TVアニメ『魔術士オーフェンはぐれ旅 キムラック編』クオ役・杉田智和さんインタビュー|森久保祥太郎さんと作品で戦う高揚感とプレッシャー
冒険ファンタジー&ライトノベルの先駆者、秋田禎信先生原作の『魔術士オーフェン』。原作が25周年、最初のTVシリーズから約20年を超える長寿作品が、2020年に『魔術士オーフェンはぐれ旅』としてTVアニメで復活!
そして、2021年1月より第2期シリーズ『魔術士オーフェンはぐれ旅 キムラック編』が放送中!
義姉のアザリーを追って、キムラックにやってきたオーフェン一行。そこで待っていたのは「最強の暗殺者」クオが率いる死の教師。アザリーの行動、オーフェンの存在の意味などが明らかになっていく注目のエピソードです。
今回は、キーキャラクターの1人、クオを演じる杉田智和さんが『オーフェン』シリーズへの初出演とオーフェン役の森久保さんとの共演への想いを語っていただきました!
悪役を演じるときはキャラクターを見捨てずに
――『魔術士オーフェンはぐれ旅 キムラック編』への出演が決まった時のご感想は?
杉田智和さん(以下、杉田):あの『魔術士オーフェン』に出られるんだなと。最初のTVアニメが放送された時は、僕が声優になった直後くらいでした。勉強のためにいろいろなアニメを観ていて、その中でも印象に残っている作品の1つでしたね。
オーフェン役の森久保祥太郎さんとはその4~5年後、『スウィートジャンクション』というラジオでご一緒させていただいて。その時によく話題に出ていたのが『オーフェン』と『メジャー』でした。『メジャー』には少し前に出演させていただきましたが、遂に『オーフェン』にも出演できるのか、と感慨深かったです。
また今シリーズでは森久保さん以外、キャストが一新されていますが、過去の物語からお話は続いていることも嬉しかったです。
クオはアニメでは初登場の新キャラクターだったので、どこか安心感がありました。過去に他の方が演じていたキャラクターを新たに自分が演じることになった場合、違ったエネルギーが必要で、演技の方向性に迷ってしまうこともあるんです。なので、それがなかったことはよかったし、シリーズ途中からの参加でも森久保さんが雰囲気を作ってくださっているので不安はありませんでした。
――公式サイトで「謎の高揚感と恐怖に苛まれました」というコメントを出されていましたが……。
杉田:ずっと森久保さんのそばで「いいな」と羨ましがるだけだった僕が、アニメで遂にそのオーフェンと戦えるんだという喜びと高揚感と同時に、果たしてクオ役が自分で大丈夫なのかという不安、オーフェンの前に強力な壁として立ちふさがれるように強敵として認められなくてはいけないというプレッシャー。相反する感情が自分の中で渦巻いていました。
――そして「クオとして一言喋った時、それが何なのか確信しました」とも。
杉田:演じる前にはクオのことがよくわかっていなくて、「どんなヤツなんだろう?」と思っていました。でも収録が始まって、登場する回ごとにしっかり出発点と到達点があって、彼のキャラクターとしての到達点が見えた気がしたんです。
――OPの冒頭からクオが登場してすごくインパクトがあったのと同時に、重要なキャラクターであることが伝わってきました。
杉田:まだクオの一段階目だったので、「まだあれくらいなら大丈夫かな」と。その後のキテレツな鎧まで先に見えたら(ネタバレ的に)マズいかなと思いましたけど(笑)。
――収録の時、監督などからディレクションはあったのでしょうか?
杉田:演出についてのオーダーやディレクションなどは特になかったですね。その分、横で演じられているオーフェンや他のキャラクターのお芝居をちゃんと聞くことが大切でした。
クオは自分で言葉を発しながら、同時にその先にあるもの・ことを常に考えているキャラクターなので、例え別録りになった時でも収録済の方の音声は流してほしいとお願いしていました。
――クオは「最強の暗殺者」としてオーフェンの前に立ち塞がりますが、悪役や好敵手を演じることは好きですか? 演じる時はどのようなことを意識されますか?
杉田:必要なのは悪に対する理解者だと思っています。悪いヤツでもその考えに賛同することで演じる姿勢が出来上がるんじゃないかと。
もちろん考えが根本的に間違っていることはあるけど、演じている人間まで見捨てたり、否定してしまったらそのキャラクターが1人ぼっちになってしまう。憐れんだり、余計な気遣いはせず、でも考えそのものを否定もせず、という姿勢で臨んでいます。
――クオは<死の教師>のリーダーですが、<死の教師>のメンバーの印象をお聞かせください。
杉田:キムラック教の教徒ということで一見、思想が統一されていそうなのに、メンバー全員にそれぞれ別の野心を感じるんですよね。信用ならないなと思いながら見ています(笑)。
キャスト陣もバランスがとれていると思うし、その中に入れてもらえたのはありがたいです。だからこそ、きっちり芝居で返したいなと。
――死の教師が魔術士の撲滅を目的として活動しているため、クオも魔術を使わない戦闘スタイルですが、魔法ファンタジー作品なので、オーフェンのように詠唱して魔術を駆使してみたかったという気持ちは?
杉田:呪文を唱えることをステータスだとは思っていないので(笑)。個人を高めるための行為や行動は人によって違うし、この作品では魔法や詠唱1つとっても個性が出るものだなと改めて思いました。
――クオの魔術をハネ返す鎧は変幻自在に動くし、魔術士つぶしとして強力ですよね。
杉田:奇抜なデザインだからこそ、こんなものが襲ってくるんだ! と逆に怖いんですよね。案外、体を守るようにはできていないし(笑)。ドン●ホーテに行ったらあの鎧はすごくジャマでしょうね。