁと感じていて。妖との物語が、彼にとっての青春なんだろうなと思い、“せいしゅん”という読み方にしたんです。

――主題歌になると決まって、歌詞は変えられたんでしょうか?

Anly:少し足した部分があります。例えば<探してる いつまでも>という言葉は、主題歌としてデモを作るとき、パッと浮かんできて足したものです。

――ストリングスが盛り上がるDメロの部分ですね。ピアノの音色も印象的ですが、サウンドはどんな部分を大切にされたんでしょうか?

Anly:今回の曲は歌詞を聞いてもらいたいと強く思っていたので、素朴だけど、響きが綺麗で、風景が浮かぶようなコード感をお願いしました。今回、アレンジをお願いした松ヶ下宏之さんは実は16歳の時からお世話になっているかたで。私は普段抽象的な言葉を使うことが多いんですが、「ここでは星が、こっちでは海が見える感じにしたい」「もう少し音を素朴にできますか?」といった言葉でも汲み取ってくださってありがたかったです。唯一、松ヶ下さんから提案してくださったのが……馬頭琴(ばとうきん)という楽器があるんですけど、ご存じですか?

――初めて聞きました。和の温かみがある、それでいてちょっと不思議な弦の音が入っているのは気づいておりましたが……。

Anly:私も知らなかったので「えっ、何それ!」って(笑)。モンゴルの伝統楽器らしく、「合うかもしれない」と。馬頭琴という言葉通り、琴を押すように鳴らすんです。見た目もユニークで、音をチューニングする部分(さおの頭部)に馬首の装飾がついていて、画像を調べていただくとちょっと驚くかも(笑)。柔らかく響く馬頭琴の音が、「星瞬~Star Wink~」の味付けになったなと思っています。

――歌のレコーディングはどうでした?

Anly:歌っていて気持ちは良い曲なんですが……すっごく難しくて、途中から「あれ? 息が続かない?」と(笑)。この曲をいつでも歌えるように、今は走って体力をつけているところです。

――作詞・作曲をした張本人なのに(笑)。

Anly:そうなんですよね(笑)。この間のインスタライブで弾き語りで披露したんですけど、いつもよりパワーが必要でした。パワー消費がすごい曲です、これは(笑)。

――<心から愛している>などの言葉は簡単には言えないからこそ、気持ちも入る曲なのかなと。

Anly:そうですね。でも、心に溶けやすいんです。作っているときも「ああ、溶けてくるな」って感じていて。

――「溶けてくるな」って感覚、もう少し詳しく言語化することってできますか?

Anly:言葉って見えないし、喋っている最中に、どこかにスッと消えていくものですけど……大事な人に言われた言葉や、大好きな歌の歌詞ってずっと覚えていて。それって心に染みこんで、溶けてきたからだと思うんです。自分で作った曲ではあるんですけど、空から降ってきたようにできたものなので、そういう意味では……「すごく染みこんでくるなぁ」って。それが「溶けてくる」という言葉につながっています。

この曲にいちばん溶け込んでるものって“思い出”だと思っているんです。一つひとつの風景、一瞬一瞬の思い出って色褪せなかったり、さらに色鮮やかになったり。その思い出にいるのが、とても大切な人であれば、より心に残ると思うんです。この曲を聴いて、楽しかったこと、大切な人とのこと、美しいなと思った風景を思い出してもらえたらうれしいです。

――映画を見ながらこの曲を聴いたら、こみあげるものがあるでしょうね。

Anly:今回の映画のお話は……今手元にあるんですけど(原作の21巻と24巻を画面越しに見せてくれる)この2冊の中に入っていて。私は『夏目友人帳』の全体的な流れも、この曲に通じるものがあるんじゃないかなと思っています。一つひとつのエピソードに楽しいものもあれば、出会いも別れもあって、その後続く友情もあって。もう会えなくなってしまった人、妖との「いつかまた会えたらいいな」って夏目くんの想いも、この曲に込めています。

 

 

――ああ、なるほど。『夏目友人帳』にはさまざまなエピソードがありますが、見るたびに涙が勝手に出てしまって

Anly:分かります~!(笑) 本当にハートフルなお話が多くて。私は特に蛍のエピソードが好きなんです(アニメ:一期第8話「儚い光」)。もうめっちゃ泣きました(笑)。あのエピソードの影響も、この「星瞬~Star Wink~」の考え方に影響されている気がします。

(C)緑川ゆき・白泉社/「夏目友人帳」製作委員会
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