音楽
映画『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』JAM Projectインタビュー

初のドキュメンタリー映画『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』JAM Projectインタビュー|アニソン界のトップランナーの光と影を鮮明に描いたリアルムービー

様々なライブを繋ぎ合わせた「SKILL」は圧巻!

――アーティストのドキュメンタリー映画というと、ライブメインでバックステージが少し入っているだけというものもありますが、この映画は本格的なヒューマンドキュメンタリーだなと。冒頭の様々なライブで「SKILL」を歌っている様子がつなぎ合わせている映像も圧巻でした。

奥井:若い頃からの私たちから今の私たちまで。

影山:あんまり若くもないけどね(笑)。

奥井:見ていて楽しかったです。

きただに:思い出しますね。いろいろと。

福山:そのシーンを見て『SKILL』ってすごい曲だなと改めて思ったし、冒頭から感動しました。

――そこから20周年記念アルバム『The Age of Dragon Knights』の制作の様子やGRANRODEOやFLOWなど参加されたアーティストの証言、世界でのJAM Projectファンの熱狂ぶりなども見られましたが、ソロインタビューで苦悩や赤裸々な想いが語られていることでトップランナーのJAM Projectも悩みを抱えているのかと。

影山:クリエイターが抱えるマンネリズムへの恐れや悩みは普段は見せないようにしている部分ですが、20周年のタイミングで初めてファンの方に見ていただくのもいいのかなと思いました。

奥井:放っておくとバケモノみたいに思われるじゃないですか? 影山さんは同世代の人と違って見た目がどんどん若くなっていくし(笑)。皆さんと同じように私たちも悩んでいるのだけど、そうは見えないみたいで。

でも今回、そういう面も見ていただけることはいいことかなと思うし、私自身も見終わった後、JAM Projectへの愛情がより深まったし、メンバーのこともより好きになりました。

――コロナ禍で結末が変わったとおっしゃっていましたが、大団円にきれいに終わるのではなく、皆さんが今後の課題などを踏まえた上で次に進もうとする未来が見えた気がします。

きただに:そこが狙いではなかったんですけど、結果的にそうなってしまって。

福山:僕らが撮影されながら思っていた、レコーディングしてみんなの前で披露して得意げになっているところで終わるという、誰でも予想できるような大団円的なエンディングにはならなくて。

影山:そこがまさにドキュメンタリーですよね。

福山:また音楽では最強のストロングな歌を歌っている生身の人間が、ステージで泣いているシーンが感動的に思えて。

あとメンバーそれぞれが語っているシーンがいくつかありますが、他のメンバーがしゃべっている内容をまったく知らなくて。ここまで一緒にやってきたけど、知らない話がいっぱいあってビックリしたし、感動しました。本当にいいグループだなと思いました。

――映像をご覧になった感想と注目してほしいポイントをお聞かせください。

遠藤:自分はこういうまじめな話を人前でしたことがなかったし、他のメンバーの人となりをより知ることができてもっと好きになりました。自分で見ても力をもらえる作品にしていただいたなと感じました。

あと海外公演の映像もたくさん入っていますが、今までずっと海外に行ってアニソンを広めるための活動をしてきたけど、メディアで紹介してもらえていない部分も多くて。

奥井:自分たちの楽曲やライブ映像はこれまでもCDやDVDなどで残っていますが、この映画はドキュメンタリーとして、やってきたことをギュっと凝縮していただいたので、自分が生きた証を残せてよかったなと思います。

またこの映画は自分たちのことなのに最初から最後まで、まったく中だるみすることなく、集中して見ることができるほど魅力的な映像になっていると思います。

あと途中でシリアスに語っている私たちと最後のシーンでのテンションや雰囲気の違いとか。特に私なんですけど(笑)。私たちが悩んでいることや心境の変化などを見ている方に受け止めていただいたり、反面教師でもいいので糧にしていただけたら。

影山:見終わってから、ファンの方や友達に見てほしいなと思いました。前半は栄光への道のりみたいな光が当たっている部分が続いていって。ライブ会場がどんどん大きくなったり、海外にも果敢に挑戦していったなどが描かれた後に、僕らの心やJAM Projectを取り巻く状況の変化がストレートに映し出されたことで「これからどうするのか?」という問題提起から、更にコロナ禍まで。

20周年記念ツアーもなくなったけど、2020年に無観客でフェス(JAM FES.)をやれたことで、みんなの口からも未来が語られて。

僕の好きな言葉として「継続は力なり」があります。20周年というのはすごい時間だけど、ずっとハッピーというのは誰の人生にもありえないわけで。まだ乗り越えられてはいないけど、乗り越えるためにこの船は動き出したという終わり方は心地より疲労感を感じました。

だからファンの方たちも、僕らがただの楽しそうに跳んでいるおじさんではなく(笑)、いろいろ悩んだり、苦しみながらも自分たちの可能性に夢をかけている人たちなんだなと思ってもらえたらいいですね。

きただに:TVのドキュメンタリー番組でも街のパン屋さんや料理人、バレーダンサー、俳優さんなど職種は違えども、何かを成し遂げた人の言葉は響いたり、共感できるものがあるけど、それと同じように長くアニソンシンガーをやっているメンバー1人ひとりの言葉や生き方から何か感じてもらえたら嬉しいです。

福山:もしこの時代ではなかったら違う映画になっていたかもしれないし、この映画はみんなが思い描いている華々しい最後ではないかもしれません。だからこそ、見終わった後に「完」ではなく、「続く」が見える気がして。

終わった歴史や軌跡を描くのではなく、今も挑んでいるし、まだ乗り越えている最中なのだと。それぞれが今後の夢や目標を語るかたちで残せたこともよかったと思いました。

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